金融庁に圧力をかけたことが確定的な野田聖子総務相に朝日新聞や野党がどのような批判を行うかを世間一般は見ている

 自民党の総裁選に出馬を表明している野田聖子総務相が仮想通貨の販売を巡り、金融庁に圧力をかけていた疑いが生じたと朝日新聞が報じています。

 政権批判を行うために疑惑をでっち上げた森友・加計問題とは異なり、野田総務相の(事務所による)行為は「圧力」と取られるものです。少なくとも、朝日新聞や野党は安倍首相に対して行った批判よりも厳しい態度で野田総務相を非難にする必要があると言えるでしょう。

 

 野田聖子総務相の事務所が今年1月、無登録での仮想通貨交換業の疑いで金融庁から調査を受けていた企画会社の関係者を同席させたうえで、金融庁の担当者を呼び、庁としてのスタンスなどを説明させていたことがわかった。

 (中略)

 朝日新聞が情報公開請求をして開示された文書などによると、同社に通告が出された数日後の1月中旬、野田氏の事務所が金融庁に説明を求めた。「相談者」として企画会社の関係者が同席することも伝えたという。開示文書では、説明を求めた人物は黒塗りだったが、関係者などによると野田氏の秘書だという。

 無登録で仮想通貨交換事業を行っていた会社に金融庁が調査・違法性を指摘したところ、野田聖子総務相の秘書が金融庁に “説明” を要求していたとのことです。

 この行為は与野党に関係なく問題と言えるでしょう。そのため、「野田総務相の辞任」を朝日新聞や野党が求めるのかが注目点になります。

 

“忖度” と “圧力” には決定的な違いが存在する

 まず、朝日新聞や野党は安倍首相に対し、森友・加計問題で「忖度」を理由に難癖を付けて批判を繰り返して来ました。

 安倍首相は違法行為は何も行っておらず、どちらの疑惑も法律で定められた手続きを踏んでいます。そのため、「関係があったことが問題」や「友人であることが問題」などと批判の根拠が世間一般で支持されない言いがかりとなっていたのです。

 ところが、野田聖子総務相の場合は「圧力」に相当するものです。

 事務所の秘書が金融庁に仮想通貨の調査・規制に対する “説明” を要求していたのです。総務大臣兼女性活躍担当大臣という権力者が自身に近い立場の者を優遇させようとしていたのですから、朝日新聞や野党の基準で言えば、厳しい批判にさらされるべきと言えるでしょう。

 

安倍首相や麻生財務相に向けた批判よりも厳しい批判を野田総務相に向けなければならない

 安倍首相や麻生財務相に向けた批判は “言いがかり” によるものでした。ですが、野田総務相のケースは「事務所(=秘書)が問題行為をしていた」という揺るがすことが難しい批判の根拠があります。

 したがって、森友・加計問題で政権を厳しく批判していた朝日新聞や野党は「野田聖子総務相の辞任」を求め、責任追及の声を強めなければなりません

 しかし、そうした行動に出る可能性は低いでしょう。なぜなら、野田総務相は「秋の自民党総裁選」で安倍首相の対抗馬としてメディアが応援しているからです。

 ここで野田総務相を失脚させてしまうと、『ストップ・安倍3選』が絶望的になってしまいます。少なくとも、朝日新聞は難しい判断を迫られていると言えるでしょう。

 

野田総務相に忖度して信用を落とすのか、それとも安倍3選を許すのか

 なぜ、朝日新聞が難しい判断を迫られているかと言いますと、甘利明大臣(当時)のケースがあるからです。その際、「秘書の口利き」をメディアで問題視され、甘利議員は大臣職を辞職しました。

 当然、野田総務相も同様の批判が向けられることでしょう。もし、マスコミが “配慮” をするのであれば、そのことが指摘され、批判の要因になるはずです。

  • 野田総務相を批判すると、
    • 大臣職(総務相・女性活躍担当相)の辞職は不可避
    • 総裁選において大きなイメージダウン
    • 『安倍3選』を間接的にアシスト
  • 野田総務相の批判を弱めると、
    • 総裁選へのダメージは限定可能
    • 森友・加計問題の批判ロジックの正当性が消失
    • 「安倍政権批判なら、圧力・恫喝も容認」との姿勢が世間に知れ渡る

 要するに、朝日新聞は「泣いて馬謖を斬る」という行為を野田総務相に対してできるかが問われているのです。「野田次期首相のため、問題の早期幕引きに協力しよう」などという姿勢を見せると、世間一般の朝日新聞離れは加速することでしょう。

 

 「問題行為」があったなら、その行為を理由にした批判をしなければなりません。与野党など所属政党や政治的スタンスを理由に批判の程度が変化してはならないことなのです。

 “でっち上げの疑惑” で大騒ぎした森友・加計問題とは異なり、問題行動が確認されたスキャンダルです。朝日新聞や野党のスタンスが『倒閣運動』かがシビアに見極められている案件と言えるのではないでしょうか。