原子力規制委員会、人口100万人超の鹿児島への被害を無視して「姶良カルデラの破局的噴火による原発被害」のみを心配する

 読売新聞によりますと、原子力規制委員会が鹿児島湾内にある『姶良(あいら)カルデラ』の破局的噴火を警戒して常時観測を開始するとのことです。

 気象庁が行うのではなく、「原子力規制委員会が行う」という点が失笑物でしょう。なぜなら、姶良カルデラで破局的噴火が起きれば、鹿児島県どころか西日本全体が壊滅する事態が発生するからです。

 『反原発』しか見えておらず、鹿児島県民などの日常生活が見えていないことは致命的と言えるでしょう。

 

 原子力規制委員会は、火山の破局的噴火による原子力発電所への影響を評価するため、2021年度から鹿児島湾内の火山「姶良カルデラ」の海底での常時観測に乗り出す。

 (中略)

 破局的噴火は、噴出物の量が100立方キロ・メートル以上の超巨大噴火で、火砕流が数十〜100キロ・メートル以上の範囲に到達する。国内では1万年に1回程度起きているが、縄文時代の7300年前が最後で、科学的な観測データがないため詳細はわかっていない。

 反原発派への支持が広がらない理由は「原子力発電所しか見えていないから」でしょう。

 『原発への被害』や『原発による周辺自治体への被害』には過剰なほどに懸念を示しますが、『自然災害による原発周辺の自治体への被害』は完全に抜け落ちてしまっています。明らかに無理筋な反原発運動を展開するから、活動が頭打ちになっていると言えるでしょう。

 

桜島や姶良カルデラで破局的噴火が起きれば、“火砕流” で鹿児島県の大半が甚大な被害を受ける

 桜島周辺から半径 40km の円を図示すると、以下のようになります。

画像:鹿児島湾から半径40kmの範囲

 破局的噴火が起きれば、鹿児島県の大半が火砕流に飲み込まれることになるでしょう。約100万人が火砕流に巻き込まれる恐れがあるのです。

 この事態を無視して、「川内原発への被害」ばかりを取り上げることは明らかにピントがズレています。約60万人の人口を抱える県庁所在地である鹿児島市への避難計画などは軽視されており、明らかに “茶番” と言わざるを得ないでしょう。

 

九州の火山での破局的噴火による “噴出物” で西日本全域が壊滅的被害を受ける

 川内原発にまで到達する破局的噴火が桜島や姶良カルデラで発生すれば、鹿児島県は火砕流で消滅するでしょう。また、噴火による “噴出物” は西日本全体へと降り注ぎ、西日本は壊滅的な被害が生じると予想されます。

 この状況で『原発』だけを特別扱いすることはナンセンスです。

 原発は「被害を受ける施設の1つ」に過ぎません。原発への災害対策をしたからと言って、他の施設や地元住民への対策を怠って良い理由にはならないのです。反原発派はこの視点を見落としてはなりません。

 地震による揺れ・津波・噴火による火砕流と言った自然災害は原発だけを “狙い撃ち” をする代物ではありません。発生源から放射状に広がるものなのですから、「原発だけを止める理由」にはならないという認識を持つ必要があると言えるでしょう。

 

「噴火しても数十年経過すれば再建できる」という『反原発派』の安易な発想

 反原発派に目立つ主張として「放射能で1度汚染された土地で生活することは不可能」というものがあります。これほどの差別的発想は珍しいと言えるでしょう。

 もし、その主張が正しいなら、原爆が投下された広島や長崎では人が生活することは不可能になってしまいます。実際には「その主張は間違い」であることは示されているのですから、取り合う必要はないはずです。

 また、噴火の被災地域を再建することは非現実的です。インフラ整備には費用がかさむ上、再噴火のリスクを払拭できなければ、人は戻って来ません

 “破局的噴火” に被害範囲は西日本全体に及ぶことが想定されますし、甚大な被害を被っているであろう鹿児島県は「古代都市ポンペイ」のような扱いを受けるはずです。

 遺族の意向が強く反映されるでしょうし、現地に立ち入るまで数十年から数百年を要することになる恐れがあります。そうなれば研究対象となり、再開発が許される可能性は低くなると考えられるからです。

 

 原子力規制委員会までも『反原発』で視野狭窄を起こしている現状は懸念の声をメディアが率先して上げる必要がある状況になっていると言えるのではないでしょうか。