ハーグ条約に基づく子供の引き渡し判決が確定したにも関わらず、子供を連れ去った母親は未成年者略取の罪に問われるべきだ

 日本が『法治国家』であるかが問われる事態が発生しています。

 今年3月に最高裁で「ハーグ条約に基づく返還命令の拒否は違法になる」との判決を下し、名古屋高裁に差し戻されていた裁判で子供の引き渡しを命じられた母親が判決後に子供を連れて行方をくらませたと NHK が報じています。

 この母親の行為は未成年者略取に該当することでしょう。“逃げ得” を許すことは論外と言えるはずです。

 

 17日の判決で、名古屋高等裁判所の戸田久裁判長は「子どもは、母親のもとにとどまるかどうか決めるのに必要な情報を得ることが困難な状況に置かれてきた」などと指摘し、母親による拘束は違法だとして、子どもを父親に引き渡すよう命じました。

 ただ、判決後、母親は子どもと一緒に立ち去り、行方がわからなくなっています。

 ハーグ条約をめぐっては、今回のように返還命令を拒否するケースが相次いでいますが、最高裁の判断は返還命令に実効性を持たせるものとして注目されていました。しかし母親と子どもが立ち去ったため、結局、引き渡しが実現しない可能性が出ています。

 

母親側の “連れ去り” は黙認されているという問題

 子供を連れ去った父親側が『未成年者略取』で逮捕されるというケースは報道されます。逆のケース(= 母親側が連れ去った場合)はほとんどメディアで取り上げられないことは奇妙と言えるはずです。

 今回、母親側の行為で同情できる点は皆無と言えるでしょう。

  • アメリカから子供を父親に無断で連れ去る
  • 父親側がハーグ条約に基づき、子供の引き渡しを求めて提訴
  • 裁判で原告(= 父親側)が勝訴も、母親は子供を連れて姿を消す

 日本がハーグ条約を締結した後の2016年に子供をアメリカから連れ去り、連れ戻しの強制執行を拒否。人身保護請求の裁判で敗訴したにも関わらず、「子供の引き渡し」をまだ拒み続けているのです。

 しかも、「子供を連れ去った」という行為は明らかに違法行為です。この母親は未成年者略取の罪に問う必要があると言えるでしょう。

 

今回のケースを論評している人権派やリベラルはいるのか?

 ハーグ条約が締結されることに対し、日本で活動する人権派やリベラルは「反対」の立場を採る人が目立ちました。

 そのような人々の特徴は「母親が子供を連れて行くのはOK」というものです。これは問題のある主張と言えるでしょう。

 なぜなら、「すべての母親が “良き保護者” ではないから」です。“良き保護者” に性別・年齢は関係ありません。良い保護者がいれば、悪い保護者もいるのです。

 つまり、“良き保護者” である母親がいれば、“悪い保護者” である母親もいるのです。今回のケースでは母親側は法律を無視している訳ですから、“良き保護者” とは言えないでしょう。

 法律を遵守し、子供を連れ戻すための適切なプロセスを踏んでいる父親側の方が「保護者として適任」と言えるはずです。このような論評を人権派やリベラルは行う責務を負っているはずです。

 

「判決が確定したにも関わらず、子供の引き渡しに応じなくて良い」との事例ができる方が問題だ

 判決が確定したのであれば、速やかに履行されるべきでしょう。なぜなら、それが『法治国家』としての根幹だからです。

 裁判で「母親側が子供を連れ去り続ける正当性」は失われました。しかし、それを不服として母親は子供を連れて姿をくらませたのです。

 このまま引き渡しが実現しなければ、『法治国家』に泥を塗る結果となります。母親の行為は未成年者略取に該当する訳ですから、速やかに警察が捜査に乗り出し、罪に問うべき事案と言えるでしょう。

 “逃げ得” や “ゴネ得” が許されることなどあってはならないことです。問題行動を起こす保護者に対しては性別に関係なく、批判する必要があると言えるのではないでしょうか。