朝日新聞、報ステが流した「加計・獣医学部の開学時期疑惑」を京産大・元教授の発言を使って再び印象操作を行う

 獣医学部の申請をめぐり、朝日新聞が「京都産業大学は官邸に呼ばれておらず、それによって不利になった」とする記事を書いています。

 この記事は事実関係を無視した誤報と呼べる代物であり、過去にも報道ステーションが同様の印象操作を行っており、注意が必要です。

画像:朝日新聞の記事に対するファクトチェック

 

■ 朝日新聞が報じた記事

 朝日新聞は4月13日付の署名記事で次のように報じています。

画像:朝日新聞が報じた記事

 国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が同年11月、獣医学部の空白地域に限って新設を認める方針を打ち出したほか、「18年度開学」「1校に限る」など京産大にとって不利になる条件が示されたため、応募を見送り。17年7月には、将来にわたって獣医学部新設を断念すると表明した。

 大槻氏は「突然、(京産大が不利になる)条件が出てきて、我々の計画にふたをかぶせられてしまった。国のやり方はフェアではないと思います」と話している。(岡崎明子、星野典久)

 朝日新聞は京産大を退職した大槻公一氏のコメントを引き合いに、“加計ありき” だったと主張しているのです。

 しかし、これはデタラメです。官邸に呼ばれることが獣医学部の申請に優位になることはありませんし、京産大が申請を取り下げた理由も政権の意向ではないからです。

 

■ 朝日新聞が報じていない事実

1:獣医学部新設をめぐる時系列

 まず、時系列を把握する必要があるでしょう。

画像:獣医学部新設をめぐる時系列

 京都産業大学(申請した自治体は京都府)が獣医学部新設の申請を行ったのは2016年3月です。同年9月に今治市からの申請を対処していたワーキンググループで「今治だけでなく、京都からも申請がある」との発言があり、政権が除外したことはありません。

 また、2016年10月のワーキンググループでは「文科省に門前払いされた」と当事者である京産大が述べており、(京産大の)計画を妨害しているのは文科省であることが明らかと言えるはずです。

 

2:大槻氏が現職時に京産大が「時間的に無理だった。選考はフェア」と会見済み

 次に、昨年7月にテレビ朝日『報道ステーション』が京産大が獣医学部新設を断念した際の会見で切り貼り報道を行ったのですが、その際に “切り捨てられていた部分” を思い出す必要があります。

画像:京産大による質疑応答1

 「開学の時期は京産大外しではない」と質疑応答で明言していますし、「不透明な決定という感触もない」と回答しているのです。

画像:京産大による質疑応答2

 「国のやり方がフェアでない」と主張する大槻氏は、なぜ在職時に声を上げなかったのでしょうか。朝日新聞などのメディアは “そうした声” を探していた訳ですから、声をあげるチャンスは十分に存在したはずです。

 それをしていない時点で、言いがかりに過ぎないと言えるでしょう。

 

3:京産大に不利な条件を提示したのは獣医師会の陳情を受けた文科省

 最終的に国家戦略特区の諮問会議が「獣医学部新設の要件」を決定しましたが、要件の内容に注文を付けたのは獣医学部からの陳情を受けて文科省に働きかけを行った議員たちです。

 なぜ、朝日新聞は「獣医学部新設の要件」が決まるに至った経緯を無視するのでしょうか。

 獣医師会から献金を受け取り、獣医学部新設に反対する活動をする議員にスポットを当てたくない理由が存在するのでしょう。ワーキンググループの審査で評価を受ければ、複数の申請者でも認可が出る可能性があったのです。

 もし、マスコミの言う “加計ありき” であれば、京産大の申請は諮問会議でも批判的な見解が示されていたはずです。諮問会議の議長である安倍首相に忖度し、「文科省の言うとおりですね。難しいと思います」と門前払いにしていたことでしょう。

 マスコミの批判自体が筋違いとなっている状況なのです。

 

4:「京産大の提案が出るのを待ってから審査すべき」との主張は無理筋

 「 “1校に限る” と諮問会議が決めたのだから、申請が出揃うまで待つべき」との意見はあるでしょう。しかし、これは非現実であり、規制維持派を利する主張です。

 なぜなら、申請の意志を示したにもかかわらず具体的な動きをしない学校が1つでも現れると、岩盤規制を突破することが不可能になるからです。

 「弊校も獣医学部新設に興味を持っている」と言う学校が現れると、どれだけ具体的に計画が進行している学校法人があったとしても、申請が認可されることは起こり得ないのです。ある意味、最強の岩盤規制と言えるでしょう。

 既存の獣医学部を持つ大学は新規参入に否定的だった訳ですから、系列の学校法人が「獣医学部新設に興味がある」と言い出す可能性があった状況なのです。これを容認することは利権容認と大差はないと言えるはずです。

 

 『報道ステーション』が過去に流した印象操作を朝日新聞が繰り返すという形は悪質です。レッテル貼りによる業務妨害を続けるメディアに対する罰則規定を成立させ、厳格に適用する必要があると言えるのではないでしょうか。