「質問通告を前日深夜に提出する野党に働き方改革を進める資格はあるのか」と小泉進次郎が苦言

 長時間労働が問題となっている日本では「働き方改革」が1つの政治テーマとなっています。

 ところが、働き方改革を率先して進めるべき立場にある政治家が逆行する振る舞いをしていると自民党・小泉進次郎筆頭副幹事長が指摘していると TBS が伝えているのです。

 少なくとも、長時間労働または拘束を強いるようなことをする議員は与野党に関係なく、批判されるべきでしょう。そのような議員には「働き方改革」を論じる資格はないと言えるはずです。

 

 自民党の小泉筆頭副幹事長は、党の役員会で、20日に行われた衆議院の代表質問で、野党側が政府側に行う質問通告の時間が遅かったという指摘があったことを明らかにしました。

 小泉氏によれば最も遅い質問通告は、本会議が始まる2時間前で、さらに先週の衆議院文部科学委員会では、委員会当日の午前5時に関係各所が通告を受けたということで、小泉氏は、「各役所が拘束をされ、家に帰れない。働き方改革を進める中で、考えるべきことがあるのではないかということも話題にあがった」と述べて、野党の対応に苦言を呈しました。

 

 質問通告を行う理由は「限られた国会審議の時間を有効活用するため」です。

 政府側の答弁には正確性が求められます。憶測に基づく “不確かな回答” をすれば、その後の議会が紛糾する上、議論も脱線することでしょう。

 税金で運営されている国会審議ほど、効率的に運用する必要があるのです。そのことを忘れているようでは「働き方改革」など夢のまた夢と言えるでしょう。

 

1:質問通告が遅すぎるのは論外

 国会で政府サイドが答弁する際、質問通告することは必要です。

 “政府を批判している構図” が欲しい野党やマスコミは「政府が質問に窮するシーン」のために質問通告は不要と主張するでしょう。しかし、それによって得られるものは野党を積極的に支持するごく一部の有権者からの喝采に留まります。

 なぜなら、政策は年単位の長期で結果が出るものがほとんどな訳ですから、質問通告を遅らせる意味はないのです。

 プロ野球の『予告先発』に該当すると言えるでしょう。『予告先発』が導入される前は『偵察メンバー』が先発に名を連ねるということなどがありましたが、相手を惑わせる先発起用でファンは喜んだでしょうか。試合で勝利という結果を残さなければ、采配が評価されることはないのです。

 国会での議論でも同じです。政府の方針に難癖を付けるのではなく、議論を通して政策提案力で勝利すれば、選挙戦での躍進・勝利につながると言えるでしょう。

 

2:勤務時間終了後に「翌日用の質問」が通告されることは異様

 今回、小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長が問題としているのは(一部の)野党議員から質問通告が極めて遅いことです。

  • 質問前日の終業時間(18時前後)
  • 文科委員会での質問通告(委員会当日の午前5時)
  • 最も遅い質問通告(本会議開始の2時間前)
  • 質問当日(本会議開始時刻)

 就業時間が終わった後、ひどい時は日付が変わった後に『質問通告』が出されるのです。これは指摘されて当然であり、批判を受けるべきものでしょう。

 「働き方改革」を本気で実行するなら、まずは自らの身の振り方を見直す必要があります。少なくとも、「本会議または委員会実施の2日前の就業時間内に通告されなかった質問内容についての議論は行わない」というルールを作り、運用する必要があるのではないでしょうか。

 

3:東大出身の美人女性キャリア官僚が過労自殺するまで変わらないだろう

 ただ、与党議員の1人である小泉進次郎議員が苦言を呈したところで何も変わらないでしょう。野党は開き直りを見せるでしょうし、マスコミもその姿勢を咎めることはしないと予想されるからです。

 身体を壊すキャリア官僚が出る(もしくは既に出ている)でしょうが、それでも霞ヶ関の勤務体系が変わるとは思えません。

 変わるとすれば、電通のような事例が起きた時でしょう。東大卒で美人の女性キャリア官僚が過労自殺という “悲劇” が繰り返されて、マスコミがようやく重い腰をあげるかどうかというレベルだからです。

 少なくとも、「各党議員からの質問通告を受け取った時間」を衆議院・参議院の公式サイトに質問内容とともにアップしておくべきです。中身の薄い質問や委員会とは無関係な質問を遅すぎる時間帯に通告する議員は大きな批判にさらされて当然だからです。

 そうした予防策に本腰を入れなければ、手遅れになる恐れが強いと言えるのではないでしょうか。