『質問通告の有無』で国会が紛糾するのは無意味 解決策は「質問通告の内容を一般公開すること」だ

 国会に求められているのは「内容のある質疑」が行われることですが、そのためには『質問通告』は必須と言えるでしょう。ただ、残念なことに「質問通告をした・してない」で『水掛け論』となり、国会が紛糾する事態となっています。

 “大雑把な内容” では質問通告をしていないことと同じなのですから、質問通告の内容を省庁に送付した時点で一般公開することを義務づける運用に変更する必要があるはずです。

 

「質問レクなし、問い合わせ不可」との条件を付けた蓮舫氏の質問通告を認めるのか

 「質問通告の内容」に焦点を当てなければならない理由は「蓮舫氏が行った(とされる)質問通告の内容に問題があるから」です。民主党の参院議員として活動した経歴を有する松井孝治氏のツイートを確認すると、問題点が浮き彫りとなります。

画像:松井孝治氏のツイート

 蓮舫氏の質問通告には「その他」という項目が存在します。この手法が認められるなら、『質問通告』は不要になります。なぜなら、「国政に関する質問」と “質問内容を通告する気のない通告” でも認められることになってしまうからです。

 また、「どういった内容の質問なのかを教えない」、「質問内容についての問い合わせは不可」との条件は『国会での議論の質』を低下させる要因であり、国会論戦を軽視している姿勢と言わざるを得ないでしょう。

 

通告問題の解決策は「質問通告をした時点で一般公開すること」

 野党が『質問通告』でゴネる理由は「野党の質問に窮する閣僚の姿をテレビに映すこと」でしょう。マスコミは追求している(= 仕事をしている)ように報じてくれるため、パフォーマンス化が起きる原因となっているのです。

 これは「国会での議論の質が低下する大きな要因」であり、是正に乗り出す必要があります。

 通告問題で国会が紛糾することをなくすには「質問の通告を行った時点で、通告者の議員が『通告内容』と『通告時間』を一般公開すること」です。

 通告書はパソコンで作成し、メールで送付するのですから、議員(や事務所スタッフ)は『質問通告の内容が記されたデジタルデータ』を保持しているはずです。『質問通告の内容』と『省庁に送付したメールの送信時間』を事前に一般公開していれば、「通告した・していない」の “水掛け論” が起きることはないでしょう。

 なぜなら、一般の有権者が「質問通告が行われた時間帯と内容に対する評価」を下せるからです。

 政治家に審判を下すのは有権者による選挙であり、マスコミではありません。一般社会で働く有権者の多くから「不十分な内容の質問通告」や「通告時間が遅すぎる」との批判が寄せられたのであれば、該当の政治家は猛省すべきと言えるでしょう。

 

「内容のある国会論戦」で「中身のある答弁」を引き出す気のない政治家は不要

 国会を開くには1日あたり数億円の費用が必要になるのです。そのため、国会論戦のボイコットなど論外と言わざるを得ません。

 『閣僚の不誠実な答弁』を批判したいなら、「質問通告の内容」と「通告した時間」を事前に公表しておくことが有効になります。これは「具体的な通告を受けたにも関わらず、中身のある答弁ができなかった」と示されれば、その閣僚の評価はガタ落ちになるからです。

 逆に、事前に通告されていない質問への答えに窮する閣僚を見せられても、有権者は質問した議員を評価しないでしょう。

 なぜなら、クレーマー対応を強いられている姿を見せられていることと同じだからです。“言いがかり” を付けることを評価する一般人は少数派でしょう。この認識が欠落しているから、野党の支持率は低迷したままなのです。

 

 国会のリソースは政策立案に最大限の配分を行うべきです。雑な『質問通告』が黙認されていることで、リソースの浪費が起きている現状は改善する必要があると言えるでしょう。

 まずは「質問通告の内容と通告が行われた時間を一般公開すること」を義務づけ、ルールを守らない議員が出た場合は所属政党に割り当てられた質問時間を剥奪すべきだと言えるのではないでしょうか。