朝日新聞が報じた「森友学園をめぐる決裁文書の書き換え疑惑」のまとめ(2018年3月9日現在)

 朝日新聞が3月2日付の記事で「財務省が森友学園をめぐる決裁文書を書き換えか」と報じた件が迷走し始めています。その原因は朝日新聞が「書き換えの根拠」を提示していないことと言えるでしょう。

 一方、毎日新聞は3月8日付の記事で「別文書には該当の表現が使われていることは確認できる」と報じており、朝日新聞が説明責任を果たす必要があることは言うまでもないことです。

 

1:朝日新聞と毎日新聞が報じた内容

 『3月2日付で朝日新聞が報じた記事』と『3月8日付で毎日新聞が報じた記事』に記載されている内容を整理すると、下図のようになります。

画像:朝日新聞と毎日新聞が報じた『森友文書』報道の比較

 朝日新聞は「決裁文書が問題発覚後に書き換えられた疑いがある」と3月2日付の記事でスクープを出しました。

 しかし、スクープの根拠が示されていないのです。朝日新聞は「『決裁文書A』が森友問題発覚後に書き換えられた」という疑惑を報じたのですが、書き換えを裏付ける証拠は全く示していません。しかも、『決裁文書Aの原本のコピー』は『国会議員らに開示された決裁文書A』と同じなのです。

 また、毎日新聞は「朝日新聞が報じた文言は『決裁文書B』に存在する」と報じています。

 ただ、『決裁文書A』と『決裁文書B』は全くの別物です。そのため、内容が異なっていることが当然であり、『決裁文書B』は「『決裁文書A』が書き換え・改ざんされた証拠」になることはないのです。

 

2:朝日新聞の姿勢は3月9日に報じた続報でも変化せず

 書き換え・改ざんの根拠が疑われている朝日新聞は3月9日付で続報を出しましたが、2日付の報道内容を裏付ける根拠は何1つ示されていない状況に変化はありません。

 朝日新聞が報じた “今回の疑惑” に関係がある『決裁文書』は少なくとも3種類は存在します。当初の予定では「貸付契約」だったものが、ゴミが発見されたことで「売買契約」に変更されたのです。

画像:決裁文書の位置づけ

 「『売買契約の決裁文書』が問題発覚後に書き換え・改ざんされた」と朝日新聞はスクープしました。

 しかし、「書き換え・改ざんがあった」と主張しているのは朝日新聞だけで、他のメディアは「朝日新聞の主張が正しいこと」の確認すらできていません。また、当の朝日新聞でさえ、書き換え・改ざんの根拠を示していない有様なのです。

 さすがに、朝日新聞の報道に乗っかることは異常だと言えるでしょう。

 

3:朝日新聞がすべきは “確認した文書” を示し、書き換え・改ざんの証拠を出すこと

 朝日新聞は「決裁番号は同じ」と書き換え・改ざん疑惑を報じた記事で言及しています。

 決裁番号はお札でいう「通し番号」に該当するものです。そのため、「『別の決裁文書』との混同ではない」と朝日新聞は宣言していると考えて問題はないでしょう。

 ただ、『同じ決裁番号を持った文書』であっても、作成段階の草案(=ドラフト版)は存在することが考えられます。ですが、書き換えがあったとする2枚目以降のページを草案(=ドラフト版)に記載された内容を基に記事を書いたのであれば、明らかな捏造となります。

 朝日新聞が自ら報じた記事の根拠を示すことは当然です。「取材源の秘匿」を理由にすれば、記事の根拠となった “確認した文書” の公開を免れることはありません。

 それなりの配慮を加えたとしても、“確認した文書” の内容を公開することはできるはずです。それすらしない朝日新聞は報道機関を名乗る資格はないと言えるのではないでしょうか。