ドイツの連立交渉が合意、SPD (社民党)の党員投票で承認されれば政権発足

 NHK によりますと、2017年9月に行われたドイツ議会選挙の後から続いていた連立交渉が合意に達したとのことです。

 ただ、連立政権が発足するかは連立のパートナーである SPD (社会民主党)の党員投票次第です。今回の合意内容で容認されるかが最大の焦点と言えるでしょう。

 

 ドイツでは、去年9月に行われた議会選挙のあと、メルケル首相の4期目の政権発足に向けた連立交渉が難航し、4か月以上がたった今も政権が発足しない異常事態となっています。

 こうした中、メルケル首相が率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟と、第2党で中道左派の社会民主党との間で進められてきた連立交渉が7日、合意に達しました。

 (中略)

 社会民主党は今後、46万人余りのすべての党員を対象に、今回の合意を承認して最終的に連立政権に加わるかどうかを問う党員投票を行う予定ですが、これまで連立政権に加わったことで党の独自性が失われたとして、政権参加に反対する人も少なくないため、投票の結果が注目されます。

 

1:SPD (社民党)への譲歩内容がどれだけ評価されるか

 メルケル首相が率いる CDU/CSU (キリスト教民主・社会同盟)は一定の譲歩をしました。その内容を SPD 支持者が評価すれば、連立政権が発足することとなります。

  • 難民の受け入れは年間22万人までに抑制
  • 難民の家族の呼び寄せは月1000人(年12000人)まで
  • フランスと連携し、ユーロ圏の改革に取り組む
  • 外相と財務相は SPD に譲渡

 “緊縮派” のショイブレ財務相から SPD にポストが移動するのです。ある程度のバラマキは可能となるだけに、弱者支援に予算を配分することは可能と言えるでしょう。

 この条件を SPD の党員がどう評価するかです。“逃げ切り” が可能であったり、“あがり” に近い位置にいる議員は大連立に前向きですが、反対の声が根強いことは理解しておく必要があるでしょう。

 

2:結果が判明するのはピョンチャン五輪後になる可能性

 SPD が行う党員投票ですが、郵送による投開票ですので1ヶ月ほどは時間を要する見通しです。そのため、結果が判明するのはピョンチャン五輪が終了してからになる可能性があります。

 そこで、「大連立を組むかどうか」の結果が判明するのです。

 もし、「大連立は NO」と SPD の党員から突きつけられた場合、連立政権は頓挫することになります。その場合は総選挙になる可能性もあり、予断を許せる状況ではないと言えるでしょう。

 なぜなら、大連立を組んだことで CDU/CSU と SPD は政党支持率を落としているのです。問題の根本的な部分を解決しなければ、マスコミが “極右” と敵視する AfD が大躍進することも現実的にあると考えられます。

 

 “事勿れ主義” や “先送り主義” はどこかのタイミングでツケが爆発するのです。ドイツを反面教師にする価値はあると言えるのではないでしょうか。