朝日新聞、森友学園の問題で「当事者の証言を鵜呑みにし、裏付けを取らずに記事にしていた」ことを認める

 「『安倍晋三記念小学院(小学校)』と記載された申請書がある」との記事を2017年5月に報じた朝日新聞ですが、事実確認を行っていたことを認める内容の記事を2月6日付で掲載しています。

 報道機関が行うべき裏付け作業を怠った状態で記事を書き、内容が事実ではなかったのです。それに対する謝罪・訂正がない状況ですから、致命的と言えるでしょう。

 

 昨年5月8日、衆院予算委員会で当時民進党の福島伸享氏が、財務省から開示された設置趣意書の大部分が黒塗りだったことを明らかにした。福島氏は前理事長からの聞き取り結果として、タイトル部分に安倍晋三記念小学院(小学校)と書いていたのではないかと質問。前理事長らに開示の同意を得たとし、説明を求めた。

 (中略)

 財務省が説明を拒んでいる以上、当事者の前理事長にどう記載したかを確認する必要があると考え、朝日新聞は同日の国会審議後にあったインタビューで複数回にわたって質問。前理事長は「安倍晋三記念小学校」と設置趣意書に記載したと答えた。

 記事では前理事長の証言にもとづき、「籠池泰典氏が8日夜、朝日新聞の取材に応じ、『安倍晋三記念小学校』との校名を記した設立趣意書を2013年に財務省近畿財務局に出したと明らかにした」と報じた。

 

 朝日新聞が『安倍晋三記念小学校』と記載した理由を時系列に沿って説明していますが、報道機関が本来やらなければならない責務を怠っていたという事実には一切触れていません。これは “報道機関” を名乗る組織として致命的と言えるでしょう。

 

1:朝日新聞が説明した内容

 朝日新聞が説明した内容を時系列で整理すると次のようになります。

2017年5月
  1. 福島伸享議員(当時:民進党)が国会で黒塗り資料を提示して質問
  2. 財務省は「情報公開法の不開示情報」を理由に公開を拒否
  3. 籠池氏が「安倍晋三記念小学校と記載した」とインタビューで述べたため、朝日新聞は記事にした
2017年11月 情報開示で「開成小学校」だったことが判明
2018年2月 国会で安倍首相に「事実と異なる記事を書いた」と批判された朝日新聞が昨年5月に掲載した記事の取材内容などを発表

 “ジャーナリズム” を掲げる報道機関として「悲惨な水準」であると言えるでしょう。なぜなら、記事を作る上で必要不可欠である裏付け作業を怠っていたことが明らかになったからです。

 

2:裏付けなしで “片方の当事者” の主張を宣伝した朝日新聞

 朝日新聞が致命的なのは「裏付け作業(今回の場合は裏取り)を怠っていたことです。

 以前にも言及しましたが、籠池氏が「『安倍晋三記念小学校』という名称で申請した」とインタビューで主張したのであれば、発言の根拠を確認しなければなりません。籠池氏は “設立趣意書のコピー” を手元に持っているはずなのですから、確認することは難しくないはずです。

 記者として、記事を作成する上で怠ってはならない部分を疎かにしていたのです。訂正記事を出した上、迷惑をかけた当事者に謝罪することが報道機関の責務であると言えるでしょう。

 

3:朝日新聞は慰安婦報道と同じ構図で森友学園疑惑を報じ続けている

 「証言者の発言内容は事実なのか」を確認することの重要性は慰安婦報道で朝日新聞は学んでいなければなりません。どのような人物にも立場や利害関係は存在するのですから、証言しか根拠のない場合は信憑性を疑ってかからなければならないのです。

 詐欺師や利益誘導を企む人物、売名行為をしたい人物の発言には注意が必要です。

 なぜなら、裏付けを取れなければ、自社の信用を毀損することに直結するからです。読者に「正確で分かりやすい情報」を伝えるから、有料ビジネスが成り立つのです。

 ミスは誰しもがする可能性があることですが、基本的な確認事項を無視した上でのミスは擁護のしようがありません。「メディアの信頼を陥れる行為」を理由に執筆した記者や掲載を許可したデスクに厳しい処分を科すことが朝日新聞の責任だと言えるのではないでしょうか。