朝日新聞、社説で「中国の軍事的脅威に対抗可能な陸上イージスの導入は反対」と主張する

 朝日新聞が6月27日付の社説で陸上版イージスに該当する『イージス・アショア』の導入に反対しています。

 ただ、導入反対の理由が「中国の巡航ミサイルまで対処すると、外交関係への影響が生じる恐れがある」というものです。中国共産党の機関紙のような主張を展開していると言えるでしょう。

 

朝日新聞がイージス・アショア導入に反対する理由

 朝日新聞が社説でイージス・アショアの導入に反対している理由として、以下の内容を掲げています。

  • 導入コストが高い
    → 海上保安庁の年間予算(約2000億円)に匹敵する規模
  • 対中関係の緊張を招きかねない
    • 中国の巡航ミサイルへの対処が可能
    • アメリカ本土に向かう弾道ミサイルの追尾情報の提供

 まず、イージス・アショアが担う役割と異なる仕事をする部門との費用比較は意味がありません。「ミサイル防衛」は海上保安庁の仕事ではない訳ですから、そもそも比較の対象にすることが問題です。

 次に、『防衛システム』の導入に反発する外国の意向を気にする必要など皆無です。銀行が狙われやすいのは「現金があるから」です。「防犯対策が犯行を誘発するのではない」という現実を認識する必要があります。

 

イージス艦の建造・運営費と比較しなければならない

 イージス・アショアの『導入コスト』を論じるのであれば、その比較対象はイージス艦になります。なぜなら、ミサイル防衛という同じ役割を担っているからです。

 ですが、朝日新聞はこの比較は行わないでしょう。なぜなら、陸上での運用(=イージス・アショア)の方が海上運用より、費用対効果が高いことは自明だからです。

 特に、運用に携わる自衛隊員の人件費です。イージス艦の乗組員は1度出航すると、任務を終えて帰港するまで乗船したままです。休憩・休息時間があるとは言え、拘束状態なのですから人件費は高くなります。

 また、機器故障などメンテナンスの必要性が生じた場合に陸上の方が速やかに対処することは可能です。こうした利点がある訳ですから、それを隠蔽するために “ミサイル防衛を本業としない” 海保との比較をしているのでしょう。

 

「中国の軍事的脅威に対処するな」と要求する朝日新聞

 日本を狙う巡航ミサイルはどの国から発射されたものであっても、対処されなければなりません。

 ところが、朝日新聞は「中国の巡航ミサイルにまで対処してしまうと、対中関係が緊張する」と主張しているのです。なぜ、『防御システム』の充実を図ると、両国関係が悪化するのでしょうか。

 これは朝日新聞が「ミサイル防衛に力を入れられると、現状のミサイル攻撃が通用しなくなる」という中国の事情を代弁した言論だからです。

 イージス・アショアが導入されると、中国は巡航ミサイルで日本に甚大な被害を与えられる可能性が低下します。つまり、先制攻撃の有効性が著しく低下するため、これを嫌っているのです。

 この “中国政府の思い” に忖度する意味は日本国民には存在しないと言えるでしょう。

 

「イージス・アショアがなければ、いきなり都市部が攻撃される」という現実を認識すべき

 「軽装備であれば、軍事的脅威にさらされない」というのは都合の良い思い込みです。現実は「相手が丸腰なら、重武装する必要はないだけ」だからです。

 イージス・アショアが狙われるのは「防御力が厄介だから」です。

 軽視できる程度の防御能力なら、イージス・アショアは “ないもの” という扱いになるでしょう。その場合は「いきなり、都市部が巡航ミサイルに脅威にさらされることになる」という現実に目を向けなければなりません。

 つまり、新聞社が本社を置くような都市がいきなり狙われることになるのです。この現実を「ミサイル防衛網を構築しなければ、狙われることはない」と主張することは論理的に間違いと言えるでしょう。

 

 朝日新聞が主張していることは「中国の機嫌を損ねるな。要望を応じてこそ、平和が維持される」というものです。

 「主権を中国に渡せ」と要求していることと同じであり、まともに取り合う必要のない意見だと言えるでしょう。中国の価値観に基づいた生活を希望するのであれば、中国国内に移住すれば良いことです。

 中国も歓迎してくれることでしょう。日本を中国にする必要はないと言えるのではないでしょうか。