韓国国防部、レーダー照射問題で自衛隊が公開した映像ばかりを用いた反論動画を公開 従来の主張を繰り返した上、矛盾も示す結果となる

 韓国海軍の駆逐艦が自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題で、韓国・国防部が反論動画を公開したと NHK が報じています。

 ただ、動画に使われている映像の大部分は自衛隊が公開した映像を流用しており、この行為は著作権法に違反します。内容は従来の主張内容を繰り返しているだけなのですが、その内容にも矛盾が含まれているため、徹底的に指摘する必要があると言わざるを得ないでしょう。

 

 韓国国防省は4日午後、韓国側の主張をまとめたおよそ4分半の映像を公開しました。この中には上空を飛行する自衛隊の哨戒機と、遭難していたため救助中だったとされる北朝鮮の船舶を韓国の海洋警察が撮影した10秒ほどの映像が含まれていますが、大部分はすでに日本側が公開した映像です。

 (中略)

 映像の公開に合わせて会見した韓国国防省のチェ・ヒョンス(崔賢洙)報道官は「日本はこれ以上、事実をわい曲することを中断し、人道的な救助活動中だった、韓国軍の艦艇に威嚇的な低空飛行をしたことを謝罪しなければならない」などとこれまでの主張を繰り返しました。

 韓国国防部が公開した動画ですが、わざわざ確認する必要はありません。なぜなら、新たな情報は10秒ほどで大部分は自衛隊が公開した映像を無断利用している代物だからです。

 また、韓国側は動画内で以下の項目を主張しています。

  1. なぜ、日本の哨戒機は人道的救助作戦現場で威嚇的な低空飛行をしたのか?
  2. 「国際法を遵守した」という主張は事実なのか?
  3. 韓国軍は自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射していない
  4. 哨戒機からの通信は明確に聞こえなかった

 ただ、いずれの主張内容にも問題点があります。韓国側に再発防止を作らせるためにも、矛盾点を指摘していくことにしましょう。

 

“低空脅威飛行” という荒唐無稽な韓国側の主張

 韓国は「人道的救助活動作戦を韓国海軍が行っている現場を自衛隊機が低空脅威飛行をした」と主張しています。しかし、その根拠は何も示されていません。

画像:韓国・国防部が公開した自衛隊の哨戒機による飛行

 自衛隊の哨戒機は韓国側が公開した映像からも距離を保って飛行していることは明らかです。哨戒機の全長は約 40m ですから、海面までは約 200m はあるでしょう。したがって、「威嚇的な低空飛行をした」との主張は無理があるのです。

 また、「人道的救助作戦」を実施していたなら、それを自衛隊側に無線でそのように伝達すれば済んだことです。韓国側が自衛隊機の飛行を「脅威」に感じたなら、それを問い詰めることもできたはずです。

 そのため、韓国側の主張は火器管制レーダーを照射した責任を被害者である自衛隊に転嫁するものと言わざるを得ないでしょう。

 

「日本は国際法を恣意的に歪曲している」との韓国側の主張は意味不明

 日本側は「哨戒機の飛行高度(約 150m)は問題ない」と主張し、その根拠として『国際民間航空条約(= 通称:シカゴ条約)』を持ち出しています。

 ところが、これを韓国側は「軍用機には適用されない」と主張しているのです。これは反論になっておらず、意味不明と言わざるを得ません。

 自衛隊機は “民間機に適用される高度規定” を遵守しており、この規定は軍用機には適用されません。つまり、「自衛隊の哨戒機は “軍用機には適用されない民間機用の高度規定” を遵守する飛行高度を保っていた」と日本側は主張しているのです。

 韓国側の主張が反論になっていないことは明らかと言えるでしょう。

 「軍用機には適用されない」との反論が効果的なのは「軍用機が民間機には適用される規定を破った場合」だけです。今回はそのケースではないのですから、韓国・国防部の主張内容は意味不明と言わざるを得ません。

 

「火器管制レーダーを照射していない」のであれば、なぜ現場でそのように主張しなかったのか

 「火器管制レーダーの照射」について韓国側の主張は二転三転しています。当初は「照射したが、何か問題でも?」という姿勢でしたが、最終的には「照射していない」と主張しています。

 一時は「光学カメラを作動させた際に火器管制レーダーが起動したままだった」との話も出ていましたが、それをも否定する形となりました。

 ただ、重要なのは「自衛隊機から照射の意図を問われた韓国海軍が現場で応答していない理由を述べること」なのです。しかし、回答を拒絶したままであり、韓国側の対応に問題がなかったとは言えないでしょう。

 

「無線が聞こえなかった」との弁明は無理があることが判明

 韓国側は自衛隊機からの問い合わせに応答しなかった理由として、「無線が明確に聞こえなかった」と弁解しています。しかし、これは無理があることは明らかです。

 「ハルナンバー・ナイナー・セブン・ワン(= Hull Number 971)」と艦番号が聞き取れる上、「This is Japan Navy」も音声に入っています。この状況で “ガン無視” を決め込んだことは問題と言わざるを得ないでしょう。

 また、動画では「明確に聞こえなかった」と主張していますが、BGM は流れたままです。わざわざノイズを上乗せしている時点で、「説得力に欠ける映像」と言わざるを得ないでしょう。

 しかも、自衛隊側が3つのチャンネルで呼びかけているのです。奇妙な電子音も聞こえることから、最も加工しやすいチャンネルのものを使った可能性は残されているのです。

 

 自衛隊側との通信を行うための努力を最大限行わず、一触即発の可能性があるレーダー照射を行う時点で問題外です。事実確認を拒み、真摯な対応を韓国側がしないから政治案件にまで昇華したのです。

 現状では非は 100% 韓国側にあるのです。責任転嫁を目論む韓国の謝罪要求に応じる必要性は皆無と言えるでしょう。

 中途半端な状態で矛を収めると再発防止策が作られずに、旭日旗問題のように「韓国のデマ」が事実として世界に流され日本側が不利益を被ることになるのです。そのことを認識した上で、この問題の解決に当たる必要があると言えるのではないでしょうか。