公共交通機関をストップさせるような杜撰な設置が野放しになっている太陽光発電こそ、早急に是正する必要がある分野だ

 大阪の毎日放送(MBS)が「7月5日に山陽新幹線が運転を見合わせた理由は大雨ではなく、太陽光パネルの倒壊」と報じています。

 FIT で買取額が保証されているため、利益優先で安全対策を疎かにする業者が出てくることは指摘されていました。懸念が現実になった訳ですから、規制を設け、場合によっては免許取り消しも視野に入れた対応をする必要があるはずです。

 

 先週の大雨で山陽新幹線も一時運行を見合わせ大きな影響が出ましたが、理由は雨そのものではなく、神戸市の線路脇に設置されていた太陽光パネルが倒壊したから、というものでした。付近の住民が「ずさんな工事だ」と憤る中、神戸市は太陽光パネルの設置に規制を加えることを検討しています。

 近畿に大雨が降り始めた5日。午後10時前、神戸市須磨区で山の斜面に設置されていた太陽光パネルが崩れ落ちました。現場のすぐ下には山陽新幹線の線路が。新幹線は安全確認のため一時、運転を見合わせました。

 太陽光発電は FIT (全量固定価格買取制度)で儲けが保証されています。そのため、パネル設置に適さない土地を無理に開発するという事例が全国で問題として浮上しているのです。

 今回、山陽新幹線を止めた兵庫県神戸市の事例も同様と言えるでしょう。

 

“杜撰な設置状況” を放置してまで太陽光発電をプッシュする意義はあるのか

 再生可能エネルギーの中心としてメディアが大々的に取り上げる太陽光発電ですが、乱開発による弊害が散見されています。

 「急な斜面での設置」や「杜撰な土台工事」、「安全柵の設置放棄」などが代表例でしょう。これらはネガティブな印象を世間にもたらすものですが、是正すべき問題点としてマスコミは提起していません。

 その結果、安全対策を軽視する業者が儲ける仕組みが確立されることとなり、太陽光パネルが設置された地域の住民などが損害を被る原因になってしまうのです。

 少なくとも、現状のままでは太陽光発電は『負の遺産』を残すだけです。“問題のある事業者” を市場から退場させる形を整備しなければ、再生エネが重要なエネルギー源になることはないと言えるでしょう。

 

「設置条件」と「パネル廃棄」の2点は早急に取り組むべき課題である

 太陽光発電において、早急に取り組まなければならないのは「設置状況」と「パネル廃棄」に対する2点です。現状ではどちらも “ほぼ野放し” となっていますので、是正しなければならないと言えるでしょう。

 まず、太陽光パネルの設置ですが、『設置条件』を真面目に守っていない業者が目立ち始めています。これは「設置時のコスト」をケチることで、収益性がアップすることが理由です。

 世界と比較して、非常に高額な買取価格が保証されている日本版 FIT で買取価格をアップさせるという選択肢はあり得ません。そのため、安全対策などに不可欠なコスト負担をしない業者を市場から退場させられる制度に変更することは「政治の責務」と言えるでしょう。

 また、『太陽光パネルの廃棄』に対する費用も確保する仕組みも存在しません。現状では、太陽光発電事業者がパネルを放棄したまま廃業すると、“逃げ得” ができてしまいます。

 これを防ぐためには「自賠責保険」のような制度で、太陽光発電事業者にパネル廃棄費用の積み立て義務を負わせるべきです。パネル廃棄と引き換えに払い戻しをすれば、事業者側からの文句は出ないことでしょう。「積み立てないなら、接続の優先度を下げる」との条件を付けるなど、やり方はあるはずです。

 

 公共交通機関や道路をマヒさせる問題点を抱えた施設の運転が安全対策を軽視する形で行われているのです。

 野党が “真っ当な政治” を掲げるのであれば、真っ当なビジネスを行うことなく、ボロ儲けを企む不届きな事業者を市場から退場させる仕組みづくりに尽力すべきと言えるのではないでしょうか。