世界柔道選手権で2000年生まれの女王が2人も誕生、東京五輪での金メダル候補に名乗りを上げる

 アゼルバイジャンで世界柔道選手権が行われていますが、女子48キロ級と女子52キロ級で2000年生まれの選手が優勝したことが報じられています。

 阿部詩選手が女子52キロ級を制したことは朗報と言えるでしょう。ただ、48キロ級でダリア・ビロディド選手(ウクライナ)が頂点に立ったことは日本柔道界にとっては “厳しい現実” を突きつけられる結果となりました。

 

 世界柔道選手権(World Judo Championships 2018)は20日、アゼルバイジャンのバクーで開幕し、女子48キロ級では17歳のダリア・ビロディド(Daria Bilodid、ウクライナ)が優勝し、史上最年少の世界女王となった。

 ビロディドは決勝で、昨年大会で同級を制した渡名喜風南(Funa Tonaki)から一本勝ちを収め、17歳345日という年齢で優勝を果たした。

 これまで最年少記録を持っていたのは7度の大会制覇を誇る谷亮子(Ryoko Tani)氏で、1993年の初優勝時は18歳27日という若さだった。

 阿部詩選手は阿部一二三選手の妹ということで、日本のメディアが注目する存在でした。

 一方のビロディド選手はノーマークで、“新星” という扱いだったと言えるでしょう。とは言え、世界柔道選手権を17歳の時点で制する実力者ですから、東京五輪での有力な金メダル候補に名乗りをあげたことは確実と言えるはずです。

 

女子48キロ級で「身長172cm」という異色の柔道家

 史上最年少で女王に輝いたダリア・ビロディド選手ですが、特筆すべきは 172cm という身長でしょう。今大会の決勝で対戦した渡名喜風南選手は 148cm ですし、女子52キロ級の阿部詩選手(158cm)よりも高身長だからです。

 女子柔道の軽量級では 160cm 以下の選手がほとんどです。

 重心が高いほど相手選手に投げられやすくなりますし、“痩せ型” では「パワー勝負」に持ち込まれると苦戦することになるからです。ところが、モデル体型のビロディド選手が世界女王に輝き、前提条件を覆すことに成功しました。

 しかも、17歳という年齢で世界を制したのです。技術的な伸びシロは十分に残されているでしょうし、対策を立てにくい選手であることを考えると、東京五輪を含めた今後の数大会で日本代表選手の前に立ちふさがる強敵になる可能性が高いと言えるでしょう。

 

阿部詩選手とダリア・ビロディド選手が東京五輪で共に金メダルは十分にあり得るシナリオ

 ビロディド選手は今年の6月に東京で強化合宿を行っています。

 その時に阿部詩選手とも顔を合わせていたことがビロディド選手のインスタグラムから確認することができます。2選手ともに2000年生まれで、東京五輪の金メダル候補であることは間違いありません。

 瞬発系の筋肉は20歳前後がピークですし、その時期にオリンピックがあることは軽量級の両選手にとっては大きな利点と言えるはずです。

 また、ビロディド選手が日本で合宿を張っていることも見逃すべきではないでしょう。“軽量級に属する実力者” が少ないヨーロッパでは研鑽を積むことは容易ではありませんが、日本ではそれほど難しくないからです。

 瞬発系に強みを持った選手との場数を重ねるほど、ビロディド選手の引き出しが増えることになります。メディアがオリンピックでの金メダルをノルマとして課すのであれば、“異色の柔道家” への対策を講じる予算を拠出する必要があると言えるでしょう。

 

吉田沙保里選手が “ぶん投げたくなる” 美貌を持ったダリア・ビロディド選手

 女子レスリングの吉田沙保里選手が「かわいい外国人選手と戦う時は燃える。『ぶん投げてやる』って」との語録を残していますが、ダリア・ビロディド選手はその対象に入るでしょう。

 「モデル」と言われた方が違和感のないルックスだからです。とは言え、172cm/48kg という “モデル体型” で柔道の世界女王になったのですから、運動神経とテクニックは抜きん出たものを持っていると断言できるはずです。

 女子で 170cm 超の身長を持っていると、中量級以上の階級で活躍することを念頭に置いた育成が王道でした。ビロディド選手の登場で固定概念が覆されつつあるのですから、すべての選手を大型化する形に固執する必要は薄れ出していると言えるでしょう。

 

 オリンピックの金メダル獲得は選手としての価値を大きく高めることになるだけに、2000年生まれの金メダリストが東京五輪で誕生するのかに注目と言えるのではないでしょうか。