統一地方選に合わせて台湾で行われた住民投票で「2025年までに原発の運転停止」に NO が突きつけられる

 11月24日に台湾で統一地方選が行われ、それに合わせて10件の住民投票が行われました。

 「台湾の与党・民進党が議席を減らして大敗したこと」や「福島産などの食品に対する禁輸措置が継続となったこと」は報じられていますたが、『原発政策』に対する住民投票が行われていたことは取り上げない日本のマスコミは「フェアではない」と言えるでしょう。

 なぜなら、反原発派が主張する内容が住民投票による是非を問われていたからです。

 

『反原発派の主張』が台湾の住民投票で否定される

 台湾では統一地方選に合わせて、10件の住民投票が行われました。その1つが原発政策を問うものでした。

  • 問:電気法第95条1項(= 2025年までに原子力発電所の運転を停止する)の廃止に賛成しますか?
  • 有効投票数:9,909,775
    • 賛成票:5,895,560
    • 反対票:4,014,215

 結果は反原発派の大敗で、反原発を否定する声が約 60% を占める結果となりました。マスコミが「大勝」と持ち上げた沖縄県知事選での玉城デニー氏の得票率が 55% だった訳ですから、この現実は重いと言えるでしょう。

 

マスコミは「反原発が否定された」という結果をなぜ報じないのか

 奇妙なのは『報道機関』であるマスコミが「反原発が台湾の住民投票で否定された」という事実をほとんど報じていないことです。

 同じ住民投票で問われた「福島産などの食品に対する禁輸措置継続」については報じる一方で、『反原発政策』が伝えられていないことは不自然と言わざるを得ません。

 「脱原発を支持している」との理由で『反原発運動の逆風になる情報』を矮小・隠蔽することは “報道機関” として自殺行為です。なぜなら、「読者や視聴者に事実を正確に伝達する」という本来の役割を見失っているからです。

 公平・中立を語りながら、特定の思想や価値観に肩入れしていることと同じであることを自覚しなければなりません。そうした行為に手を染めるのは “悪質な機関紙” と変わらないという現実を認識する必要があるでしょう。

 

「原発閉鎖は温室効果ガスの排出増加を招く」と憂慮する科学者同盟(UCS)も警鐘を鳴らす

 また、アメリカの『憂慮する科学者同盟(UCS)』が「原発閉鎖に否定的なレポート(PDF)」を出したことから日本のメディアが目を背けていることも問題です。

 リベラル派であっても、イギリス・ガーディアン紙はオリバー・ミルマン氏の署名記事「原発は二酸化炭素の排出が最も少ない電源」と報じています。こうした事実を報じることがマスコミの責務・役割と言えるでしょう。

 しかし、日本のマスコミは「反原発こそ正義」と決めつけ、『憂慮する科学者同盟(UCS)』が発表したレポートは黙殺する報道体制を敷いています。

 反原発派は再生可能エネルギーを「エコでクリーン」という印象操作を行っていますが、それをデータで示すことはないでしょう。なぜなら、データを前面に出そうとすると「温室効果ガスの排出量が増え、電気代が高騰する」という不都合な現実にスポットが当たってしまうからです。

 そのため、反原発を掲げるリベラル派は「原発は怖い、再生エネはクリーン」と情に訴えることで世間一般にデータや根拠に基づく判断をさせないようにしているのです。

 

 完璧な政策が存在することはありません。エネルギー・ミックスが現在の日本では最も現実的な解決策であり、原発の存在そのものを否定するなら、その根拠となるデータを示すべきでしょう。

 そうしたことをするどころか、「反原発に住民投票で NO が突きつけられた」という現実すら隠蔽するマスコミが主張する反原発運動に賛同しても生活が豊かになることはないと言えるのではないでしょうか。