玉城沖縄県知事と琉球新報、「安倍首相のサンゴは移植した発言」を『ご飯論法』を用いて「フェイクニュース」と批判

 安倍首相が1月6日に放送された NHK 『日曜討論』で「辺野古への移設にあたり、あそこのサンゴは移植済み」と発言したことに対し、玉城沖縄県知事と琉球新報が「フェイクニュース」と批判しています。

 しかし、その批判こそ『ご飯論法』を利用した “デマ” なのです。通常国会で野党議員が事実確認をおざなりにして騒ぐ可能性があるだけに、批判の根拠が存在しないことを明確に示しておく必要があると言えるでしょう。

画像:玉城知事や琉球新報による主張内容に対するファクトチェック

 

■ 玉城デニー沖縄県知事や琉球新報による批判の内容

1:玉城デニー沖縄県知事のツイートが発端

 この騒動の発端は「玉城デニー沖縄県知事が行ったツイート」です。

画像:玉城・沖縄県知事によるツイート

 安倍首相が6日に放送された NHK 『日曜討論』で「辺野古への移設にあたり、あそこのサンゴは移植済み」と発言したことに対し、「現実は違う」と反論するツイートを行ったのです。

 それを受け、琉球新報が玉城沖縄県知事の姿勢を擁護する記事を掲載し、政権批判を行いました。

 

2:琉球新報が「安倍首相の発言はフェイク」との批判を展開

 琉球新報は1月8日付の記事で以下のように批判を行いました。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に伴う埋め立てに関し、安倍晋三首相は6日に放送されたNHKのテレビ番組「日曜討論」で事実を誤認して発言した。安倍首相は「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移植している」と述べたが、現在土砂が投入されている辺野古側の海域「埋め立て区域2ー1」からサンゴは移植していない。

 辺野古への移転反対派は「移植が必要なサンゴが残っているにも関わらず、移植済みとの発言をしたことが問題」と批判したいのでしょう。しかし、これは事実を都合良く解釈した『ご飯論法』に基づく批判に過ぎません。

 “言いがかり” であるにも関わらず、「フェイクニュース」だと強弁する姿勢には大きな問題があることを指摘する必要があるからです。

 

■ 事実

1:埋め立て工事の着手が可能な『辺野古区域』と工事の準備環境が整わない『大浦湾区域』

 最初に、辺野古への移設工事は「2つの区域」にまたがって行われており、『辺野古区域』と『大浦湾区域』が存在します。2018年4月に沖縄タイムスが報じた護岸工事の状況は下図のとおりです。

画像:沖縄タイムスが報じた護岸工事の状況
  • 大浦湾区域:区域1および区域3
  • 辺野古区域:区域2

 区域の分け方は「辺野古の集落部から辺野古岬まで」が『辺野古区域』、「辺野古岬から以北の海岸線」が大浦湾に面していることから『大浦湾区域』となっています。

 実際に埋め立て工事が可能なのは『辺野古区域』のみであり、『大浦湾区域』は護岸工事すら完了していないため、埋め立ては不可能です。このことを念頭に置いておく必要があります。

 

2:『埋め立て区域2ー1』に “移植が必要なサンゴ” はそもそも存在しない

 次に、琉球新報は「『埋め立て区域2ー1』からサンゴは移植していない」と安倍首相の発言を批判していますが、これこそ、完全なフェイクニュースです。なぜなら、該当の区域に “移植が必要となるサンゴ” は生息していないからです。

 その証拠は日本共産党が赤旗で取り上げています。

画像:赤旗が報じた記事の内容

 赤旗の記事は2018年6月に掲載されたもので、「『埋め立て区域2』に絶滅危惧種のサンゴが生息している」と主張しています。つまり、『埋め立て区域2ー1』には “移植が必要となるサンゴ” は生息していないのです。

 そのため、辺野古側の海域『埋め立て区域2ー1』からサンゴが移植されないのは当たり前のことなのです。

 

3:辺野古側に生息する “移植が必要なサンゴ” の移植作業が完了したから、埋め立て工事が開始された

 『埋め立て区域2』に生息する絶滅危惧種のサンゴ(= オキナワハマサンゴ)がどうなったかと言いますと、2018年8月に移植作業が完了しています。

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局は6日、県が先月、特別採捕を許可した辺野古側の埋め立て海域で見つかった「オキナワハマサンゴ」9群体を採捕し、埋め立て区域外に移植したと発表した。護岸で囲われた埋め立て区域のサンゴの移植は全て完了。

 要するに、2018年8月の時点で『辺野古区域』内のサンゴの移植は全て完了しているのです。土砂投入が可能となった訳ですから、狭い区画の『埋め立て区域2ー1』から作業が開始されたに過ぎないと言えるでしょう。

 

4:玉城沖縄県知事や琉球タイムスは「『大浦湾区画』の状況」を理由に「『辺野古区画』での工事を止めろ」と要求

 玉城デニー沖縄県知事や琉球タイムスが要求の根拠として取り上げているのは「『大浦湾区画』に生息するサンゴ」です。「『埋め立て区域1』と『埋め立て区域3』に移植の必要があるサンゴが生息しているから『埋め立て区域2』の工事と止めろ」と要求しているのです。

 これは無理のある主張だと言わざるを得ないでしょう。

 『大浦湾区画』(=『埋め立て区域1と3』)に生息するサンゴについては移植申請中で、移植が済まない限り、護岸工事が完了していないことは共産党も認めていることです。(上述の赤旗の記事を参照)

 つまり、『大浦湾区画』は埋め立て工事が開始される要件をまだ満たしていないのです。2019年1月の時点で土砂投入が可能なのは『辺野古区画』(= 『埋め立て区画2および2ー1』)のみであり、安倍首相の「あそこのサンゴは移植している」との発言をフェイクと主張するのは無理があると言わざるを得ないでしょう。

 

 移設反対派にアピールしたい野党議員が通常国会で持ち出す可能性があるネタであるだけに、今後の展開を注視する必要があると言えるのではないでしょうか。