帰国会見で記者団に「王様プレーを要求する発言」を行った香川真司は結果的に自らの首を絞めただけなのでは?

 年末年始に入り、欧州のサッカーリーグでも冬季中断期間を迎えています。

 ドルトムント(ドイツ)に所属する香川真司選手も日本に一時帰国し、記者団からの囲み取材に応じたと日刊スポーツが報じています。ただ、そこで「王様プレーを要求する発言」を行ったことがネックになる可能性があると言えるでしょう。

 

 ドルトムントMF香川真司(29)が23日、あらためてスペイン挑戦願望を口にした。リーグの冬季中断期間を利用して一時帰国。11月に明かしていたスペイン1部リーグへの移籍の夢について「実現させたいし、そのために常々、動いてきた。そこ(スペイン)を中心に探している。生き生きとして、より自我を強調できる移籍先でトライしたい」と宣言した。

 この発言は本音であったとしても、あまり良いものとは言えないでしょう。なぜなら、“不満分子” になると見なされる恐れがあり、獲得を敬遠するクラブが出てくると考えられるからです。

 

「ドルトムントでは生き生きとプレーできない」と言っているも同然の行為

 香川選手はスペイン行きを熱望する理由として、「生き生きとして、より自我を強調したい」と述べています。

 これは「(現所属チームの)ドルトムントでは “生き生きとして、自我を強調したプレー” はできない」と述べておりことと同じであり、監督やクラブの顰蹙を買う結果となるでしょう。そのため、序列は最下位にまで落ちることは避けられないと考えられます。

 プレー機会を与えられた際に結果を残していれば、選手を擁護するファンは現れます。しかし、チームが結果を残す中で、結果が伴わない選手が文句を述べたところで聞く耳を持ってもらえることはないでしょう。

 結果を出せていない選手を「功労者」という理由で優遇するのは「チーム内での健全なポジション争い」を阻害する行為です。“不満分子” と化した香川選手は「損切り」されるか、「飼い殺し」にされるかがのどちらかになると言わざるを得ないでしょう。

 

『新加入選手のエゴ』が『チームの規律』を超越することはない

 次に、新加入選手が自我を強調しようとすれば、チームは空中分解を引き起こすことでしょう。なぜなら、チーム内に存在するヒエラルキーを覆される結果になるからです。

 レアル・マドリードからユヴェントスに電撃移籍したクリスティアーノ・ロナウド選手でさえ、チームを優先することで「良好な関係」を築いているのです。

 誰もが認める圧倒的な実績を持つ選手でさえ、自我を強調することを自重しているのです。もし、ロナウド選手がユヴェントスで自我を強調していれば、チームは空中分解をしていたことでしょう。ビッグクラブはそれだけプライドが高い選手たちで構成されているからです。

 『選手の意向』が『監督の采配』や『クラブ』を上回るのはメッシ選手だけと言えるでしょう。メッシ選手はバルセロナのカンテラ(= 下部組織)出身でファンから特別な愛情を受けているため、このような逆転現象が起きているに過ぎません。

 新加入選手が “王様プレー” をできるような立場を用意されることはまずありません。「チームのために汗をかく仕事」を他の選手に任せるのですから、それだけの結果が出せていない選手が高待遇で迎えられる可能性は低いと言えるでしょう。

 

「トップ下での王様待遇」を準備するスペイン勢があるとは考えにくい

 香川選手はスペイン勢に秋風を送っていますが、それに応えるクラブがあるとは考えにくい状況です。

 まず、上位勢は「王様待遇」をしないでしょう。「チームのために働く献身性」を要求するでしょうし、ドルトムントで戦力外となっている選手に貴重な『外国人枠』を使わないと考えられます。

 逆に、中位から下位のチームでは「王様待遇」を勝ち取れる可能性はあります。しかし、チームがポゼッション率で下回る試合が多くなり、守備に追われる時間が多くなるでしょう。つまり、「生き生きとしたプレー」は難しいことを意味しているのです。

 そのため、香川選手がメディアに発した条件を満たす獲得オファーがスペイン勢から届く見込みは低いと考えられます。

 

 香川選手の条件を満たすのは「Jリーグのヴィッセル神戸」でしょう。バルサを模したサッカーを掲げていますし、地元出身の香川選手を『王様待遇』で迎えることに問題はないはずです。

 日本の取材陣の前で発したコメントで香川選手自身の首が絞まる状況になっているだけに、かなりリスキーな状況になっていると言えるのではないでしょうか。