成果を出していない労組が「官製春闘による “口出し” は止めろ」と主張し、無能ぶりをさらけ出す

 朝日新聞によりますと、金属労協・高倉明議長が安倍政権が経済界に賃上げを求める姿勢に対し、「もういい加減にしないといけない」と述べたとのことです。

 この発言は労働組合の存在価値を損なうものでしょう。なぜなら、自分たちが「成果」を出していれば、安倍政権の “口出し” などは無意味なものとなるからです。

 

 「労働条件は労使が主体的に決める。(政府主導の賃上げは)もういい加減にしないといけない」ーー。自動車や電機などの産業別労働組合が加盟する金属労協の高倉明議長は6日、賃上げに直接「口出し」する安倍政権のやり方に疑義を示した。

 

 労使交渉をしたところで、結果を出さなければ意味がありません。労働者のために活動をしていた労働組合であれば、安倍政権の動きを上手く自分たちの主張内容と折り合いを付け、成果を出すことはできるはずです。

 それができない、または政権の動きが目障りだと主張している訳ですから、組織の方向性が間違っている可能性が高いと言えるでしょう。

 

1:“お荷物正社員の雇用” を最優先で守る労組の組織率は低下して当然

 多くの労働組合は「組織率の低下」に頭を悩ませています。しかし、そのほとんどが問題解決に取り組んでいないことが実情となっています。

  • 組合員に加入する条件が正社員
    → 非正規雇用が増え、絶対数が減少(=影響力が低下)
  • 年配社員の割合が高い
    → 年功序列の恩恵を守りたい社員が中心
  • 給与アップが見込めない若手・中堅社員が労組加入を敬遠
    → 組織率が低下

 年功序列の恩恵を受けた社員ほど組合活動を熱心に行うことでしょう。そうすることで、自分(や似た立場の社員)の待遇を守れるからです。

 ところが、年功序列ではコストパフォーマンスに見合わない年配社員が重荷となるのです。特に、近年では IT 化など技術の進歩が目覚ましく、その割合は以前よりも高くなっていることでしょう。そのような社員を切れない状況が若い世代に “しわ寄せ” として押し寄せ、それが労組にも波及したことが明るみに出ただけなのです。

 

2:組合員のために出した「成果」を語れる労組がどれだけ存在するのか

 労組のトップが「労働条件は労使が主体的に決める」と述べたところで、内部向けのパフォーマンスに過ぎないと言えるでしょう。

 もし、労組の姿勢が支持されているなら、安倍政権が『官製春闘』をした効果が出ないからです。しかし、実際には5年連続で行われる始末です。

 これは労組の存在価値がないも同然と言えるでしょう。「中長期的な政策を出すことが政府の役割」と逆ギレ的に批判していますが、年功序列は中長期的な方針として間違いであることは明らかです。

 コストパフォーマンスが悪すぎる年配の組合員を守るために奔走しているのが労組の実態な訳ですから、矛盾しているのは労組自身なのです。「成果」を出している労組があれば、安倍政権からの “口出し” など容易に退けることができるでしょう。

 本来期待されている仕事をしていないから、『官製春闘』などと批判するしか選択肢がなくなっていまうのです。

 

 古参の組合員による “露骨な保身” が敬遠されているだけなのです。中長期的な視点が欠けている労組が政府に「中長期的な政策」を要求している訳ですから、まずは自らが手本を示す必要があると言えるのではないでしょうか。