天下りや現役出向という形で “大学教育を汚してきた” 文科省が「東京医科大は入試を汚した」と批判する資格はない

 読売新聞によりますと、入試で男子受験生が優位になるよう得点調整をしていたことが発覚した東京医科大に対し、文科省が「入試を汚した」と批判しているとのことです。

 ですが、文科省にそのような批判をする資格はないと言えるでしょう。問題発覚の原因は「文科省の汚職」である上、これまでに天下りなどの形で「大学教育を汚してきた側」だからです。

 まずは自らの組織体質を改めなければならない立場にあるはずです。

 

 東京医科大は7日、記者会見に先立ち内部調査の結果を文部科学省に報告した。省内からは怒りの声が聞かれた一方、同省の不祥事を端緒に問題が発覚したことを反省する幹部もいた。

 (中略)

 東京医科大に対し、同省のある女性職員は「入試での女性差別はあり得ない。信頼性の要となる入試を汚すのは、大学経営者としてあるまじきこと」と憤った。別の幹部は「今回は文科省の汚職事件があって分かった話。我々も反省する必要がある」と声を潜めた。

 文科省では今後、東京医科大へのペナルティーも検討する。

 

「天下り」や「現役出向」を行ってきた “組織” の責任が問われないと考えているのか

 入試で “裏基準” を設けていた東京医科大が組織としてペナルティーを受けることは避けられないでしょう。しかし、「補助金の差配」を背景に天下りや裏口入学に手を染めていた文科省も組織としてペナルティーが科されなければならないはずです。

 なぜなら、文科省は幹部が「補助金の差配」を使った贈収賄問題を起こしたからです。

 文科省が東京医科大に補助金のカットなどのペナルティーを科すのであれば、同じ理由で「文科省の予算もカット」されなければなりません。

 『贈収賄問題』という自らの不祥事を棚に上げ、『女性受験生に対する不平等な扱い』という別問題を騒ぎ立てる姿勢は悪質度が高いものとして断罪されるべき姿勢と言えるでしょう。

 

「採用基準が歪められたこと」も憤る対象ではないのか

 文科省は前川喜平氏が事務次官だった時代に補助金を背景にした天下り問題が発覚し、前川氏を含む大量の処分者を出しました。それから1年ほどで「裏口入学」と「高額な接待」が発覚したのですから、組織に対する厳しい処分は避けられないと言えるでしょう。

 文科省の女性職員は「入試基準が歪められたこと」に強い憤りを表明していますが、天下りでは「採用基準が不当に歪められている」のです。

 自分たちのために基準が変更されることは問題がなく、他者が基準を変更することは許さないという姿勢はダブルスタンダードです。どちらの場合においても同じ基準によるペナルティーが必須と言えるでしょう。

 東京医科大が組織としての責任が問われるのであれば、贈収賄や天下りを行った役人がいる文科省も組織不正を問われなければなりません。個人に対する制裁のみという不公平な処分など許されざる行為に他ならないからです。

 

私利私欲のために平気で走る役人に「科研費の差配権限」を管轄させるべきではない

 文科省の役人は平気で私利私欲のために走ることが明らかになったのです。このような正確の役所に多額の研究費が費やされている科研費の配分を管轄させるべきではありません。

 「要はどう騙すかですよ」などとアドバイスする輩が跋扈しているのですから、多額の無駄金が費やされていると言えるでしょう。

 実態のある科学技術の研究に資金が回るのではなく、実態のない研究や政治活動に資金が回れば、国家としての科学技術力は落ちて当然です。このような悪しき実態にメスを入れる必要がありますし、科研費そのものを見直す必要があります。

 また、論文を執筆した実績のない役人が大学に教授職で天下りする実態も是正する必要があります。なぜなら、天下り役人の給与で若手研修者数人分の人件費は飛んでいるからです。

 大学は文科省の “おもちゃ” ではありません。大学法人を管轄したいのであれば、まずは不祥事連発の文科省が自らの組織を是正し、権限そのものを見直す必要があると言えるのではないでしょうか。