立憲民主党・枝野代表:「憲法改正の発議は国会の全会一致で」と主張し、立憲主義と多様性の意義を破壊
立憲民主党の枝野代表が憲法改正について「改憲発議なら全会一致を」との見解を述べたと NHK やテレビ朝日が伝えています。
“立憲主義” を掲げるのであれば、3分の2 を超える議員の発議を認めなければなりません。「全会一致」を要求するのなら、“立憲主義” の看板を速やかに外すべきと言えるでしょう。
枝野氏は、「どうしても改正の発議をしたいのなら、国会で全会一致になるくらいの努力をすべきだ。その姿勢がない安倍政権は無責任だ」と述べました。
また枝野氏は、来年の通常国会での対応について、「参議院でも立憲民主党の旗のもとで国会論戦ができる状況をつくりたい。会派を組んで臨めたほうが、国民の期待に政治全体としても応えられるのではないか」と述べました。
なぜ、憲法改正を発議するために国会で全会一致が必要なのでしょうか。
例えば、日本共産党は憲法改正に断固反対する姿勢を明確にしています。改憲を目指す政党とは真逆の立ち位置にいる訳ですから、そのような政党と憲法改正で合意することなど起こりえないのです。
1:野党共闘を掲げる立憲民主党は共産党との政策合意に達することが先だ
立憲民主党・枝野代表が「全会一致」を求めるのであれば、まずは野党間で政策を擦り合せることが先決です。なぜなら、『野党共闘』を掲げているからです。
まずは立憲民主党と日本共産党との間で “政策の差異” をなくさなければなりません。
『野党共闘』と言いながら、一致できている点は「反・安倍」のみ。政策面で歩調を合わせるなどの共闘はできていないのです。
与党が憲法改正で動いていることに反対し、“重し” となるだけの「全会一致」は言いがかりに過ぎないものだと言えるでしょう。
2:「全会一致」は「多様性」と真逆のもの
次に、立憲民主党は「多様性」を掲げています。多様性を主張するのであれば、「憲法改正を希望する勢力」も認めなければなりません。
しかし、枝野代表がやっていることは「多様性」とは真逆です。「全会一致」は全体主義と何が違うのでしょうか。立憲民主党や日本共産党のように「憲法改正は断固反対」と述べる政党が1つでも存在すれば、全会一致とはならないのです。
立憲主義を尊重する政党だと主張するのであれば、「衆参の議席数で3分の2以上を占めれば、憲法改正の発議は可能」と憲法の内容を遵守した発言に徹するべきでしょう。
この点においても、枝野代表の「全会一致となるよう努力すべき」との発言は党の掲げる方針と矛盾するものなのです。
3:憲法改正は国民投票で決まるものであり、国会議員ができるのは発議だけ
マスコミの報道姿勢で顕著なのですが、憲法改正は法律改正とはプロセスが異なることを意図的に報じていない節があると思われます。
- 憲法改正
- 衆参3分の2以上で発議
- 国民投票で可決
- 憲法改正が実現
- 既存法律の改正
- 改正案を国会に提出
- 衆参両院で可決、または衆院3分の2以上での再可決
- 改正案が成立
既存法律の改正が国会内で完結することに対し、憲法改正は『国民投票』がハードルとして立ち塞がっているのです。つまり、「めちゃくちゃな改憲案」や「項目が多すぎる改憲案」は国民投票で否決される可能性が高いのです。
今の与党が支持されている理由は「野党よりマシだから」というものがほとんどです。岩盤支持層はメインではないことは過去に政権交代が起きたことが証明しています。
『立憲主義』や『多様性』などと口先だけで、中身が伴っていない枝野代表が率いる立憲民主党の化けの皮が剥がれ落ちるのは時間の問題になっています。与党よりも野党の方が国会論戦を始めとする政策運営に真摯に向き合うことが求められていると言えるのではないでしょうか。