「北朝鮮から『非核化に向けた約束』を取り付ける外交をすべき」と主張する朝日新聞こそ、過去の歴史を思い返すべき

 4月27日に韓国と北朝鮮が首脳会談を行ったことを受け、翌28日の社説で朝日新聞が「北朝鮮から非核化に向けた具体的な行動と約束を取り付けるべき」と主張しています。

 この手法では過去の失敗を繰り返すことになるでしょう。なぜなら、北朝鮮はこれまでに何度も『非核化』を約束し、それを破ってきたという歴史があるからです。

 

 トランプ米大統領は、今回の南北会談の結果について綿密に分析し、金氏から非核化への具体的な行動と約束を取りつける十分な方策を練るべきだ。

 段階的に非核化をめざした過去の合意を生かせなかった失敗を繰り返さず、なおかつ、芽生え始めた和平の動きを摘んでしまわない。そんな巧みな配慮と外交戦術が求められる。

 (中略)

 非核化や地域の平和構築の問題が動き始めた時に、日本がまったく関与しないという選択肢はない。

 朝日新聞は “お得意” の「バスに乗り遅れるな」を掲げています。

 しかし、現時点で制裁の緩和・解除に言及した国はありません。地域に緊張をもたらした独裁国が「『元の状態』に戻っても良い」との意向を示唆しただけで国際社会から様々な支援や援助を受けられる状況こそ、おかしいと言えるでしょう。

 

「非核化の約束」を何度も破ってきた北朝鮮

 朝日新聞が思い出さなければならないことは「北朝鮮が過去に何度も『非核化の約束』を破ってきた」という現実です。

 この現実を見据えれば、北朝鮮の姿勢を信用すること自体が “お人好し” と言えるでしょう。『非核化』を「明文化した約束」でさえ、北朝鮮は平気で破っているのです。

 今回の南北首脳会談での「約束」も同じ結果になる可能性がある状態なのです。そのため、北朝鮮への制裁などを見直すのは「核兵器の廃絶」など具体的な進展が確認された後で十分だと言えるはずです。

 

過去に騙された側のアメリカなどが「北朝鮮に “配慮” しなければならない理由」はない

 「芽生え始めた和平の動きを摘み取らない配慮が求められる」と朝日新聞は社説で主張していますが、これは発言を向ける相手が間違っています。

 朝鮮戦争は「休戦」しており、偶発的な衝突も散発的な戦闘もない状態です。

 事実上の和平が締結済みであることはメディアも認めていることでしょう。そうでないなら、戦争状態とみなす韓国に多くの観光客が訪問することを懸念する記事をマスコミが何度も報じているはずだからです。

 過去に北朝鮮が何度も破り続けた「約束」を得るために、「和平の動き」に “配慮” する必要はアメリカを始めとする騙された側の国々には存在しないのです。北朝鮮ネタを報じたいメディアが「北朝鮮に譲歩して欲しい」と希望しているに過ぎないと見ておく必要があるでしょう。

 

「先にリターンを得て、手のひらを返す」ことが北朝鮮の十八番

 北朝鮮との交渉では「見返りを手にした時点で裏切る」という事実を覚えておかなければなりません。

 『段階的なアプローチ』を採用しても、“一定の見返り” を手にした段階で手のひらを返しています。つまり、制裁解除などの見返りを与えるのは「北朝鮮の核廃絶が完了したと確認された後」でなければ、騙されることになるのです。

 現在、北朝鮮問題に携わっている政治家や行政員で「北朝鮮の裏切り」を経験している人物は決めて限定的でしょう。なぜなら、失敗の責任を取らされていたり、第一線から退いていることがほとんどだからです。

 いつの時代にも詐欺に騙される人は存在します。ただ、同じ詐欺師に “同様の手口” で騙され続けることは避けなければなりません。「信じる」にしても、相手側に「信用するに値する態度を行動で示せ」と迫ることが必要と言えるのではないでしょうか。