『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』を拒絶する北朝鮮に “見返り” を与えるべきではない

 CNN によりますと、北朝鮮が非核化交渉での提案内容を拒否したことが明らかになったとのことです。

 『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』を北朝鮮が実施しないなら、一切の見返りを与える必要はありません。核開発を行ったにもかかわらず、核兵器の一部を手渡すことで “相応の見返り” が得られるなら、北朝鮮の動きを真似る国が出てくることが予想されます。

 核兵器の存在を問題視するなら、製造・拡散に大きく携わっている北朝鮮の動きを厳しく非難しなければならないはずです。

 

 北朝鮮の非核化をめぐる交渉で、米国が再三にわたり北朝鮮側に提案を伝えているものの、いずれも拒否されていることが11日までに分かった。複数の外交筋が明らかにした。

 外交筋によれば、米国側は「完全に検証された非核化という終着点」に至る道筋について具体的な提案を行ってきた。だが、北朝鮮側は「強盗的」だとして、こうした提案をすべて拒否したという。

 交渉の行き詰まりを受け、激動の経過をたどってきたトランプ政権の対北朝鮮外交は地に足の付いたものとなり、以前の政権も苦戦した北朝鮮政府との厳しい交渉が始まっている。

 北朝鮮がアメリカからの核廃絶を求める要求に対し、「強盗的」と批判したことは1ヶ月前に NHK が報じた際に言及しています。

 “食い逃げ常習犯” としての振る舞いが今回も現れただけに過ぎません。北朝鮮が「非核化に向けた誠意」を示さない限り、いかなる見返りも与えないという原則を徹底することが重要と言えるでしょう。

 

安保理決議に基づき、『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』の実施を要求すべき

 『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』は国連の安保理決議に基づく要求事項です。そのため、北朝鮮が要求を拒絶するなら、相応の措置を採らなければなりません。

 もし、具体的な対処を何も実施しないなら、国連の権威は失墜してしまいます。「安全保障」からは “逃げ腰” で、報復の恐れがない民主主義国家に対してのみ「人道的措置」を要求する組織は “お荷物” だからです。

 国連が北朝鮮にやるべきは「安保理から CVID を要求」し、「人権理事会から人道的に大きな問題ある」と名指しで批判することです。その上で加盟国に対し、北朝鮮の現状を変更させるよう働きかけを行わなければなりません。

 活動家が『国連』の名称を利用する形で我田引水を行っている現状では「国連からの要求を正直に満たした分だけバカを見る」ことになるのです。これは問題点として指摘する必要があるでしょう。

 

“食い逃げ外交” を行う北朝鮮に対し、先に見返りを与えることが失敗の原因

 北朝鮮の伝統的な外交手法は「支援を受けた後に、難癖を付けて合意事項を無効化にする」というものです。

 核兵器や弾道ミサイルの開発はいずれも “食い逃げ外交” を展開することで、自分たちが望む成果を手にして来ました。これは北朝鮮の交渉に当たった国が「先に北朝鮮に対する支援を実施してきた」という共通点があります。

 そのため、北朝鮮は “食い逃げ” をやり放題だったのです。

 この問題点に対するアプローチを「北朝鮮が要求項目を完了するまで、一切の支援は行わない」に変更する意義は大きいと言えるはずです。これにより、“食い逃げ外交” を制限できるのですから、以前の外交方針よりもマシになったと言えるでしょう。

 

 ただ、シンガポールで米朝首脳会談を行ったにも関わらず、非核化に向けた動きは何も進展していないからです。『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』を譲れば、北朝鮮の核保有を認めることに直結するだけに周辺国が核の脅威に怯えなければならない事態となります。

 各国の歴代政治家が “北朝鮮の方針” にお墨付きを与えてきたから、現在の危機があるのです。トランプ大統領の方針が今後に大きな影響を及ぼすだけに、方向性についての注文・提言を行い続ける必要があると言えるのではないでしょうか。