極端な天候不順で野菜の価格が高騰、野菜工場での生産力増強に投資する価値はあるのでは?

 今夏の猛暑による影響で主な野菜の価格が軒並み上昇していることが明らかになったと NHK が報じています。

 価格が高騰する理由は “極端な天候不順” であり、これをコントロールすることは不可能です。ただ、野菜工場などを上手く活用することで、値上げ幅を抑制することを期待できるでしょう。

 そうした分野への投資があっても良いはずです。

 

 この夏の記録的な猛暑の影響で、キャベツが平年に比べて65%高くなるなど、主な野菜の価格が軒並み上昇していることが農林水産省の調べでわかりました。

 (中略)

 これは、主な産地の群馬県や長野県で、先月下旬から雨が少なく、高温が続いたことが主な要因です。

 一方、北海道や東北地方では長雨や日照不足などで野菜の生育に影響が出ていて、大根は1キロ当たり149円と平年より71%、きゅうりは1キロ当たり348円と平年より40%それぞれ高くなっています。

 野菜は露地栽培がメインで、旬の時期には値段が安くなります。しかし、そのタイミングで天候不順となれば、価格が急騰する結果を招くことになってしまいます。

 日常生活に大きな影響が出るだけに、価格の変動を抑える仕組みを用意する意味はあると言えるでしょう。

 

天候不順が原因で露地物の価格が「野菜工場で採算が取れる価格」を上回ることは問題

 野菜工場の運用が上手く行かない大きな理由は「価格を高くしないと採算が取れない」ことでしょう。露地物よりも高い価格だと、消費者が購買を敬遠するからです。

 しかし、産地が天候不順の影響を受けると、露地物であっても “野菜工場が採算の取れる価格” を軽く上回ってしまうのです。

 『ブランド野菜』ならまだしも、スーパーに並ぶ『産地直送の野菜』がプレミア化することは避けて欲しいところです。したがって、天候不順によって生じる価格の上昇幅を限定するための投資を政府が行う理由は存在すると言えるはずです。

 

「栽培成功例の公表」や「安価な電気代」など行政側ができる支援策は存在する

 野菜工場は採算の取れるビジネスモデルが確立しておらず、成長途上の段階にあると言えるでしょう。ただ、「一般的な露地物野菜の上限値」として機能するポテンシャルがあるため、産業としての成長が期待される分野なのです。

 天候に成長を委ねる “露地物” と比較すると、野菜工場は設備費や光熱費が必要となるため、価格面では不利な状況にあります。

 しかし、「土や虫などの付着物がほぼゼロ」という強みを持っていますので、この点を活かして生産量を高めることが期待されます。農水省が持つ研究所が「栽培成功例の割合についてのレポート」を調査・公表するだけでも、参入企業には大きなアシストとなるでしょう。

 また、「リーズナブルな価格で電気が安定供給される」ということも大きな支援になります。

 野菜工場で栽培された野菜が一般市場に出回ることで、それが「上限」となります。現状は露地物の 1.5 倍(= 50% ほど高値)ですから、これが 1.2〜1.3 倍が基準になれば、消費者が受ける恩恵は大きくなると考えられます。

 

 地球温暖化による異常気象や天候不順は今後も発生し続けることでしょう。その際の影響を限定的にするための投資や政策が行われるだけの価値はあると言えるのではないでしょうか。