ファブレ監督のドルトムントでは香川真司の立ち位置はかなり厳しい
ドイツ・ブンデスリーガが8月24日から開幕しましたが、強豪ドルムトントに所属する香川真司選手はベンチ外でした。これは立場がかなり厳しくなっていることを示していると言えるでしょう。
なぜなら、ドルトムントのファブレ新監督は「堅守」をベースした戦い方をする監督であり、香川選手の持ち味が活かされる「ポゼッション」の優先度は「堅守」より低いと考えられるからです。
ファブレ監督のサッカー
ドルトムントを率いるファブレ監督は 2010/11 シーズンの途中から就任したボルシア MG で指揮官としての評価を高めました。
2011/12 シーズンには前年と同じメンバー編成でリーグ戦を4位でフィニッシュ。その際、チームの攻撃を牽引したのはマルコ・ロイス選手でした。
当時の基本戦術は 4-4-2。DF とボランチは「堅守」ができる選手が重宝され、前線の2トップを中継点に利用して一気に攻め込む「速攻」をベースにした戦いを行って来ました。
「自陣深くにブロックを敷くタイプの堅守速攻」ではありませんが、「堅守」が基本となるチーム作りをする指揮官ですので、守備免除の特権が与えられる選手は極めて限定的と言えるでしょう。
ファブレ監督の香川真司に対する評価
ファブレ監督が香川真司選手を「9.5番(= セカンドトップ)、10番(= トップ下)の選手と見ている」と述べ、「彼のクオリティー、何ができるのかは知っている」と発言しています。
香川選手の適性はほとんどの監督がファブレ監督による評価と同じになるでしょう。ただ、「ファブレ監督が香川選手を軸にしたチーム作りをするかは別問題」という現実があるのです。
また、香川選手が昨季のドルトムントで攻撃陣を牽引し続けたなど中心選手としての地位を確立できていないだけに厳しい立場にいることは間違いありません。
26歳のゲッツェが香川真司のライバル
おそらく、香川選手がドルトムントに残留しても、“茨の道” が待ち受けていることは確実です。
- ロイスとプリシッチが攻撃を牽引
→ 彼らの攻撃力を活かすにはウィング起用が最適 - ゲッツェ(26)と香川(29)はポジションと特長が重複
- 「速攻を繰り出すためのポゼッション」をするため、走力は必須
まず、ファブレ監督は 4-3-3 を基本にするでしょう。なぜなら、このチームにはロイス選手とプリシッチ選手というリーグ屈指のウィンガーがいます。彼らを相手ゴールに近い位置でプレーさせるには 4-3-3 が好ましいからです。
また、中盤を3枚にすることでダブルボランチを採用する場合(例えば、4-2-3-1)よりも、中央は強固になります。この点もファブレ監督の志向に合っていると言えるはずです。
9.5番や10番のポジションがある 4-4-2 や 4-2-3-1 が使われる可能性はありますが、その場合はゲッツェ選手がライバルとなります。ゲッツェ選手は香川選手よりも若く、ドルトムントのクラブ内育成選手です。
スタートの段階でゲッツェ選手に遅れを取っている訳ですから、香川選手が立場を逆転させることは簡単ではないと言えるでしょう。
「すべての選手が重要」という発言は社交辞令
ファブレ監督は「過密日程が始まるため、すべての選手が重要」と述べていますが、これはどの監督も口にする社交辞令です。
戦力として数えられているかは「選手起用」に如実に現れるからです。香川選手の現状は「チャンピオンズリーグの登録メンバーに入れるかも怪しい」という所でしょう。
仮にチャンピオンズリーグのメンバーから外れても、挽回することは可能です。
これはスイス代表でキャプテンを務めるリヒトシュタイナー選手が2シーズン連続で当時の所属チームだったユヴェントスでそのような憂き目に遭っているからです。グループステージではメンバー外となるも、リーグ戦で結果を残し、決勝ラウンドではメンバーに復帰していました。
リヒトシュタイナー選手のような覚悟が香川選手にあるか次第でしょう。もし、「厳しそう」と選手自身が感じるなら、移籍を検討すべきです。
香川選手にもチャンスは訪れるでしょうが、先にチャンスを得るのはゲッツェ選手である可能性が高く、9.5番や10番を置かないフォーメーションもテストされることが予想されます。香川選手にとって、キャリアの大きな分かれ道が訪れていると言えるのではないでしょうか。