日本での MeToo 運動は終わった。TOKIO 山口達也氏の行為こそ、MeToo 運動で批判されるべきものだからだ

 人気アイドルグループ『TOKIO』の山口達也氏が未成年に対する強制わいせつ容疑で書類送検されました。

 5月1日に起訴猶予処分となったのですが、この件に対し、MeToo 運動が全くと言っていいほど発生していないことは気になるところです。

 MeToo 運動の大元となったアメリカと同じ問題が起きたにも関わらず、そうした動きがないことで「MeToo 運動は終わった」と見なされることになるでしょう。

 

「MeToo 運動」とは

 アメリカで起きた MeToo 運動は「著名人からのセクハラ行為(=ほとんどが強制わいせつ)に泣き寝入りせず、声をあげる」というものです。

 映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏やコメディアンのビル・コスビー(Bill Cosby)氏が「強制わいせつ」で告発されています。これが "#MeToo" として広がりを見せたのです。

 TOKIO の山口達也氏は「未成年に対する強制わいせつ容疑」で警察に告発され、本人も告発された内容を認めています。

 したがって、#MeToo の価値観に沿って山口達也氏の行為を批判することができなければ、MeToo 運動そのものが価値を失うことになって当然と言えるでしょう。

 

加害者および所属事務所に対する「忖度」を一斉に行うマスコミ

 山口達也氏の起こした問題に対し、対応がブレなかった唯一のメディアは読売新聞だけです。書類送検のニュースを報じる際は「山口達也容疑者」と書き、起訴猶予となった後は「山口達也さん」と通常通りの報道体制を採っていたからです。

 しかし、他のメディアは違います。読売新聞系列の日本テレビでさえ、「山口達也メンバー」と忖度している有様でした。

 #MeToo を掲げ、財務省次官のセクハラ疑惑を舌鋒鋭く批判していたマスコミは「山口達也メンバー」と報じています。MeToo 運動で批判が起きる原因となった「権力者による強制わいせつ」が日本国内で起きていたことが明るみに出たにも関わらず、何ら批判の声をあげようとしないのです。

 これでは「MeToo 運動は安倍政権を批判するための口実だった」と世間に認知されることになるでしょう。そもそも、“個人的な復讐” を目的に運動を展開していた傾向が強かったこともあり、「人気アイドルの不祥事」を契機にメディアは撤退を始めると思われます。

 

ジャニーズ事務所に再発防止策を提示・実行させる運動をすべきだ

 ジャニーズ事務所の対応は批判を呼ぶものと言えるでしょう。問題を把握してから、加害者側タレントのテレビ出演を継続させる一方、被害者側との示談交渉を行っていたからです。

 示談交渉を始めた段階で山口達也氏の芸能活動を一時休止とすべきでした。

 事件が世間に知れたのは「書類送検されたから」です。もし、被害者側が書類送検をされる前の段階で被害届を取り下げていれば、問題そのものが “なかったこと” にされていた恐れが強いと言えるでしょう。

 ジュニアとして未成年を囲い込み、合宿所などという形で教育をしてきたのがジャニーズ事務所です。現在では合宿所はなくなりましたが、未成年を青田買いし、教育している実態は存在しているのです。

 ジャニーズ事務所の役員は「再発防止策の提示」も「所属タレントへの教育・ケア」も行わないのでしょうか。今回の問題に対する批判をジャニーズ事務所にできないようでは同じ問題が今後も起きることになるでしょう。

 

 #MeToo が「女性の人権を守るための運動」なのか、それとも「安倍政権を批判するためのパフォーマンス」に過ぎないのかは言い訳ができないほどに明らかになるでしょう。

 「政治活動」や「個人的な復讐」が見え見えの “運動” は衰退・消滅すべきです。マスコミは “おかしな活動” でバッシングを受けた人々の人権救済を訴える言論を展開し、被害者救済に向けて動く必要があると言えるのではないでしょうか。