「テロ等準備罪」の廃止を求める法案を立憲民主・民進・共産・自由・社民の野党5党が提出

 立憲民主党や民進党、共産党などの野党5党が「2017年7月に施行された『テロ等準備罪』を新設した改正組織犯罪処罰法を廃止する法案」を衆議院に提出したと NHK が伝えています。

 現行法が施行されたことで、シー・シェパードが恨み節を述べて活動を停止したことは記憶に新しいことでしょう。野党5党の行為はシー・シェパードのようなテロリストの活動を再開させようとしていることと同じなのです。

 

 民進党、立憲民主党、共産党、自由党、社民党の野党5党は、ことし7月に施行された、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法について、憲法が保障する国民の自由と権利を侵害するおそれがあるとして、6日午前、法律の一部を削除する改正案、いわゆる廃止法案を共同で衆議院に提出しました。

 一方、希望の党は、立憲民主党が共同提出を呼びかけたのに対し、「法律の問題点について、党の考えをまとめるのが先だ」などとして、加わりませんでした。

 

 「国民の自由と権利を侵害する恐れがある」と野党5党は主張していますが、テロ行為と認定される海賊行為に手を染めることを野放しにしておく理由はありません。

 廃止法案を提出するなら、逮捕された事例を示すことが必要と言えるでしょう。事例を示し、法律が過剰に適応されており、国民に実害が生じていることをアピールできなければ罰則を緩めるための説得力を持たないからです。

 

1:国際犯罪の温床や資金源となるリスクを取る意味はどこにあるのか

 立憲民主党や共産党・民進党が提出した法案ですが、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の加入要件を満たさなくなるものです。

 野党5党は国際組織犯罪防止条約から脱退する法案を可決するために動いている訳ですからその理由を説明しなければなりません。「国民の自由と権利を侵害する恐れがある」では不十分です。

 なぜなら、TOC 条約から抜ければ、国際組織犯罪に手を染めるテロリストを資金面で援助していると見なされてしまいます。その結果、ドル決済や日本国のパスポートを使った海外渡航が禁止という制裁措置を受ける可能性があるのです。

 日本国民が経済活動や海外渡航という点で自由や権利が野党5党が提出した法案によって侵害されるリスクがあることを隠している姿勢は大きな問題と言えるでしょう。

 

2:野党5党の政策はテロリストに便宜を図っていることと同じ

 日本は過激派に対する締め付けは世界水準で見れば、極めて緩い国です。今年の7月まで資金源を断つための法案すら存在しなかった現実からも明らかです。

 ようやく世界水準に追いついた矢先に野党5党が『廃止法案』を提出したのです。

 野党は与党議員の発言などを「世界がどう思っているのか」などと批判していますが、野党に所属する議員こそ、「自分たちがテロリストが利する法案を提出することを世界がどう思っているのか」と考えなければなりません。

 ただ、彼らに問いかけたところで「世界は歓迎している」と答え、世間一般をドン引きさせることでしょう。なぜなら、彼らの周りは活動家のフロント組織に属する者たちで多くを占めているからです。これでは世間から支持を得られないことは当たり前なのです。

 

3:自国の安全保障が大前提であることを見落としている野党

 野党5党が安全保障対策で致命的なのは「平和(=安全)であることが当たり前」という間違った前提で議論を進めようとしている点です。

 「平和(=安全)である状態が特殊なケース」であり、“誰か” が危険を取り除き続けているという現実を完全に見落としてしまっています。安心・安全が自然に存在するなら、警察や軍隊は必要ありません。しかし、現実には存在しますし、防犯対策や防衛対策が重要な項目として予算の対象になっているのです。

 『テロ等準備罪』を廃止したいのであれば、テロ対策の有効性(=TOC 条約の加入)を維持した法案を合わせて提出することが絶対条件です。

 テロ対策は野党が頻繁に引き合いに出す国際社会の要望でもあり、それを実現するどころか後退するような法案を平然と国会に提出する方が「恥ずかしい事態」と言えるでしょう。『テロ等準備罪』は不要であると考えるなら、同様の法案が存在する国際社会に対して「国民の自由と権利を侵害する恐れがある」との理由で廃止を要求しなければなりません。

 そうした行動を起こしていないのですから、野党5党が提出した法案の狙いは「日本や日本国民の自由と権利を制限するためのもの」だと言えるのではないでしょうか。