イラン・ロウハニ大統領が『ホルムズ海峡の封鎖』を示唆 “万が一の場合” への対策は準備しておくべきだ

 NHK によりますと、「イランのロウハニ大統領がトランプ政権の制裁に対する報復策として、ホルムズ海峡の封鎖を示唆した」とのことです。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「ホルムズ海峡が封鎖されも、国民の命がダイレクトに失われる状況ではない」と過去に発言していますが、酷暑の現状下で火力発電の燃料である天然ガス(や石油)がストップすれば、国民の命はダイレクトに失われてしまうことになります。

 安倍政権は “野党のバカな主張” を鵜呑みにするのではなく、必要な対応策を事前に講じておく必要があると言えるでしょう。

 

 アメリカが制裁の一環として各国にイラン産原油の輸入停止を呼びかけていることについて、イランのロウハニ大統領は、22日、各国の石油タンカーが通過するペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖することも辞さない考えを示し、アメリカを強くけん制しました。

 (中略)

 ロウハニ大統領は、今月上旬にもホルムズ海峡の封鎖を示唆したと受け止められる発言を行っていて、これについて最高指導者のハメネイ師は、「国家の方針を示す重要な発言だ」と述べて、大統領の姿勢を支持する考えを示しています。

 イランは経済制裁を再開したアメリカを国際司法裁判所に訴えています。

 判決次第ですが、中国のようにトランプ政権が判決を受け入れないことはイランも想定していることでしょう。そのため、報復策として「ホルムズ海峡封鎖」を実施する可能性はあり得る状況と認識しておかなければなりません。

 「本当に封鎖するとは思わなかった」という甘い考えを政治家が持つことは論外だと言えるでしょう。

 

安保法制時の枝野幸男議員(現・立憲民主党)による問題発言

 「エネルギー政策について特に無策」と言わなければならないのは立憲民主党の枝野幸男代表です。

画像:石油が入ってこなくても問題ないと主張する枝野議員1

画像:石油が入ってこなくても問題ないと主張する枝野議員2

 「ホルムズ海峡が封鎖されても、国民がダイレクトに命を失っていくという状況ではない」と発言しているのです。この認識が今現在も変化していないのであれば、極めて大きな問題です。

 日本の発電手法は火力発電になっており、LNG が主電源となっています。LNG はカタールや UAE などホルムズ海峡を通過して日本に運ばれているのです。

 封鎖が実際に起きた場合、酷暑が続く今夏のような状況では電力不足でエアコンが使えずに国民の命がダイレクトに奪われて行くことでしょう。この認識が欠落していることは “弱者の味方” を自称する政党のトップとしてあまりに致命的と言わざるを得ません。

 

ホルムズ海峡の封鎖は「原油の9割と LNG の2割がストップ」する事態を引き起こす

 枝野代表の発言をフォローするなら、「ホルムズ海峡封鎖で直ちに国民の命が失われていく訳ではない」という主張になるでしょう。

 しかし、日本経済に欠かせない原油の約9割が輸入できなくなる上、原油価格が高騰します。また、LNG の全輸入量の約2割がストップし、こちらも価格が急騰することでしょう。

 その結果、経済活動が立ち行かなくなり、生活基盤が破壊される事態を招いてしまうのです。

 つまり、直ちに命は失われなくても、絶体絶命に近い状況に追い込まれるのです。生活再建が容易ではないことは「災害後の復旧」で直に見ていることでしょう。それと同じイメージを抱けないことは政治家として大きな問題なのです。

 

「エネルギー資源の確保」は最重要政策の1つである

 経済活動を行う上で、エネルギー資源を確保することは極めて重要です。国のエネルギー政策が経済に大きな影響を与える要因であることは言うまでもありません。

 日本は「中東の石油に依存した国」であり、ホルムズ海峡の封鎖が現実味を帯びただけでも石油の輸入価格が上昇したことによるマイナスを受けてしまいます。

 したがって、もしマイナスが生じたとしても、被害を最小限にする準備をしておくことが重要なのです。

 原子力発電はエネルギー政策を議論する上で「必要な発電手法」です。それを全廃すると主張する一方で、代替の発電手法が「不安定で高額な再生可能エネルギー」では経済活動が成り立たなくなってしまいます。

 政治家が理想を語ることは大いに結構なことですが、現実的に実現可能な政策を掲げることが大前提です。それを無視したパフォーマンス型の政治家・政党は経済活動を阻害する存在として、厳しい批判を向ける必要があると言えるのではないでしょうか。