政商・孫正義は器もタマも小さい男だ

 ソフトバンクの孫正義社長が「電力会社が意地悪をするから太陽光発電が広まらない」と批判しているとテレビ朝日が報じています。

 これは “特別扱い” を要求して、ボロ儲けできる立場を手に入れた人物が「もっと儲けさせろ」と要求しているに過ぎません。ゴネることで他人のインフラにタダ乗りし、儲けを得てきた孫正義氏のいつものパターンと言えるでしょう。

 

 ソフトバンクグループの孫正義社長は、サウジアラビアの電力会社に投資し、原発3基分の太陽光発電を進める方針を明らかにし、日本でやりたくても日本の電力会社がいかにいじわるで妨害しているかと批判しました。

 孫正義社長:「いずれは、日本の門戸が開かれれば、もっと積極的に関わって行く可能性はありますが、今はやりたくても電力会社がつないでくれない。いじわるしてますよね。今回(サウジアラビアの電力会社の)経営に参画することによって、改めていかに日本の電力会社が言い訳でいじわるをしてるかということは、経営の中身から分かりますから。海外でできることが日本でできない」

 

 FIT の導入時に菅政権(当時:民主党)とタッグを組み、太陽光の買取価格を42円/kWh という異常なほどの高額に設定したのは孫正義氏です。

 インフラへの投資や管理を他人に押し付け、タダ乗りができなれば、『被害者アピール』をしているのです。“ビジネス” という点では孫氏の行動は正解と言えるでしょう。しかし、その手法を「絶対正義」のように詭弁を展開する手口は社会に大きなマイナスを与えているのです。

 

1:FIT を利用して “利ざや” を稼ぐ政商・孫正義

 ソフトバンクは FIT で42円という高額な価格で電力会社に売る一方、電力消費が大きい自社のデータセンターを韓国に移転させています。この行為を「利ざやを稼ぐ」と言わずに何と言うのでしょうか。

 “ビジネス” という点では『特別扱い』されている現状を維持・拡大するために被害者ぶる姿勢をマスコミを通してアピールすることは正解です。

 孫氏の熱烈な応援団がいますし、反撃してこない電力会社を叩くことにマスコミも歩調を合わせることでしょう。ですが、インフラ産業を軽視する孫氏の要求を満たそうとすれば、そのしわ寄せは社会全体に押し付けられることになるのです。

 

2:北海道の風力・送電網プロジェクトから逃げたソフトバンク

 「電力会社が送電網に接続させてくれない」と影でコソコソ文句を行っている孫氏ですが、ソフトバンクが送電網を設置するプロジェクトから逃げたことは忘れているのでしょうか。

 一方でユーラスは FIT の認可を2016年中に取得し、2022年までに開業する計画で送電網も新設する方針と日経新聞で報じられています。

 ユーラスの総事業費は2300億円程度。孫氏のソフトバンクは同じ北海道北部で行われていたプロジェクトを投げ出した一方で、「電力会社が送電網に接続させてくれない」とマスコミを経由して電力会社を悪者扱いしているのです。

 政商となった孫正義は器もタマも小さな男だと言えるでしょう。彼の得意技は「ゴネて、他人のふんどしで相撲をとる」というものです。『在日』というルーツを周囲が “忖度” をしてくれた成功体験を現在も引きずっているのではないでしょうか。

 

3:タマがあるなら、経産省の審議会で「携帯のような電力プランの導入」を主張すれば良い

 出力変動に対する責任を負う立場にないソフトバンクが自社の利益を最大化する目的で「電力網に接続させろ」と要求することは企業として理に叶ったことです。

 しかし、その負担はすべての電力消費者に跳ね返ってくるのです。日本国内で停電が頻発するようになっても、データセンターを韓国に移転したソフトバンクが困ることはないでしょう。

 また、停電による批判を受けるのは電力会社で、電圧などを不安定にさせる元凶となったソフトバンクではありません。その上、FIT を使って高値で電力を売却もできているため、“オイシイ立場” にあるのです。

 文句があるなら、本丸である経産省の審議会で自説を主張すれば良いことです。

 その席で「携帯端末の契約プランのような電力プラン導入」を要求すれば、本物と言えるでしょう。原発比重の大きい『Aプラン』、従来型のバランスが取れた『Bプラン』、再生可能エネルギーでの発電分の比重が最大の『Gプラン』という形を要求すべきです。

 そうすることで、電力消費者全体に再生可能エネルギー割賦金を負担させる必要がなくなるからです。再生可能エネルギーの普及に熱心なソフトバンクや朝日新聞の従業員が『Gプラン』を契約し、再生可能エネルギー割賦金の分を負担してくれるはずだからです。

 

 孫正義氏が「やりましょう」などとツイートし、社会インフラに投資することはないでしょう。なぜなら、政商・孫正義は器もタマも小さい男だからです。

 “特別扱い” されて稼いだ金でソフトバンクの巨額有利子負債の返済に充てている訳ですから、たかが1企業の利益を確保するために日本全体が電力インフラで大損を被る必要性は皆無だと言えるのではないでしょうか。