アメリカ、連邦最高裁の判事に保守派ブレット・カバノー氏が就任 リベラル派の訴訟戦術に陰りが生じる

 終身制であるアメリカ連邦最高裁の判事に保守派のブレット・カバノー氏がトランプ大統領から指名され、議会上院で承認されたと NHK が伝えています。

 この結果、9人で構成される連邦最高裁の判事の内、5人は保守派となりました。今後は「保守派寄りの判断」が下されるケースが多くなると予想されるだけに、リベラル派の訴訟による妨害戦術は効果が薄れることになると言えるでしょう。

 

 トランプ大統領が連邦最高裁判所の判事に指名したカバノー氏が、6日、議会上院の本会議で賛成多数で承認されました。野党・民主党はカバノー氏の過去の性的暴行の疑惑が解明されていないなどと反発を強めていて、来月行われる中間選挙を前に与野党の対立が激しさを増しそうです。

 (中略)

 カバノー氏の就任によって連邦最高裁は9人の判事のうち5人が保守派で占められることになり、今後、銃規制や人工妊娠中絶など、社会を二分する重要な問題で、より保守的な判断が示されることになると見られています。

 連邦最高裁判所判事の指名で大揉めになっていた理由の1つは「終身制であるから」でしょう。判事は9名で構成されるのですが、保守派とリベラル派がそれぞれ4名ずつの状態で、最後の1名がどちらになるかで今後の判例に大きな影響が出ると見られていたからです。

 そのため、保守派の判事が誕生することにリベラル派が猛反発していたという背景があるのです。

 

カバノー氏を訴えていた女性は訴えを取り下げる

 カバノー氏の就任が揉めた理由は「カバノー氏から性的暴行を受けた」と主張する女性が現れたことでしょう。

 “疑惑” を根拠に民主党が騒ぎ出し、リベラル派が便乗しました。ただ、決定的な根拠を示すことができた女性はおらず、『推定無罪の原則』が貫かれたことで議会での承認が行われ、カバノー氏の就任が決定しました。

 その中で、カバノー氏を訴えていたクリスティーン・ブレイジー・フォード氏が訴えを取り下げることを表明。「就任の妨害」と「売名」が目的だったとの印象を残す結果になっています。

 「フォード氏は(今回の騒動で)クラウドファンディングを通して約100万ドルを集めた」との情報も出ており、MeToo 運動に乗っかる形で実利を手にした人物と言えるでしょう。おそらく、今後も同様の戦術を採る女性が出てくるものと思われます。

 

保守派の連邦最高裁判事が5名になったことで、社会の動向に変化が生じる

 連邦最高裁の判事は9名で構成されている訳ですから、5名が保守派となったことで「保守派の意向に近い判断」が下されることになるでしょう。銃規制・人工妊娠中絶・移民問題などのテーマで保守系が支持する判決が出ると予想されます。

 例えば、アメリカへの密入国が問題となっている難民問題では大都市が『聖域都市』という形で、“ドリーマー” を擁護したり、訴訟を起こすことで『反トランプ』の方針を打ち出してきました。

 しかし、カバノー氏の就任でこうした戦術が徒労に終わる可能性が現実のものとなりました。「リベラルを名乗る集団が勝手に定義した価値観を一方的に押し付ける」という運動に一定の歯止めがかかることは歓迎すべきと言えるでしょう。

 なぜなら、本来のリベラル派が求める「多様性」とは対極にある価値観を持った集団が『リベラルの代表』として、世間に特定の価値観を押し付けていたからです。

 

クリントン大統領が指名したリベラル派の最高裁判事2名も年齢的に引退が近づく

 保守派の判事が多数派となったアメリカ連邦最高裁ですが、さらに保守色が強まる可能性があります。それはクリントン大統領時代に指名された判事が年齢的に引退の時期が迫っているからです。

  • ルース・ギンズバーグ(85):在26年目・リベラル
  • スティーブン・ブライヤー(80):在25年目・リベラル
  • クラレンス・トーマス(70):在27年目・保守

 在任期間はブッシュ元大統領(父)に指名されたトーマス氏が最長ですが、年齢は70歳で最年長ではありません。

 カバノー氏が連邦最高裁の判事に就任したのは中間派のケネディ氏(82, 在任31年)が引退したことが理由であり、「ギンズバーグ氏(85)とブライヤー氏(80)の引退は時間の問題」と言えるでしょう。つまり、トランプ大統領の在任時に引退となると、「保守:7、リベラル:2」になってしまう可能性があるのです。

 

 一般人の生活に責任を持たないマスコミやリベラルはマジョリティーに我慢を強いる要求を平気で行いますが、実際に負担する立場に立たされる人々は反感を溜め込むことになるでしょう。今後は “行き過ぎたリベラル政策” の寄り戻しがアメリカを始めとする世界各地で見られると言えるのではないでしょうか。