アメリカが移民・難民に支援を定めた『ニューヨーク宣言』から脱退、日本の対応は周回遅れでは?

 CNN によりますと、アメリカが移民や難民への支援を定めた『ニューヨーク宣言』からの離脱を通告したとのことです。

 日本では「移民受け入れ」の方向性で議論が進んでいますが、これは欧米の潮流とは真逆です。欧米諸国の失敗を繰り返すような失政を行わないよう “歯止め” をかける必要があると言えるでしょう。

 

 米国務省のティラーソン長官は3日、国連に対し、難民・移民の支援を定めた「ニューヨーク宣言」からの離脱を通告したと発表した。同宣言は米国の主権を侵害すると主張している。

 (中略)

 3日の声明で、「今後も引き続き、多くの面で国連と連携する」としながらも、移民問題については「自国の移民法を執行して国境を守る米国の主権を侵害するようなプロセスは、良心に照らして単純に支持できない」とした。

 さらに、「移民問題に関する国際的な協調」に支持を表明する一方で、「移民の安全と秩序と合法性を保障する一義的な責任は主権国家にある」と強調している。

 

 

1:『ニューヨーク宣言』とは?

 アメリカが脱退を発表した『ニューヨーク宣言』は2016年9月に採択された宣言で、内容は以下の対策を講じることが含まれています。

  • その地位に関係なく、すべての難民と移民の人権を守る
    (その中には、女性と女児の権利や、解決策の模索に対するその全面的、平等かつ有意義な参加を促進することが含まれる)
  • 難民と移民の子どもたちが全員、到着から2~3カ月以内に教育を受けられるようにする
  • 性的暴力とジェンダーに基づく暴力を予防するとともに、これに対処する
  • 大量の難民と移民を救出し、受け入れている国々を支援する
  • 移住の地位を判定する目的で、子どもの身柄を拘束するという慣行に終止符を打つよう努める
  • UNHCR が再定住の必要性を認めた難民すべてにつき、新たな住居を確保するとともに、国境を越える労働移動や教育制度などを通じ、難民がさらに他国へ移住できる機会を拡大する
  • 国際移住機関(IOM)を国連システムに組み込むことにより、移住のグローバル・ガバナンスを強化する

 正式に『難民』や『移民』と認定されれば、その時点で人権は守られるでしょう。こうした宣言が出された背景は『難民を名乗る経済移民希望者』の数があまりに膨大で、確認作業が間に合わなくなっているからなのです。

 また、対策費は自称・難民が押し寄せた国が持つことが基本になっています。そうした国を支援すると言っても、全額がカバーされることは不可能であり、難民受け入れ派に対する風当たりは強くなることでしょう。

 

2:欧米諸国で右傾化を呼び起こすユニセフの要望内容

 欧米諸国では「右傾化」が1つのキーワードとなっています。難民問題でも兆候が見られるのですが、『ニューヨーク宣言』を受けてユニセフは以下の項目を国際社会に要求しているのです。これでは右傾化が進んで当然と言えるでしょう。

  • 特におとなの同伴のない子どもの難民・移民を、搾取や暴力から保護すること
  • 問題解決につながる様々な代替策を提示することによって、難民認定や移住を求める子どもたちの拘留を終わらせること
  • 子どもを保護し、法的身分を与えるための最善の方法として、家族を一緒にすること
  • すべての難民・移民の子どもたちに、学ぶ機会や、保健、その他の質の高いサービスへのアクセスを提供すること
  • 難民・移民の大規模な動きの根底にある原因を解決するための行動を強く求めること
  • 外国人に対する嫌悪、差別、社会的排斥と闘う対策を促すこと

 ユニセフの主張をまとめると、子どもの難民・移民にとって最高の環境を受け入れ国が用意しろというものです。これは反発を呼び起こすでしょう。

 子供の難民・移住希望者は拘留してはならず、彼らのために家族を呼び寄せろと要求しているのです。

 また、質の高い社会保障を用意し、受け入れ国が難民発生の問題に取り組んだ上、自国内で起きることが予想される “難民・移民への財政支出” への反発は「ヘイト行為」として取り締まれと提言しているのです。

 自国民が納めた税金で外国人を養う訳ですから反発が起きて当然です。国際組織という “ゲートタウン” の中で生きるユニセフ職員と社会常識が通用しない難民・移民と直に触れ合う一般庶民の感覚が異なることを自覚できていないから、マスコミは「右傾化」という単純化した内容の報道となっているのでしょう。

 

3:日本政府が移民受け入れを考えるなら、欧米が受け入れ規制を進めている現実を踏まえるべき

 日本では財界や左派がそれぞれの目的で「移民受け入れ」を前向きに検討しています。しかし、世界的な潮流は逆であることに留意する必要があります。

 『移民先進国』のアメリカやヨーロッパでは(自称・難民を含む)移民受け入れのマイナス面が大きくなり、受け入れ枠の制限に動いています。ドイツで連立政権が発足しないのも、難民受け入れ問題で中道右派と左派が合意点を見出せないことが原因です。

 つまり、移民受け入れに対する「欧米の現状水準」は緩すぎることが明らかになったのです。

 したがって、日本政府が移民や難民の受け入れ基準を緩和するのであれば、「欧米の現状水準(2017年)よりも、少し厳しめの水準が最大譲歩ライン」とする必要があるのです。これよりも緩和してしまうと、欧米での移民政策の失敗を繰り返す結果となるでしょう。

 

 現に、日本は在日に便宜を図りすぎた結果、一部の在日活動家が増長する結果を招いたのです。「勤勉で真面目な国民性」を受け入れ、自らもそうなろうとする外国人の帰化は認めるべきです。

 しかし、「勤勉で真面目な国民性」にタダ乗りする外国人の帰化は認めるべきではありませんし、日本に忠誠を誓えない外国人の帰化申請は却下すべきです。また、一度帰化したとしても、問題行動を起こす人物は国籍剥奪も選択肢として存在させておくべきです。

 国際社会ほど、当事者意識を持たない無責任な存在はありません。自国民の安全を守ることが最優先であり、政府はそのことを念頭に置いて対応に当たる必要があると言えるのではないでしょうか。