アメリカ・カリフォルニア州で上場企業に取締役の半数を女性にする法案が成立、“無能な女性取締役” が増える悪法では?

 CNN によりますと、アメリカのカリフォルニア州が上場企業に対して『取締役の半数を女性にすることを義務づける法案』を施行したとのことです。

 これは意味のない法案と言えるでしょう。なぜなら、有能な人物は女性取締役として既に実績を残していると考えられるからです。数合わせ的な女性取締役の増加は周囲に悪影響を及ぼすという認識が欠けていることが致命的と言えるでしょう。

 

 米カリフォルニア州で30日、上場企業に対して女性取締役の選任を義務付ける法律が施行された。

 新法によれば、カリフォルニア州で上場している企業は2019年末までに少なくとも1人の女性取締役を選任しなければならない。違反すると罰則が科される。また、取締役が5人の企業の場合、21年末までに女性取締役2人を選任しなければならない。

 男女平等の観点に基づく法律なのでしょうが、『機会平等』ではなく、『結果平等』を求めていることが問題と言えるでしょう。

 企業組織の運営に責任を持つ取締役は年齢や性別ではなく、能力によって選出されるべきです。これは能力に劣る人物を選任してしまうと、業績が低迷し、経営が立ち行かなくなるリスクがあるからです。

 

有能な女性なら、『取締役としての業績』を残している

 「取締役の半数を女性にする」という法案には意味がありません。なぜなら、有能な女性であれば、既に『取締役としての業績』を残していると考えられるからです。

 例えば、業績が低迷していた日本マクドナルドは女性のサラ・カサノバ社長の下で業績を回復させました。「ナゲット問題」などで就任当初は大逆風に見舞われたものの、2017年12月期通期決算では過去最高の利益を記録。結果を出しました。

 サラ・カサノバ氏が結果を出したのは「有能」だからであり、「女性」だからではありません。「女性」との理由で抜擢し、「業務遂行能力」に目を瞑るようなら、肝心の業績が低迷する結果を招くことになるでしょう。

 

「女性取締役がいるから収益性が高い」のではなく、「収益性が高いから、女性取締役を抱える余裕がある」のでは?

 能力主義で選んだ結果なら、取締役の年齢や性別に拘る必要はないでしょう。ところが、「女性の活躍」を要求する界隈ほど「女性ならではの視点」を高く評価するよう世間に要求している傾向にあります。

 州上院のジャクソン議員は法案が通過した際、米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材に答え、「カリフォルニア州の上場企業のうち4社に1社は依然として1人の女性取締役もいない。いくつもの独立した研究では、女性取締役のいる企業のほうが収益性や生産性が高いことが示されている」と指摘。「女性が人口の過半数を占め、購入の決断の70%超に関与しており、企業の文化や行動、収益性に影響を与える議論や決断にとって女性の洞察力は不可欠だ」と述べていた。

 もし、女性取締役がいることで収益が高まるなら、女性取締役が多数派を占める優良企業が出てくることでしょう。しかも、その企業を “時代の寵児” として、マスコミが大々的に取り上げ、他社を「伝統に固執する時代遅れの企業」と批判しているはずです。

 ですが、そのような企業がリベラル派のメディアに登場することはありません。カリフォルニア州にはシリコンバレーがあり、比較的歴史の浅い IT 分野で様々なスタートアップ企業が誕生しているにも関わらずです。

 これでは「収益性や生産性の高い企業が “イメージ戦略” で女性取締役を抱えている」ことが実情と言わざるを得ないでしょう。

 

“業務遂行能力に劣る取締役” は百害あって一利なし

 「能力のある社員が女性という理由で取締役への昇進が妨げられている」というケースは問題でしょう。

 しかし、上場企業であれば「業績を残せない人物を取締役に据えたままにするのは株主利益に反する」と株主総会で批判することができますし、有能な女性取締役を任命することは可能です。したがって、行政が法律で女性取締役の人数を決定することはマイナスでしかありません。

 また、業務遂行能力が要求水準に達していない取締役は周囲に損害を与えるだけでしょう。しかも、『性別による取締役の人数制限』が法律でできた訳ですから、これに抵触することを分かっている有能な取締役候補は他社に転職することでしょう。

 平等な競争機会を勝ち抜いた人物を取締役に抜擢するのではなく、性別で取締役を任命する方針は企業の競争力を削ぐ要因です。カリフォルニア州がやろうとしていることは「勘違いをした女性」しか幸せになれないという現実に目を向ける必要があると言えるのではないでしょうか。