NYT が「北朝鮮がシリアに化学兵器生産などを支援している」とスクープ、イラク戦争に突入した流れを彷彿させる

 テレビ朝日が「27日付のニューヨーク・タイムズが北朝鮮からシリアに化学兵器の材料を輸出していたことが明らかになったと伝えた」と報じています。

画像:北朝鮮の兵器輸出疑惑を報じるテレビ朝日

 北朝鮮の核・ミサイル兵器の開発資金を得るための手段として用いられていたとしても不思議ではありません。北朝鮮を爆撃するに十分すぎる理由がニューヨーク・タイムズの報道によって形成されたと言えるでしょう。

 

 27日付のニューヨーク・タイムズは未公開の国連調査団の報告書の内容として、北朝鮮からシリアへの不正な輸出が2012年から去年にかけて少なくとも40回あったと伝えました。輸出品には弾道ミサイルの部品や材料に加え、化学兵器の材料とみられるものが含まれていたということです。

 

 シリアのアサド政権は「市民に化学兵器を使用した」との理由で世界中から批判が出ている状況です。

 「その化学兵器を生産する手助けを北朝鮮が行っていた」との国連報告(未発表)が存在したとニューヨーク・タイムズはスクープしたのです。北朝鮮はアサド政権が化学兵器を使用したことに対し、共犯関係にあるのです。人権や人道を主張する界隈は北朝鮮の姿勢も厳しく批判する必要があると言えるでしょう。

 

1:イラク戦争の開戦を彷彿させる NYT のスクープ

 北朝鮮が核やミサイルを開発するために、自国の持つ化学兵器製造技術を提供する可能性は十分にあります。この報告書が北朝鮮への先制攻撃が行われる “きっかけ” となることは捨て切れない状況です。

 過去に、ニューヨーク・タイムズのジュディス・ミラー記者が「イラクに大量兵器がある」と書き、イラク戦争の開戦を正当化しました。その後、イラクには大量兵器は存在せず、記事は誤報と判明したのです。

 今回の北朝鮮は「核兵器や弾道ミサイルを保持ている」と公言していることがイラク・フセイン政権とは大きく異なります。「シリア・アサド政権に化学兵器の製造で手を貸している」と報じられた国を野放しにしておくことが容認される可能性は低いと言えるでしょう。

 

2:“欧米が嫌う中東独裁国の化学兵器製造を手助けする国” が核兵器と弾道ミサイルを開発中という現実

 特に、イスラエルは北朝鮮の動きを嫌うでしょう。なぜなら、北朝鮮の核やミサイルが中東の国に渡る可能性があるからです。

 化学兵器の製造技術をシリアに売った(と疑われ、報告書に記されている)国が核兵器で同じことをしない保証はどこにもありません。

 周辺国から恨みを買っているイスラエルに核兵器で攻撃したいと考える過激思想を持った人物はいるでしょう。「イスラエルのことだから無関係で良いのでは?」との考えもありますが、それは間違いです。

 なぜなら、“イスラエルに向いている(はずの)敵意” が他の方向に向く可能性があるからです。そのため、危険人物が大量兵器を手にすることは絶対に回避しなければならないことなのです。

 

 「話し合いでの解決」を主張するのであれば、北朝鮮の核兵器開発や化学兵器製造についても話し合いで解決する必要があるでしょう。岐路に立たされているのは北朝鮮だけでなく、北朝鮮の姿勢に理解を示す人々もだと言えるのではないでしょうか。