朝日新聞のアエラが「震度2の揺れで泊原発の外部電源喪失が起きた」とのデマを流す
朝日新聞が運営するアエラが「北海道胆振東部地震で、震度2を観測した泊原発の外部電源が喪失した」と主張しています。9月9日に放送された TBS 系列『サンデーモーニング』でも松原耕二が同様の主張をしており、デマ情報として是正する必要があります。
■ アエラが掲載した記事の内容
朝日新聞が運営する『アエラ』は地震地質学が専門の岡村真氏に見解を求める内容の以下の記事を掲載しています。
なかでも驚かされたのが、北海道電力の泊原発(泊村)で外部電源がすべて失われたことだ。泊村の震度は2。にもかかわらず、現在は非常用ディーゼル発電機で、燃料プールにある使用済み核燃料1527体の冷却を続けている。幸いにも、3基の原子炉は運転停止中だった。
(中略)
「泊原発には3系統から外部電源が供給されていますが、北電の中で3つの変電所を分けていただけと思われる。北電全体がダウンしてしまえばバックアップにならないことがわかった。今回の地震で、揺れが小さくても外部電源の喪失が起きることを実証してしまった。『お粗末』と言うしかありません」(岡村氏)
問題なのは「震度2という揺れが小さくても、外部電源の喪失が起きる」との間違った主張を展開していることです。
また、『サンデーモーニング』に出演した松原耕二氏は「泊原発は震度2だったのに全電源を喪失した」と発言しており、これは完全なデマです。このような言論が訂正されることなく、流れたままになっていることは問題と言えるでしょう。
■ 事実
まず、泊原発の外部電源が失われたことは事実ですが、その原因は「地震の揺れ」ではありません。泊原発が運転中であったとしても、今回の地震で観測した揺れ(= 震度2)では運転を停止するだけの地震加速度は計測されないため、運転は継続されていたことでしょう。
泊原発の外部電源が失われた理由は「北海道全域がブラックアウトしたから」です。
- 地震で震源に近い苫東厚真火発がダウン
- 苫東厚真火発が供給量の約 55% を担っていたため、他の発電所などでカバーしきれず、周波数の変動幅が閾値を超える
- 安全装置が働き、苫東系統下にあった火力発電所もダウン
- 北海道全域でブラックアウトが発生
- 外部電源が途絶えたことで、泊原発の非常用ディーゼル発電機が始動
“お粗末” も何も、泊村で観測された揺れで泊原発の外部電源が失われたのではないのです。
ブラックアウトの原因は「道内の電力供給の半分以上を担っていた苫東厚真火発が脱落したこと」です。今回は『地震』が原因となりましたが、『苫東厚真火発からの送電線切断』でもブラックアウトは発生します。
アエラの記事は明らかに誤報と言えるでしょう。
また、『サンデーモーニング』で松原耕二氏が言及した「泊原発は震度2だったのに全電源を喪失した」との発言は完全なデマです。なぜなら、非常用ディーゼル発電機が機能しており、“全電源” が喪失したことにはならないからです。
事実と異なる情報が公共の電波に流れ、誰も間違いを訂正しないことは問題です。デマに基づくロジックを振りかざす反原発運動には厳しい逆風が吹き荒れることになるだけに、事実ではない情報を強弁する姿勢は転換する必要があると言えるのではないでしょうか。