春日野部屋で発生した暴行事件を相撲協会が隠蔽していた疑惑が浮上

 「春日野部屋で暴行事件が起き、傷害の罪で有罪判決が確定していた」と NHK を始めとするメディアが報じています。

 事件そのものを公表していなかったのですから、相撲協会または春日野親方が隠蔽工作をしていたと言えるでしょう。「なぜ、公表しなかったのか」という説明責任が日本相撲協会の現・執行部にはあるのです。

 

 4年前、大相撲の春日野部屋で兄弟子が弟弟子を殴りけがをさせたとして傷害の罪で執行猶予のついた有罪判決が確定していたことがわかりました。日本相撲協会は部屋側から当時、事件の報告を受けていましたが、事件について公表していませんでした。

 (中略)

 相撲協会の広報部は「春日野親方から報告されており、理事および親方として対応に問題はなかった」とコメントしています。

 

 「4年前の事件」という印象を持つ人もいるでしょう。しかし、事件が起きたのが4年前というだけで、(民事での)裁判は進行中の案件なのです。

 未公表ということは「世間に知らせるつもりはなかった」ということと同じです。この姿勢を知っていれば、貴乃花親方のように表沙汰にすることは当然のことと言えるでしょう。

 

1:春日野部屋で起きた暴行事件の時系列

 2014年9月に春日野部屋で発生した暴行事件に関する時系列は下表のとおりです。

  出来事
平成26年9月
(2014年)
春日野部屋で暴行事件が発生
平成26年10月
(2014年)
被害者が加害者である元力士を傷害容疑で、春日野親方を保護責任者遺棄容疑で刑事告訴
平成28年1月
(2016年)
春日野親方が理事候補に初当選
平成28年3月
(2016年)
八角理事長が再選。春日野親方が広報部長に就任
平成28年6月
(2016年)
東京地裁が加害者の元力士に懲役3年・執行猶予4年の判決を下し、刑が確定
平成29年3月
(2017年)
被害者が元力士と春日野親方に対し、損害賠償を求めて東京地裁に提訴(民事)
平成29年10月
(2017年)
日馬富士による暴行事件が発生

 春日野親方は「事件の数日後に協会に報告した」と説明しています。ですが、それが事実であったとしても、事件そのものをなかったことにする姿勢は問題です。

 なぜなら、刑事告訴され、執行猶予付きの有罪判決が確定。その上、昨年(2017年)3月には春日野親方も被告とする民事訴訟を起こされているのです。この件を “知らぬ、存ぜぬ” で通すのであれば、隠蔽との批判を受けることは当然と言えるでしょう。

 

2:広報部のトップは春日野親方である

 相撲協会の広報部は「問題ない」とコメントを出していますが、これほどの茶番はありません。なぜなら、春日野親方が広報部長だからです。

 対応に疑惑を持たれている人物がトップを務める部門が「問題はありません」とコメントすることほど、信憑性が怪しまれる事案はないと言えるでしょう。

  1. 相撲協会は「暴行事件の報告」を春日野親方から受けたとのことだが、どのような内容だったのか
  2. 報告を受けた相撲協会はどう動いたのか
  3. 暴行の翌月には刑事告訴されているが、告訴に対する報告は春日野親方からあったのか
  4. 民事での損害賠償請求が提訴された報告はあったのか

 春日野親方が明らかにすべきは「暴行事件の報告内容」と「刑事・民事で告訴された件を報告していたか」の2点でしょう。

 「ます、協会に報告すべき」と主張してきた訳ですから、どういった内容の報告をしていたかを説明できるはずです。春日野親方がきちんと報告した上で協会が隠蔽していたのであれば、協会側の責任が重たくなるからです。

 

3:“日本相撲協会の重役” としての肩書きを持つ春日野親方への処分は避けられない

 春日野部屋で起きた暴行事件について、春日野親方の処分は避けられないと言えるでしょう。

 「暴行事件の報告」を行ったとのことですから、事実であれば職務を果たしていたと思われます。しかし、「告訴が行われたこと」や「執行猶予付きの有罪判決が確定したこと」を公表しなかったことは “協会側の落ち度” です。

 その際、公表するかの決断は広報部長である春日野親方に決定権があったと考えられるため、「責務を果たしていない」との批判を受ける立場にあると断言できるでしょう。

 隠蔽した側の当事者であった疑いが強い春日野親方に対し、日本相撲協会がどのような処分を下すのかに注目と言えるのではないでしょうか。