野田聖子総務相(の事務所)が金融庁に圧力をかけたことは “なかったこと” 扱いにして良い案件なのか
金融庁に “圧力” をかけた疑いがある野田聖子総務相が「自主的に大臣給与を返納する」と表明したと朝日新聞が報じています。
ただ、返納の理由が「金融庁が情報公開請求者の情報が漏れたこと」であり、「金融庁を “恫喝” したこと」ではありません。恫喝してもペナルティーがない現状なのですから、野党議員も含めた国会議員が肩書きを使って役所を脅す実態が黙認され続けている状況は是正しなければならないはずです。
野田聖子総務相の事務所に関して朝日新聞が金融庁に情報公開請求した内容が野田氏側に漏れ、さらに野田氏が第三者に漏らしていた問題で、野田氏は7日、自らの責任の取り方として就任以来の1年分の大臣給与を全額返納すると表明した。麻生太郎金融担当相も同日、漏出に関わった金融庁職員を処分したと明らかにした。
(中略)
野田氏は閣議後の会見で「情報公開法の所管大臣でありながら、法律の理解が不十分な点があり、行政に対する信頼を損ねるなどご迷惑をおかけした」と陳謝。責任の取り方について「職責や事案の影響度を考慮し、前例に比べて相当重くした」と説明した。
「『情報公開法』を所管する大臣でありながら、情報漏洩を強いる行為をした」ことを念頭におけば、処分は免れません。
ただ、“大臣の事務所が圧力をかけたと疑われる事案” に対する情報公開で、請求者を聞き出していたのです。情報公開とは別件で追求の必要のある案件と言えるでしょう。
『反安倍』なら、閣僚であっても不祥事を黙認されるという異様な事態
野田聖子総務相に関連する諸問題をマスコミは厳しく追求しているでしょうか。積極的に批判しているメディアはほとんど存在しないと思われます。
閣僚という “権力者” が金融庁に圧力をかけ、情報公開の請求者を明かすように迫っていたのです。
日頃から「権力を監視することがメディアの役目」と語っているマスコミには政権批判をする “千載一遇の機会” が訪れたのですが、辞任を求めるような声は聞こえてきません。
事務所が金融庁を “恫喝” し、大臣が金融庁に情報公開請求者を明かさせていたなら、これら2つの行為で辞任は止むを得ないものがあります。そうした要求がメディアから上がらないことは「異様」と言えるでしょう。
「国会議員による圧力」に対する処分は見送りで良いのか?
情報公開請求への不適切な対応は “イエローカード” に相当するでしょう。そのため、ほとんどの場合では辞任は過剰要求だと考えられます。
しかし、野田総務相の場合は「自身の事務所が金融庁に圧力をかけた」ことが情報公開請求が行われることになった理由です。
事務所(= 野田総務相の秘書)が金融庁に仮想通貨に対する “説明” を強要させていたのですから、こちらも “イエローカード” に相当する案件と言えるでしょう。ただ、こちらの問題に対する処分は何も行われていない状況です。
圧倒的な権力を持った国会議員による『不当な要求』を野放しにすることは大きなデメリットが伴います。「活動家気質が強い議員が役所を脅して私腹を肥やすこと」に対する歯止めがかからなくなる訳ですから、大多数の一般市民にしわ寄せが行くことになってしまいます。
こうした事態を回避するために、問題のある行動を起こした議員は与野党に関係なく批判を向けなければならないのです。
野田聖子総務相に関係する一連の問題に対する報道が “なかったこと扱い” になっている現状は歓迎できる状況ではないと言えるのではないでしょうか。