亡くなった翁長氏が自身の後継知事を決定する “社会主義国家方式” に何の疑いも抱かない朝日新聞

 朝日新聞によりますと、亡くなった翁長雄志・前沖縄県知事が自身の後継候補に言及した録音が見つかったとのことです。

 翁長氏に近い2氏が言及されていたとのことですが、亡くなった行政のトップが後継者を決める方針は『社会主義国家』と同じでしょう。未だに「翁長氏」の名前を政治活動に使う報道姿勢も問題視されなければなりません。

 

 今月8日に急逝した沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が生前、自身の後継候補として、2氏の名前をあげた音声が残されていたことがわかった。親族らが録音していたといい、9月30日投開票の知事選での候補者選考に影響を与えそうだ。

 2氏は、保守系の会社経営者の呉屋守将(ごやもりまさ)氏(69)と、沖縄3区選出の自由党の玉城(たまき)デニー衆院議員(58)。両氏とも、翁長氏を支持し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する立場をとってきた。

 関係者によると、音声は翁長氏が亡くなる数日前に録音され、17日に存在がわかったという。

 名前が出ていたとされるのは翁長氏を後援していた『金秀グループ』の会長である呉屋守将氏と玉城デニー議員です。両者とも「翁長氏の側近」と位置づけられる人物ですので、名前が出ることは自然な流れと言えるでしょう。

 とは言え、亡くなった人物が生前に残したとされる録音で後継者が決定することは民主主義とは言えません。その視点が抜け落ちていることが問題なのです。

 

「亡くなった政治家による後継者指名」は社会主義国家の定番

 『故人の意志』は尊重されるべきものです。しかし、民主主義国家で行政のトップを選出する場合は別です。

 「地方行政のトップを務めた前任者が生前に残していた(とされる)録音の内容」で後継者が選出されることは問題でしょう。なぜなら、これは『社会主義国家』での定番だからです。

 選挙後に「民主主義は死んだ」と一部の野党支持者が何度も口にしていますが、自陣営側は民主主義的な決定プロセスを無視して後任者を選出しようとしているのです。この姿勢こそ、批判を受けるべきものと言えるでしょう。

 

名前が出た2氏は後継者指名を固辞

 後継者として名前が出たのは2氏ですが、呉屋守将氏は「経済人」に属する人物です。

 建設業やスーパーマーケットチェーンを展開する『金秀グループ』の会長であり、政治家としての経験はありません。沖縄県知事選挙に出馬すると、「辺野古移設工事を請け負う『金秀グループ』」と「辺野古移転に反対する沖縄県知事」の間で自ら “マッチポンプ” を作り出すだけに批判は避けられないでしょう。

 そのため、呉屋氏が翁長・前沖縄県知事の後継者になる可能性は極めて低いと考えられます。現実的な可能性があるのは玉城デニー議員(自由党)でしょう。

 辺野古が位置する名護市を始めとする沖縄3区選出の現職衆院議員であり、政治家としての経歴は申し分がないからです。ただ、“辺野古移転問題だけを扱う沖縄県知事” は批判を招く原因になります。

 沖縄県の財源が補助金に依存し切っていることを考慮すると、政府を挑発する政治姿勢は逆効果でしょう。「野党は反対ばかり」との批判が間違いであることを証明する結果を残せる見通しができないなら、出馬要請は固辞する方が妥当だからです。

 

“故・翁長雄志氏の名前” を使った政治的な動きをマスコミが報じるのは如何なものか

 「(翁長氏の)親族らが録音していた」という翁長氏の発言は公式のものと言えるかは判断が分かれるところでしょう。ただ、翁長氏の名前を使っていることに変わりはありません。

 このような動きをマスコミが肯定的に報じることは問題と言わざるを得ません。「民主主義に反する」との批判もせず、故人を神格化しようとする動きは「カルトと変わらない」と警鐘を鳴らすことがマスコミの責務であるはずです。

 安倍政権に反対する “鉄砲玉” として沖縄を利用することは地元経済に悪影響を及ぼすことに直結しますし、地元住民や日本経済にも問題が波及することでしょう。

 経済状況が思わしくない方がマスコミは「悲劇をネタにした記事」を多く配信することができます。それによって、“社会派の記者” として認知されるようになる訳ですから、実務面で期待できる人物の知事就任には否定的になると考えられます。

 メディアが喜ぶ人選をしてしまうと、そのツケは地元住民が支払うことになる可能性が高いことはもっと知られても良いと言えるのではないでしょうか。