野党:麻生大臣の G20 出席に加え、小野寺防衛大臣の訪米も衆院議院運営委員会で反対する

 NHK によりますと、衆議院・議院運営委員会の理事会で野党が「麻生財務相の G20 出席」と「小野寺防衛大臣の訪米」を了承しなかったとのことです。

 理事全員が拒否権を持っている訳ではありませんが、“全会一致” が慣例化しているだけです。ただ、「『財務相の G20 出席』や『防衛相の同盟国訪問』よりも重要なテーマがある」と野党は態度で示していることを認識しておく必要があると言えるでしょう。

 

衆議院・議院運営委員会の理事

 衆院の議院運営委員会で理事を務める野党議員は以下の2名です。

  • 理事
    • 手塚 仁雄(立憲民主党:比例東京・東京5区)
    • 牧 義夫(希望の党:比例東海・愛知4区)
  • 委員
    • 中谷 一馬(立憲民主党:比例南関東・神奈川7区)
    • 山内 康一(立憲民主党:比例九州・福岡3区)
    • 伊藤 俊輔(希望の党:比例東京・東京23区)
    • 本村 賢太郎(希望の党:比例南関東・神奈川14区)
    • 福田 昭夫(無所属の会:栃木2区)
    • 塩川 鉄也(共産党:比例北関東)

 麻生財務相や小野寺防衛相の訪米に理解を示したのは自民・公明・維新と NHK は報じています。他の政党は「別件の対処を優先すべき」と主張した訳ですから、理事だけでなく委員の名前もチェックしておく必要があると言えるでしょう。

 

麻生財務相の G20 出席について

 麻生財務相はアメリカで行われる G20 に出席するため、衆院の議院運営委員会に理解を求めたと NHK が報じています。

 自民・公明両党と日本維新の会は、「国益の観点から、会議に出席すべきだ」などとして理解を示しましたが、立憲民主党や希望の党などは、決裁文書の改ざん問題や、福田事務次官が女性記者にセクハラ発言をしたとされる問題などへの対応を優先すべきだと主張して意見がまとまらず、了承されませんでした。

 G20 の主要議題は「米中間の貿易摩擦」になるでしょう。関税戦争が本格化しそうな勢いで互いに “掛け金” を投じている状況だからです。

 財務大臣が出席する価値はある訳ですし、G20 出席に合わせて(アメリカ政府で経済を担当する)ペンス副大統領と対談を行うことができれば効果は大きいと言えるでしょう。

 しかし、立憲民主党や希望の党などは「決算文書の改ざん問題」や「セクハラ疑惑への対応」を優先すべきと主張しているのです。(財務相が指示していない)それらの問題を優先して取り組むことで、G20 に出席するよりも日本経済にプラス効果がもたらされるのでしょうか。

 「あまりに活動家目線が酷すぎる」と言わざるを得ない主張となっています。

 

小野寺防衛相の訪米について

 麻生財務相は18日に G20 出席の理解を衆院・議院運営委員会に求めました。その翌日に小野寺防衛相が訪米への理解を求めたのですが、またも同じ反応が繰り返されることになったと NHK が伝えています。

 自民・公明両党と日本維新の会は「日米首脳会談の直後であり、北朝鮮への対応なども議題になる極めて重要な会談だ」などとして理解を示しましたが、立憲民主党や希望の党などは、自衛隊の日報問題などの対応を優先すべきだとして反対し、意見がまとまらず、了承されませんでした。

 こちらは北朝鮮情勢が大きなテーマです。米朝首脳会談が実施され、その場で北朝鮮が核廃棄を不可逆的かつ検証可能な状態で担保できなければ緊張が一気に高まることになります。

 その際、歩調を合わせて問題に取り組む必要がある同盟国との防衛相会談は極めて重要と言えるでしょう。

 しかし、野党は「日報問題の対応」が重要と主張しているのです。『戦闘』の定義をめぐる “言葉遊び” への対応を優先することで、国の安全保障が守られるのでしょうか。倒閣運動に邁進するのは野党の勝手ですが、北朝鮮情勢に無頓着すぎる野党の姿勢は極めて問題と言わざるを得ません。

 

 厳しい直接的な言い方をすれば、麻生財務相や小野寺防衛相の訪米に反対する野党は政策議論能力に欠けているのでしょう。

 経済政策や国防政策は難易度が高く、対処を間違えると大きな損害を出すことになります。実行するのは政府ですが、野党は「政府の姿勢には反対」とのスタンスで差別化を図っています。

 つまり、“逆張り” をするしか能のない野党は「政府が成果を出す可能性のある分野に踏み込むと、自分たちにマイナスポイントが貯まる」という判断が働いているため、重要度が低くても自分たちが政権に難癖を付けられるテーマを選び、パフォーマンスに終始しているのです。

 当然、その場しのぎですから、以前の主張内容や対応での矛盾が生じることになるのです。『真っ当な政治』を掲げるのであれば、「国会は議論の場」であることを自覚しなければならないでしょう。「吊るし上げの舞台」として野党が利用している状況こそ、不誠実と言えるのではないでしょうか。