最高裁が “デマに煽られた自主避難者” からの賠償請求を認める判決を確定させ、社会に負担増を強いる

 NHK によりますと、福島県内から近畿地方に “自主避難” していた男性らが精神疾患などを理由に損害賠償を請求していた訴訟で最高裁が原告勝訴の判決を確定させたとのことです。

 原発事故の影響がないにも関わらず、勝手に妄想を膨らませて自ら避難した人が被った損害に対する賠償判決が出たのです。司法は「弱者救済」の意向を踏まえた判決を下したのかもしれませんが、それによって社会のコストが増加することが余儀なくされるのです。

 最高裁まで “情弱” となった状況では企業活動に大きな足かせが付けられたも同然と言わざるを得ないでしょう。

 

 東京電力福島第一原発の事故で、福島県内から京都などに自主避難した男性らが、精神疾患を発症し、仕事ができなくなったとして東京電力を訴えた裁判で、最高裁判所は双方の上告を退ける決定を出し、東京電力に1600万円余りの賠償を命じた判決が確定しました。

 (中略)

 1審の京都地方裁判所は、「男性が発症した不眠症やうつ病は、原発事故が主な原因の一つだ」として東京電力に対し、男性ら2人に合わせて3000万円余りを賠償するよう命じ、2審の大阪高等裁判所は賠償額を1600万円余りに減額する判決を言い渡し、双方が上告していました。

 これについて、最高裁判所第1小法廷の木澤克之裁判長は17日までに上告を退ける決定を出し、東京電力に賠償を命じた判決が確定しました。

 

「引っ越しと同じ “自主避難” でも、言いがかりで損害賠償を勝ち取れる」のは『悪しき前例』となる

 自主避難が損害賠償の理由になったことは今後の判決に大きな影響を与えるでしょう。なぜなら、「自主避難で被った損害」を裁判で認定される前例ができたからです。

 これは「自主避難をしたことで収入が減少した」という理由でも、勝てる見込みができたことを意味しています。そのため、“悪しき前例” になることは明らかと言えるでしょう。

 賠償をするのはデマを流した側にいた立場の個人や団体ではありません。「事故を起こした東京電力がすべて悪い」とのロジックを最高裁まで採り入れたのですから、今回の確定判決を目当てにした訴訟が相次ぐことになると考えられます。

 

裁判所の「弱者救済に思いを寄せた判決」は社会の疲弊を招く大きな元凶となる

 刑事であれ、民事であれ、判決を出す立場にある裁判所(や司法)は恨みを買う業種です。そのため、弱者に寄り添うことで「世間の反発を緩和したい」との誘惑に駆られることでしょう。

 ところが、“歪められた判決” が確定してしまうと、社会全体の負担が増すという皮肉な結果を招いてしまうのです。

 例えば、『解雇4要件』が裁判で確定したことで、解雇不当を訴えていた従業員は救われたことでしょう。しかし、その反面で “解雇する必要があった従業員” の雇用継続による負担は他の従業員に押し付けられることになりました。

 また、高齢者が入院する病院で起きた医療ミスではない事故でも病院側に巨額賠償が科される事態が起きています。判決理由は「事故を防ぐ体制が不十分」となっていますが、コストを度外視されているのです。これでは医療崩壊が起きるのは当然と言わざるを得ないでしょう。

 今回、最高裁で木澤克之裁判員が確定させた自主避難者による損害賠償訴訟は上述した案件と同様の問題を社会に引き起こす可能性を持ったものなのです。

 

「原発事故の影響がないにも関わらず、賠償請求が認められること」は害悪以外の何物でもない

 「原発事故の影響が出てくる」とのデマを真に受けたことで被った損害の賠償先は『デマを流した人物・団体』と『デマを信じた自分自身』でしょう。東電は関係ないことです。

 自分の愚かさを認めることができず、“事故を起こした東電” に責任転嫁し、裁判所もその動きに同調した。このことで原告は救われますが、そのツケは社会全体にのしかかります。

 なぜなら、避難する必要が全くなかった土地から自分で引っ越した人物が一儲けできる状況が生まれたからです。

 損害賠償訴訟の手数料が得られることになる “市民派” の弁護士も自主避難者に対して提訴を促すことでしょう。「自らの妄想」が理由で被った損害でさえ、東京電力からの賠償金が得られるのですから、“金脈” が発見されたに等しい出来事と言えるでしょう。

 

 もちろん、その支払い源となるのは日々の電気代に他なりません。活動家が騒いだことに騙された情報弱者が被った損害の尻拭いを全電力消費者が強いられることになる現状ほど馬鹿げたことはないと言えるのではないでしょうか。