「組織内で起きた暴力事件に対する “法の支配” は及ばない」との態度を採る日本相撲協会から『公益』の資格を剥奪せよ

 元横綱・日馬富士の傷害事件に端を発した日本相撲協会の騒動ですが、協会側は貴乃花親方を理事から解任することを提案したと NHK が伝えています。

 貴乃花親方を理事から解任することで幕引きを行いたいのでしょう。しかし、『公益財団法人』として税金が免除されている恩恵を受ける団体として、法の支配を否定する行為をし続けることはあまりに不適切と言えるはずです。

 

1:「組織内で起きた暴力事件を警察に通報するな」と主張する日本相撲協会

 日本相撲協会は文科省が管轄する『公益財団法人』です。“公益” を名乗っているのは「スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養する」との理由からです。

 しかし、その資格を満たしているかは今回の騒動により、大きな疑念が生じたと言えるでしょう。

 なぜ、暴力事件の被害者側が制裁の対象になっているのでしょうか。「相撲協会の内部での処理を優先せよ」と主張するのであれば、『公益財団法人』として納税を免除されるなどの優遇措置は不適切です。

 法治国家である日本で「法の支配」が及ばない組織があるということになるのです。

 

 

2:学校内での暴力事件に警察の介入を極度に嫌う教育現場と同じ問題を抱える相撲協会

 文科省が管轄するとあって、日本相撲協会と学校は極めて似た性質を持つ組織と言えるでしょう。なぜなら、両者ともに組織内で発生した暴力事件に対し、外部の捜査機関である警察の介入を極端に嫌うからです。

 問題が起きた際、まず内部への報告を要求することも同じです。

 「身内の不祥事を世間に知られたくない」という前提で組織が行動を起こすのです。この点ではマスコミとの共通点も多いと言えるでしょう。

 加害者側や責任を担う立場の人間は「警察よりも、組織への報告」を優先させる傾向が強くなります。そうすることで、問題そのものを “なかったこと” にすることができるからです。

 暴力沙汰は刑事事件の対象であり、真っ先に警察へ通報することは何の落ち度もないのです。「暴力事件を所属組織よりも先に警察に通報するなど、社会人としてあり得ない」と主張するのであれば、どの会社がそう通告しているのかを明言すべきでしょう。

 間違いなく、コンプライアンス案件となりますので担当者のクビが飛ぶことになると思われます。

 

3:文科省は日本相撲協会から『公益財団法人』の資格を剥奪すべき

 暴力が黙認される『公益財団法人』など前代未聞でしょう。少なくとも、学校教育に対する責任を負う立場である文科省が管轄するには不適格だからです。

 『公益』の資格を満たしているとは言えないのですから、『財団法人』として出直すことを通告すべきです。

 「報告が遅かった」、「組織の聞き取り調査に非協力的だった」という理由で貴乃花親方を2階級降格させようとしているのです。被害者側に対する処分が2階級降格なのですから、加害者側への処分は甘すぎると言わざるを得ません。

 暴行事件の現場にいた当事者の2横綱(白鵬、鶴竜)は報告義務を果たしていません。また、伊勢ケ浜親方(日馬富士の師匠)も「よく分からない」と協会からの聞き取り調査に協力していたとは言い難い状況だったのです。加害者側の処分が貴乃花親方よりも軽いのですから、浮世離れした組織と言えるでしょう。

 

4:「初場所初日の協会ごあいさつ」で大ブーイングが起きるかが注目点だ

 大相撲は1月の初場所初日の “協会ごあいさつ” で幕を上がります。その際、理事長が挨拶文を音読することが通例となっており、観客がどういった反応を示すかが注目点と言えるでしょう。

 八角理事長や協会側の姿勢を支持する大歓声が飛ぶのか、それとも、対応を批判する大ブーイングが起きるのか。

 相撲が国技であるとは言え、運営している『公益財団法人』の対応が「法の支配」から逸脱していることが問題となっているのです。そのことに対し、チケットを購入するファンが初日にどういった反応を見せるかが大きな注目点と言えるのではないでしょうか。