ムン・ジェイン大統領、「北朝鮮が非核化をするためには先にアメリカの譲歩が必要」と “従来の失敗パターン” を要求する

 NHK によりますと、北朝鮮を訪問中の韓国ムン・ジェイン大統領が北朝鮮のキム委員長との首脳会談を行い、『ピョンヤン共同宣言』に署名したとのことです。

 この中で、「北朝鮮が核施設を永久に廃棄する追加措置を取る用意がある」と述べられていますが、「アメリカが “相応の措置” をする」との前提条件が付いています。これは北朝鮮の18番である “食い逃げ外交” が行われる原因となるでしょう。

 同じ失敗を繰り返せば、北朝鮮は核保有国としての地位を確立することになるでしょう。非核化を訴える界隈が韓国や北朝鮮政府の主張にどのような反応を示しているかが注目点と言えるはずです。

 

 韓国のムン・ジェイン大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン委員長は19日午前、2日目の首脳会談を行ったあと、「ピョンヤン共同宣言」に署名しました。

 この中で非核化に関して、「アメリカの相応の措置に従って、ニョンビョンにある核施設を永久に廃棄するといった追加的な措置を取る用意がある」とされました。

 (中略)

 これを受けて、米朝の仲介役となってきたムン大統領は、来週アメリカを訪問して、24日にトランプ大統領と会談する予定で、ニョンビョンの核施設廃棄の前提条件とされた「アメリカの相応の措置」が何を意図するのかなど、首脳会談でキム委員長が示した考えを詳しく説明することにしています。

 様々な憶測が出ていますが、「何も動いていない」という状況です。今回の提案内容は “観測気球” のような役割が強いと言えるでしょう。

 

北朝鮮が『食い逃げ外交』をするためのお膳立てに奔走するムン・ジェイン政権

 韓国政府がやっていることは「北朝鮮が “食い逃げ外交” をするためのお膳立て」です。

  • アメリカ政府(や日本政府)が要求していること
    1. 北朝鮮が “不可逆的かつ検証可能な非核化” を実施する
    2. 非核化がされれば、経済支援などを実施
  • 北朝鮮側が要求していること
    1. アメリカなどが経済支援など “相応の措置” を実施する
    2. 実施された内容によって、非核化を検討

 これまでは「北朝鮮のご機嫌取り」がメインとなっており、経済支援を手にした北朝鮮は態度を翻意。その結果、“食い逃げ外交” が行われ続け、核兵器や弾道ミサイルの開発が続く大きな要因となりました。

 そのため、今回は「先に北朝鮮が非核化を実施せよ」との方針が採用されているのです。以前までの方針を採れば、過去の失敗を繰り返す結果となるでしょう。

 

軍事的緊張を高める国に支援を行う意味など皆無である

 北朝鮮国内での貧困などを理由に人道支援を訴える声があることは事実です。しかし、北朝鮮は周辺地域に対する軍事的な緊張を高める原因を(現在進行形で)作っているのですから、そのような国に対する支援をする必要はありません。

 なぜなら、軍事的緊張を高める要因となっている核兵器・弾道ミサイル兵器に費やしている予算を社会福祉関係に回せば済むことだからです。

 「日本列島を海に沈めてやる」などと恫喝する国に経済支援を行う必要など皆無でしょう。支援をしたところで、そのほとんどは恫喝行為を行う指導者の懐に入ることになってしまうと考えられるからです。

 “一般的な途上国” であるなら、両国が互いにメリット得られる形での支援を実施することに反発する声はほとんど出ないはずです。しかし、北朝鮮は明らかに一線を画しているのですから、支援を行うことなど以ての外と言わざるを得ないでしょう。

 

事態はまだ何も動いていない中、北朝鮮の “走狗” として動く韓国にアメリカがどう動くのかが注目点

 『ピョンヤン共同宣言』を出したことで成果があったように見えますが、事態は何も進展していません。韓国政府が「実質的な朝鮮戦争の終結宣言」と自画自賛し、“南北協力の実施” に向けた先走りを始めただけです。

 忘れてはならないのは非核化に向けた進展がゼロということです。

 「既存施設の廃棄」は単なるパフォーマンスに過ぎません。必要なのは「核施設のリスト」であり、「非核化に向けたタイムテーブル」だからです。“使用する必要のなくなった核施設” をどれだけ廃棄しても、非核化には何ら貢献しないからです。

 そのため、『核兵器廃絶』を訴える個人や団体は北朝鮮の姿勢を厳しく批判してくれることでしょう。なぜなら、北朝鮮は保有する核兵器の廃棄を約束しておらず、『核廃絶』を訴える人々の “思い” を踏みにじっているからです。

 事態が動くかはトランプ大統領の決断次第でしょう。ただ、トランプ政権は北朝鮮情勢よりもイラン情勢に力を入れているため、中間選挙の結果が出るまでは大きく動くことはないと思われます。

 ただ、その間も日本政府は北朝鮮情勢に向けた準備をしておかなければなりません。「北朝鮮が核保有国として恫喝をする」との想定が現実になる可能性が高いのですから、対抗策を確立させることが政治の責務です。

 

 話し合いでは解決できない問題にどのような答えを出すのかが注目点と言えるのではないでしょうか。