誰でもミスはするが、外部から3度目の指摘でようやく間違いを認めた大阪大学の姿勢は褒められるものではない

 大阪大学で行われた入試試験で出題ミスがあり、本来であれば合格していた30名が不合格になったとことが明らかになったと NHK が伝えています。

 ミスは誰もがすることですが、認めるまでに1年近くを要したことは問題と言えるでしょう。外部から3度目の指摘でミスを認めたという姿勢も問題だと言えるはずです。

 

 大阪大学は、去年行われた入学試験で出題ミスがあり、合格するはずだった受験生30人を不合格にしていたほか、合格するはずの第1志望の学科に行けず別の学科に進学した学生が9人いることを明らかにしました。外部から3回にわたって指摘がありミスとわかったということで、大学は新年度からの入学を認め、補償も行うとしています。

 

 出題ミスの内容は「出題された問題の正解が複数存在したこと」です。ところが、正解の選択肢は1つのみとの間違った認識で、その解答を利用した次の問題が出題されており、出題ミスとなったのです。

 入試時におけるミスの内容としては珍しいものではありませんが、出題ミスの疑惑が浮上した際における対応が不味かったと言えるでしょう。

 

1:出題ミスの検証作業で入試問題作成者の意見を鵜呑みにしたことが問題

 ミスは誰しもが行うものです。その一方で意図的にミスをしようとする人物は極めて例外的ですし、自らのミスを認めたくないと考える人が多いことは当たり前と言えるはずです。

 大阪大学での出題ミスでは問題作成者の「ミスではない」とした返答で調査を終えたことは騒動を大きくする結果となりました。

 大学では教授の中でも力関係が存在することでしょう。「重鎮的な立場にいる教授の出題ミスを指摘できるチェック体制」が確立されていなければ、リスクマネジメントとしては不合格なのです。

 

2:前年度の出題担当者を責任者とする『出題ミス検証委員会』を立ち上げられる体制を作っておくべき

 大学入試の問題作成者は極秘事項だと思われます。また、基本的に問題作成者のほとんどは毎年入れ替わっていることが予想されます。

 つまり、2年連続で担当する教員はほぼいない訳ですから、“問題作成に携わっていない問題作成者と同じ見識・知識を持つ大学教員” が複数人存在しているはずなのです。

 そこで、前年度の入試問題を作成した大学教員を仮想的な組織『出題ミス検証委員会』に加入させておき、「出題ミス」が指摘された際に責任を持って検証する仕組みを用意しておくことが有効な再発防止策となるでしょう。

 また、「後期日程終了後に大学側の解答を公開し、ミスであることの指摘を真っ先にした人に感謝金を払う」といった形での再発防止策もありと思われます。

 

 作成時点で「ミス」のほとんどは排除されているはずです。それでも、排除し切れないミスも存在する訳ですから、出題した後にミスが発覚するケースもある訳です。この場合は速やかに挽回策を講じることができる体制になっていなければならないのです。

 大阪大学の対応は確かに褒められたものではないでしょう。

 しかし、30年以上も誤報を垂れ流してきた朝日新聞のようなマスコミの姿勢と比較すれば軽微なものと言えるでしょう。旧帝大の一角で起きた出題ミスで人生の歯車が(少し)狂った受験生たちにどうのように挽回のチャンスを与えるかが注目点と言えるのではないでしょうか。