「業務命令(=君が代斉唱時の起立)を拒否した元教員を都が再雇用しなかったのは合法」との判決を最高裁が下す

 都立高校の元教員が君が代の斉唱時に起立しなかったことを理由に定年後に再雇用されなかったのは不当だと訴えていた裁判で最高裁が判決を下したと NHK が報じています。

 最高裁は「原告の訴えを退ける」との判決を下しましたが、地裁と高裁では「原告の訴えを認める」との判断を下していたことは驚きです。「思想・信条の理由があれば、業務命令を無視して問題ない」とのお墨付きが与える判決を下していれば、大きな弊害が生まれていたことでしょう。

 

 東京の都立高校の元教職員が、卒業式などでの君が代斉唱の際に起立しなかったことを理由に、定年退職後に再雇用されなかったのは不当だと訴えた裁判で、最高裁判所は、東京都の判断が不合理とは言えないとして、都に賠償を命じた判決を取り消し、元教職員の訴えを退けました。

 (中略)

 19日の判決で、最高裁判所第1小法廷の山口厚裁判長は「当時は再雇用を希望しても全員は再雇用されなかった。起立しなかったことを重視して不合格にすることが著しく合理性を欠くとは言えない」と判断し、都に賠償を命じた判決を取り消し、元教職員の訴えを退けました。

 「定年後の教員を再雇用する裁量が自治体側にあるか」が問われた裁判でもあったのです。

 自治体に裁量権がなければ、教員の質が低下する原因を作ることにもなってしまいます。その点においても、最高裁は妥当な判断を下したと言えるでしょう。

 

「業務命令の拒否」は思想・信条に関係なく、重大な問題行為である

 公立校に勤務する教員がどのような思想・信条を持つことは自由です。しかし、それを学校内で表明することが問題なのです。

 なぜなら、学校に通う生徒も教員と同様にどのような思想・信条を持つ自由があるからです。

 ですが、学校内で教員が持つ “権力” は強大です。その権力を教員の個人的な思想・信条に基づき行使されてしまうと、生徒が多大な迷惑を被ることになるでしょう。

 このような暴走行為を防ぐための『業務命令』なのです。業務命令の内容が不当であるなら、「業務命令の内容が法的に問題ある」と訴えなければなりません。その主張をしていない時点で、活動家と同じと言われる結果を招いてしまうでしょう。

 

君が代を斉唱したくないなら、私立校の教員として働けば良い

 ほとんどの地方自治体は国から地方交付税を受けています。そのため、公立校では「国歌である君が代を斉唱しない」という選択肢は実質的に存在しないでしょう。

 公立校で勤務する教員で「君が代を斉唱したくない」と主張するのであれば、私立校または予備校で教鞭を取れば良いことです。

 教員として能力を有していることが認められれば、公立校勤務時よりも高給を得られるはずです。国から交付税を得ている地方自治体で『公務員』という安定した立場を手にしながら、「君が代を斉唱したくない」と主張するのは “子供のわがまま” と変わりません。

 公平・中立が求められる公立校で “個人の政治的主張” を表明する教員は不適格です。その自覚の持たない教員は教職から外せるよう、制度を変更することが必要と言えるでしょう。

 

 「業務命令を教員の思想・信条を理由に拒否しても問題ない」という事例ができていれば、取り返しのつかないことになってしまいます。

 教員が作った “独自教材” で生徒を洗脳できるような仕組みは徹底的に排除しなければなりません。活動家気質を示す教員は公立校に必要ではないと言えるのではないでしょうか。