大飯原発が再稼働した関西電力、平均5%の値下げを経産省に申請

 大飯原発3・4号機が再稼働したことで関西電力が7月1日から平均 5% の値下げを国に申請したと読売新聞が報じています。

 反原発派は「原発を稼働させると、電気代が下がる」という現実から目を背けるべきではありません。この事実を隠し、生活コストを高めるような政策を進めさせようとすることは大きな問題と言わざるを得ません。

 

 関西電力は28日、原子力発電所の再稼働を受け、電気料金の抜本的な値下げを国に届け出たと発表した。

 7月1日から家庭向けは平均4・03%、企業向けは平均5・94%値下げする。東日本大震災後、2回目の値下げとなる。

 メディアが報じた記事の内容は関西電力が公式ウェブサイト上で公開しています。

 値下げの理由は「火力燃料費などの削減分」と説明されており、原発再稼働が大きく寄与したことは明らかです。この現実から目を背け、原発を止めてしまうと電気代上昇という代償を支払うことになるのです。

 

値下げの理由は「燃料費が大幅に下がった」から

 関西電力が値下げの理由(PDF)を発表しています。この資料から、燃料費が1000億円超も削減できていることが確認可能です。

画像:関西電力による値下げ資料(1)

 人件費や減価償却などでも削減が進んでいますが、燃料費の削減分と比較すれば微々たるものです。それだけ原発再稼働で削減できる火力燃料費は電気代に大きくのしかかっているのです。

画像:関西電力による値下げ資料(2)

 

電気代は震災前の水準に戻ったが、再生エネ分が上乗せされている事実は忘れられている

 一部のマスコミは「電気代が震災前の水準に戻った」と報じています。ただ、重要な点を見落としているのです。

画像:電気料金の推移

 震災前は 16.00 円/kWh でしたが、今回の値下げで 16.44 円/kWh にまで下がりました。ただ、FIT による再エネ割賦金は含まれていないのです。

 FIT による負担分はこれからも上昇することは確実視されており、電気代は現行水準より高くなることでしょう。この点を再生可能エネルギーを推進する反原発派は触れようとはしておらず、騙されないようにする必要があります。

 

現状で 16.44 円/kWh を下回る価格を提示できない再生エネは厳しい

 「再生可能エネルギーには競争力がある」と主張する人々がいますが、その主張が事実であるなら、高額で全量を買い取らなければならない理由が消滅します。

 原発を再稼働させた関西電力は値下げをして 16.44 円/kWh で消費者に売電していますが、再エネによる FIT は別枠扱いです。3円弱/kWh が別個で上乗せされている形になっている訳ですから、完全に震災前の水準に戻ったとは言えないのです。

 太陽光発電が 42円/kWh で買い取られていることは異様ですし、値段が引き下げられたと言っても、20円台/kWh は高値であることは否定できないでしょう。

 再生可能エネルギーの普及を応援したいという人がいるのであれば、そうした人々が再エネで発電された電力を買い取る電気料金制度を導入すべきです。全消費者が強制的に割高な電気代を負担させられるという制度は是正する必要があると言えるのではないでしょうか。