中国の資源泥棒と海洋権益拡大政策にメディアは批判の声を高めるべき

 読売新聞によりますと、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内で無断の海底調査を実施していたことが明らかになったとのことです。

 このような実態を放置すると、海洋資源を根こそぎ強奪される上、権益をも失うことになります。「国益を守る」という点においても、マスコミは中国の姿勢を厳しく批判する声を強める必要があるでしょう。

 

 日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国が日本政府の同意を得ずに海底調査し、豊富な資源を含む「海底熱水鉱床」やレアアース(希土類)、希少な深海生物などの海底資源類を採取していたことが明らかになった。

 (中略)

 中国側は調査内容を論文にすることで、学問上の優先権(先取権)を得ることや、大陸棚に関する自国の主張を補強して海洋権益を拡大することを、狙っているとみられる。

 中国の海洋資源泥棒を驚きを持って受け止める人は少ないでしょう。なぜなら、赤珊瑚の件などで前例があるからです。

 当然、野放しにしてはならないことですし、政府とマスコミはそれぞれの分野で中国の行動を批判する必要があるはずです。それができているのかを見直す必要があると言えるでしょう。

 

中国による海洋資源泥棒とその狙い

 中国が無断で海洋資源の採取を行っていた海域は以下のとおりです。

画像:中国が日本のEEZ内で行った無断採掘地点(読売新聞より)

 沖縄トラフや沖ノ鳥島など「海底鉱物が存在する可能性がある」と目される海域が中心となっています。狙いは「資源と海洋権益の確保」と言えるでしょう。

 中国は「大陸棚があるため、沖縄トラフまで中国のもの」と主張しています。これを裏付けるための主張をするために無断調査を強行し、「中国のものだ」と既成事実化を進めようとしているのです。沖ノ鳥島のケースも同じような狙いがあると言えるはずです。

 

中国の海洋政策に対し、「大国としての振る舞いを身に付けよ」と苦言を呈する必要がある

 政府やマスコミは中国の海洋政策に対し、苦言を呈することが最低限の責務と言えるでしょう。なぜなら、すでに赤珊瑚の件で日本の海洋資源が強奪されているからです。

 苦言の方法については河野外相がすでに実践しています。

 王氏は会談の冒頭、中国の海洋進出を牽制(けんせい)した河野氏の発言について「失望した」と批判。河野氏は「中国には大国としての振る舞いというものを身につけていただく必要がある」と反論した。

 今後は「いつになったら、大国としての振る舞いが身につくのか」と河野太郎外相の発言を活かす形で中国政府の動きを批判することが求められます。

 河野外相は自身の発言を繰り返すことで役割を果たしたことになります。その一方で、中国政府に “べったり” であるマスコミは中国の海洋進出を批判する論調の社説を書き続けられるかが試金石になるでしょう。

 

 「タフな質問をしている」と自画自賛する自称・ジャーナリストがいますが、人権を軽視した報復行為に出る中国政府に対して本当に “タフな質問” をしているのかは論調で判別できるはずです。

 赤珊瑚を窃盗するなどの前科もあるだけに中国の海洋進出を黙認するメリットはありません。国連の常任理事国で拒否権を持つ中国は「自らの横暴な振る舞い」を咎められない立場にあるのです。

 言論面には制約が存在しない訳ですから、「中国の横暴な振る舞い」はメディアが論理的に真正面から批判を向けるべきと言えるのではないでしょうか。