生活保護費(生活扶助)を引き下げるのであれば、医療費を実費負担させるべきだ

 厚労省の専門家会議が調査をしたところ、生活保護で食費などの生活扶助が一般の低所得世帯の生活費を上回っていることが明らかとなり、基準額の引き下げを検討していると NHK が伝えています。

 貧困問題に取り組む界隈から、生活保護費削減に対する反発が起きることでしょう。しかし、生活保護世帯は税制面などで優遇措置を受けている立場なのです。そのため、引き下げを拒むのであれば、優遇措置の撤廃を検討する必要があると言えるでしょう。

 

 生活保護で支給される食費などの生活扶助について、厚生労働省の専門家会議が調査した結果、大都市の子どもが2人いる世帯などで、生活扶助の金額が一般の低所得世帯の生活費を上回ったことがわかりました。厚生労働省はこうした世帯では基準額の引き下げを検討する方針です。

 

 生活保護を受給していると住民税が免除されるなど、低所得世帯とは異なった恩恵を享受できます。そのため、生活保護の受給額が低所得世帯の生活費を上回っているのであれば、制度上の問題があるということになるのです。

 したがって、厚労省が基準額の見直しに着手することは当然のことだと言えるでしょう。むしろ、見直しを行わず、現状を放置・黙認することの方が問題なのです。

 

1:生活保護費の大半は医療費に消えている

 生活保護を受給していれば、医療扶助を受けることができます。つまり、タダで医療行為を受けることができる立場にあるのです。

 その結果、生活保護費の半分がおよそ半分が医療扶助なのです。

 もちろん、怪我や病気で働くことができなくなり、生活保護を受給するようになった人は存在します。そうした立場の人々がいることを含めても、医療扶助に対する支出額はあまりに大きすぎると言えるでしょう。

 

2:なぜ、生活保護受給世帯だけがタダで医療サービスを享受できるのか

 もし、生活保護受給世帯が低所得世帯と同様に医療費を実費負担しているのであれば、生活扶助の基準額が引き下げられることに首をかしげる人が多いことでしょう。

 しかし、現実は違うのです。

  • 生活保護費
    • 生活扶助:低所得世帯の生活費よりも大
    • 医療扶助:タダで医療サービスを享受
    • その他:住民税が非課税など

 今回、厚労省の専門家会議が取り上げたのは生活保護費の中にある『生活扶助』の金額が一般的な低所得世帯の生活費を上回っているというものでした。

 生活費の中には医療費も含まれていることでしょう。ですが、生活保護受給世帯は『生活扶助』とは別に『医療扶助』の項目も有しており、“オイシイ” 立場にあるのです。なぜ、同じ医療サービスを享受する中で自己負担額に差があるのでしょうか。一般的な保険加入者と同様に3割負担とすることが筋だと言えるでしょう。

 

 医療費を含めた社会保障の負担額が大きくなっていることが国の財政を圧迫する最大の原因なのです。「誰でも医療サービスを受診できる」という制度を保ちたいのであれば、サービスに支払う対価も同じでなければなりません。

 多くの人々が3割負担をする中、高齢者なら2割、生活保護を受給していればタダという制度は不公平です。支払い額が負担でないなら、コンビニ受診が横行することとなり、医療保険を支払っている大多数が長い待ち時間を強いられることになっているのです。

 医師や看護師の過剰労働も問題となっている訳ですから、生活保護受給世帯に対する医療扶助を後期高齢者と同じ2割負担に引き上げることが最も現実的な生活保護制度解決案と言えるのではないでしょうか。