北朝鮮の “非核化拒絶宣言” を『唯一の被爆国』などと主張する平和を求める界隈は批判するだろうか

 NHK によりますと、ASEAN 地域フォーラムで演説した北朝鮮のリ・ヨンホ外相が「一方的な非核化には応じられない」と述べたとのことです。

 北朝鮮の姿勢は過去に何度も行ってきた「まずは相手に譲歩させて実利を引き出し、自分たちは手のひらを返す」というものです。非核化をする気がないことを匂わせているのですから、対話路線を主張する界隈であっても、北朝鮮に対する批判をしなければならないと言えるでしょう。

 

 北朝鮮のリ・ヨンホ外相は、シンガポールで開かれたARF=ASEAN地域フォーラムで演説し、「アメリカが行動を示さないかぎり、私たちだけが先に動くことは絶対にない」として、北朝鮮が求める朝鮮戦争の終戦宣言などに向けた進展がなければ、一方的な非核化には応じられないという姿勢を強調しました。

 北朝鮮の “食い逃げ外交” は今に始まったことではありません。これまでの非核化交渉はすべて “食い逃げ外交” で一定の成果を出しています。

 そのため、今回も従来の外交方針を踏襲したに過ぎないと言えるでしょう。

 

『融和路線』は誰が何度やっても同じこと

 北朝鮮との対話に基づく非核化交渉が成功することはないでしょう。なぜなら、北朝鮮は国連制裁が科せられる状況下でも核開発を推し進めてきたからです。

 核廃絶をする気がない国に対し、対話に基づく『融和路線』で核廃絶という「成果」が得られる見通しはないと断言せざるを得ません。

 6カ国協議を始め、北朝鮮に「核兵器廃絶のための見返り」を何度も手渡して来ました。しかし、すべて “食い逃げ” に遭ったのです。

 そして、今回も「北朝鮮が先に動くことはありえない」と “食い逃げ外交” をする兆候を見せています。その対抗策として『前払い方式』が採用されることは当然に流れと言えるでしょう。

 

北朝鮮擁護派は「食い逃げ常習犯が代金を支払うかもしれない機運を潰すな」と主張することと同じ

 北朝鮮問題については「食い逃げ犯にどう対処するのが良いか」という視点で考察すると、過去の失敗を繰り返さずに済むと言えるでしょう。

  • 食い逃げ常習犯が来店。どう対応するか?
    1. 出禁のため、追い出す
      (≒ 北朝鮮と交渉すらしない)
    2. 来店は認めるが、サービスの提供は代金を受け取ってから
      (≒ 北朝鮮が行動してから、要求に応じる)

 食い逃げ常習犯が注文した食事をこれまでどおり提供すれば、また食い逃げに遭うことでしょう。ただ、対策は比較的容易で、「出禁」か「前払い」のどちらかを採用すれば店側が新たな損害を被るリスクは極めて低くなります。

 北朝鮮はこれまで “食い逃げ外交” を展開してきた訳ですから、損害を被った日本政府などが『前払い方式』を要求することは極めて妥当なものです。奇をてらった政策でもなく、オーソドックスな的な手法と言えるでしょう。

 ところが、一部マスコミでは「北朝鮮の対話に乗り出す姿勢を損なわせるな」と主張しているのです。これは「食い逃げ常習犯が代金を払う意図を見せているのだから、これまでどおりに先に料理を提供しろ」と要求していることと同じであることを認識していない時点で大きな問題です。

 

北朝鮮の核開発を厳しく非難しない平和団体の “思い” ほど無意味な自己満足は存在しない

 『核廃絶』を主張するのであれば、その真逆である『核開発』に突き進む国に対して厳しい批判を浴びせなければなりません。北朝鮮は “核開発を行った国” の代表例ですが、平和団体は批判を行ってきたでしょうか。

 日本政府に対して「唯一の被爆国として積極的に発信すべき」など “人任せな要求” を繰り返すだけで、自らが主体となった啓蒙活動はほとんどない状況です。

 情報の発信は誰でもできます。世界中の人に知って欲しいのなら、メディア向けに発信すべきでしょう。行政が70年以上も “平和への思い” を口にし続けて来たが、北朝鮮なども核兵器を保有する国に加わったという現実に目を向けなければなりません。

 「対話」による『融和路線』を採るなら、その有効性をマスコミを通して世界中に発信すべきです。マスコミも “広告主” が付くことになる訳ですから、積極的に報じてくれることでしょう。このような現実的なアクションを起こしていない時点で、自己満足に陥っていると批判せざるを得ないのです。

 

 軍事的な圧力手段を全く持たない日本政府の『対話路線』など何の脅威にもなりません。経済圧力は厄介ですが、左翼界隈が「人道上の支援」などを理由に一定の “骨抜き” をしてくれるのですから、こちらの効果も限定的なものになります。

 むしろ、「ポンペイオ長官の『融和路線』を北朝鮮が一蹴した」ことによる今後の展開に目を向ける必要があります。

 強行派で知られるボルトン大統領補佐官の “存在” が色濃くなるほど北朝鮮情勢は切迫していく可能性が高いと言えるでしょう。少なくとも、“食い逃げ外交” を展開し、核開発を進めて来た北朝鮮を厳しく批判しない平和団体やマスコミに政府の対応方針への文句を言う資格はないと言えるのではないでしょうか。