「阿蘇山噴火のリスクを考慮し、伊予原発の再稼動は差し止める」と退官目前の広島高裁裁判官が仮処分

 退官間際の裁判官が “置き土産” のような判決を出すケースが相次いでいます。

 広島県と愛媛県松山市に住む原告4名が伊方原発の運転停止を求めた裁判で広島高裁が「阿蘇山の噴火リスク」を理由に運転停止の仮処分を下したと NHK が伝えています。

 活動家がノーリスクで訴訟を起こせる状態を放置し続けたため、裁判官が退官間際に判決という形で応じる機会が与えられているのです。上級審などで仮処分判決を覆した後は「損害賠償訴訟」を起こし、原告らに責任を負わせることが必須と言えるでしょう。

 

 13日の決定で広島高裁の野々上友之裁判長は、熊本県にある阿蘇山が噴火しても火砕流が原発に到達しないと主張する四国電力の根拠となった噴火のシミュレーションについて、「過去に阿蘇山で実際に起きた火砕流とは異なる前提で行われており、原発に火砕流が到達していないと判断することはできないため、原発の立地は不適切だ」などと指摘しました。

 そのうえで、「阿蘇山の地下にはマグマだまりが存在し、原発の運用期間中に、巨大噴火が起きて原発に影響を及ぼす可能性が小さいとはいえない。巨大噴火が起きた場合、四国電力が想定した火山灰などの量は少なすぎる」と述べました。

 

 反原発を主張する活動家は訴訟合戦に持ち込んでいます。「活断層の危険性」を訴えてきた方針が実らなかったことを受け、「火山の危険性」に方針転換しているからです。

 広島高裁で裁判長を務め、退官間際であった野々上友之氏が “原告の思い” を汲み取る判決を下したと言えるでしょう。ですが、内容はあまりに雑すぎる理由であることは明らかです。

 

1:阿蘇山噴火の火砕流が四国に到達するなら、九州は壊滅

 四国電力の伊方原発は愛媛県・佐田岬半島の付け根部分に位置しています。広島高裁は「阿蘇山噴火で無視できないリスクがあるから、運転停止の仮処分を下す」と結論付けたのです。

 では、位置関係を確認することにしましょう。阿蘇山から半径140キロを範囲は下図の赤で示したエリアとなります。

画像:阿蘇山から半径140キロの範囲

 (最短距離でも)直線距離で130キロ離れた上、豊後水道を隔てた先にある伊方原発に阿蘇山(熊本県)の火砕流が到達するのであれば、九州全域は壊滅的な被害を受けていることでしょう。伊方原発のある北東方向だけに被害が集中したと仮定しても、大分県は消滅していることになります。

 こうした前提を見落とし、広島高裁の判決を根拠に反原発運動を展開すると思わぬ “しっぺ返し” を受けることになるのです。

 

2:「無視できない噴火のリスクがある地域で公共工事をするなど以ての外」という主張が正当性を持つ

 広島高裁の判決を用いた原発政策への批判を行うと、“思わぬ反撃” を受けるリスクがあることを念頭に置いておかなければなりません。具体的の述べると、地震や洪水など九州北部での災害対応で矢面に立たされることになるからです。

 「阿蘇山噴火のリスクを軽視できないなら、九州北部での自然災害に対する復興予算は無駄になる確率が高いということだ。復興用の予算は社会福祉に回すべきだと主張しているのか」

 上記のような “踏み絵” を迫られたら、反原発を訴える政党や政治家はどう対応するのでしょうか。「そうだ」と答えれば、「被災地を軽視している」と批判を受けるでしょう。「そんなことは言っていない」と答えれば、「では、広島高裁の判決はおかしいと認めるのですね」と追い詰められることになります。

 もちろん、既存マスコミが野党に忖度して、失言そのものをなかったものにしてくれることは考えられます。しかし、ネットが普及した現在では逃げ続けることは極めて難しいことと言えるでしょう。

 

3:退官間際の裁判官によるメチャクチャな判決が司法不信を招く

 今回、広島高裁の野々上友之裁判官が下したトンデモ判決ですが、同様の事例は他にも起きています。共通点としては「退官間際の裁判官」が活動家のための “置き土産” を判例として残していくというものです。

  • 樋口英明(福井地裁):「人格権」を根拠に高浜原発の再稼動を認めない仮処分
  • 西田隆裕(大阪地裁):朝鮮学校無償化訴訟で原告全面勝訴を7月28日に下すも、4月1日の時点で裁判官の資格なし

 専門分野の知見を持ったとは言えない裁判官が退官間際(=天下りの直前)に “トンデモ判例” を残し、後は野となれ山となれというスタンスで司法の現場から去っていくのです。

画像:法務省の人事情報を伝える朝日新聞

 こうした事例が存在する訳ですから、上級審で逆の判決が確定した場合は賠償請求をすることが必須と言えるでしょう。そうした行動を徹底しないかぎり、活動家に寄り添う裁判官に当たるまで訴訟を繰り返す輩が後を絶たなくなるからです。

 また、司法も「退官間際の裁判官」が下すようなトンデモ判決が出ることを防ぐための仕組み作りに注力する必要があります。野放しにすることで泣き寝入りを強いるような振る舞いは司法不信を招く大きな原因になっていることを自覚する必要があると言えるでしょう。

 

 大災害をもたらすリスクがあると広島高裁が認定した阿蘇山のある九州に自治体が存在し、そこに地方交付税が支給されていることは予算の浪費に直結することです。

 「行政の無駄を省く」と主張する野党は速やかに九州の自治体を解散させることを政府に迫るなどの行動を起こす必要があると言えるのではないでしょうか。