関学が甲子園ボウルを制して大学日本一に輝き、日大アメフト部による悪質タックルの “狙い” が間違いではなかったことが証明される

 12月16日にアメフトの大学日本一を決定する甲子園ボウルが行われ、関西学院大学(西日本代表)が早稲田大学(東日本代表)を下し、2年ぶりの栄冠を手にしたと NHK が伝えています。

画像:2018年の甲子園ボウルを制した関西学院大学

 甲子園ボウルで MVP に輝いた QB 奥野選手は日大アメフト部の悪質タックルを受けた被害者でした。

 悪質なレイトタックルを敢行させた日大アメフト部の監督・コーチ陣に同情の余地はありませんが、「奥野選手は要注意選手」と見抜いていた “眼力” をスポーツマンシップに則る形で発揮できなかったことが残念極まりないことと言えるでしょう。

 

 アメリカンフットボールの大学日本一を決める甲子園ボウルが行われ、関西学院大が早稲田大に37対20で勝ち、2年ぶり29回目の優勝を果たしました。MVP=最優秀選手には、ことし5月、日本大学の選手から悪質なタックルを受けてけがをした奥野耕世選手が選ばれました。

 アメフトの決勝戦で MVP を決めるとなると、ほとんどの場合は攻撃を司る QB が受賞します。これは「勝つためには得点が必須」であり、QB の最大の仕事が「得点をするために様々な攻撃パターンを駆使してチームを前進させること」だからです。

 奥野選手が甲子園ボウル MVP 獲得することは試合結果から妥当なものと言えますが、年間最優秀選手に送られるミルズ杯も受賞したことは高く評価されるべきと言えるでしょう。

 

ミルズ杯(= 年間最優秀選手)は QB 以外のポジションからも多く選出されている

 サッカーで FW の選手が高い評価を受けがちなのと同様、アメフトでは QB (=クオーターバック)が高い評価を得ています。

 これは「QB からの展開力」でチームの攻撃による結果が如実に変わってくるからです。そのため、NFL のスーパーボウルでの MVP やアメリカの大学最優秀選手に送られるハイズマン賞もほとんどは QB が受賞しています。

 その一方で日本の年間最優秀大学生選手に送られるミルズ杯は様子が異なります。

 2017年大会までの過去5年で QB がミルズ杯を獲得したのは昨年の林大希選手(日大)のみ。RB が2名。DL と LB がそれぞれ1名と受賞者のポジションはバラバラです。

 「甲子園ボウルで優勝した大学が属するリーグの最優秀選手」という条件ではあるものの、アメフト・関西リーグのレベルを考慮すると、2年生 QB である奥野選手が受賞したことは大きなインパクトと言えるでしょう。

 

今年5月の時点で「関学・奥野は厄介な QB」と判断していた日大アメフト部首脳の眼力は本物

 この奥野選手が素晴らしい才能を持っていることを事前に見抜いていたのが「日大アメフト部の監督・コーチ陣」です。だから、今年5月に対戦した交流試合で “潰すこと” を宮川選手に強いたのでしょう。

  • 秋にあいつ(= 奥野選手)がいなければ楽だろう
  • 関学に知り合いでもいるのか?
  • やらなきゃ、意味ないよ
  • 「できませんでした」じゃ済まされないからな

 2017年に甲子園ボウルを制した “名門・日大” が連覇をするには西日本代表を倒す必要があります。「前回大会の雪辱に燃える関学」か「関学の後塵を拝したくない立命館」との対戦が濃厚で、奥野選手は前者の攻撃を牽引する重要人物なのです。

 奥野選手を負傷離脱させてしまえば、自分たちが甲子園ボウルで優位になるのは明らかです。また、複数年に渡って日大の前に立ち塞がる可能性を持った下級生であることも、“蛮行” に走らせる要因になった可能性が大きいと言えるでしょう。

 

「悪質タックルで潰そうとした日大」と「正攻法で挑むも返り討ちにあった立命大」

 日大アメフト部が評価されるのは「今年5月の段階で奥野選手の持つ能力を正確に評価できていた」という点だけです。「高い能力を持つ相手選手への対応」は “クズ” です。

 なぜなら、『奥野選手を止める術』が存在することを立命館大学が証明したからです。

 甲子園ボウルの出場権を賭けた西日本代表決定戦(= WESTERN JAPAN BOWL)は「関学対立命館」となり、関学が 20-19 で辛勝。終了間際の FG で関学が逆転勝ちした試合で奥野選手は3度のインターセプトを献上しており、散々な出来だったのです。

 “前年度の甲子園ボウル覇者” が選択すべきは『立命館が採った正攻法』であり、「相手選手を負傷させて潰す」という『姑息な手法』ではありません。

 王者として歩むべき道を完全に間違ったのですから、「日大アメフト部は解体・出直しが不可避」と言わざるを得ません。紅白戦という形で選手は実戦形式のプレーができるため、“泣き落とし” は逆効果になることを認識する必要があります。

 

 ネットで炎上したことで、日大アメフト部による悪質タックルが世間に知れ渡ったのです。本来は既存メディアが先に問題視しているべき問題であるだけに、メディアの振る舞い方も見直す必要があると言えるのではないでしょうか。