NHKが桜田五輪相の「がっかりした」との発言だけを切り取り、無駄な政治問題を作り出す

 東京オリンピックの水泳競技での活躍が期待された池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表したことに対し、NHK が記者団からの囲み取材に応じた桜田五輪相の発言を切り貼りしたことで政治問題となっています。

 フェイクニュースとも言える手法で問題を作り出しており、謝罪と訂正が必要な事案と言えるでしょう。また、これに乗じて批判をした野党も同罪と言わざるを得ません。

 

■ NHK が報じた内容

 NHK は白血病を公表した池江選手に寄せられた励ましの声という形でスポーツ選手や政治家など「知名度のある個人」に片っ端からコメントを求め、それを記事にしています。

 フィギュアスケートの宇野昌磨選手や紀平梨花選手にまでコメントを出させているのですから、節操のないメディアだと言わざるを得ないでしょう。その中でも問題視されるのは記事の最後に取り上げられた桜田五輪相の発言です。

画像:NHKが報じた桜田五輪相の発言

 桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣は記者団に対し、「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」と述べました。

 これだけだと、失言問題と言えるでしょう。しかし、この発言は桜田五輪相が行った発言のごく一部を切り取って作られた記事に過ぎないのです。

 また、この通りの発言が実際にされたかのように NHK が週刊誌的に扱う『政治マガジン』でも取り上げています。フェイクニュースと同じ手法で作り出された記事をスクープのように掲載する手法は由々しき問題と言わざるを得ないでしょう。

 

■ 事実

 NHK の記事が切り貼りと言える根拠は『日本テレビ』が桜田五輪相と記者団との囲み取材の内容を全文公開したからです。その内容を確認すれば、NHK の不誠実さが浮き彫りになると言えるでしょう。

画像:日本テレビが報じた桜田五輪相の発言全文

 

1:菅官房長官の発言と被る桜田五輪相の冒頭発言は全カット

 まず、記者団から最初に「大臣の受けとめは?」と問われた冒頭部での桜田五輪相の発言は全てカットされています。

画像:桜田五輪相の発言1

 「びっくりした。病気のことなので、早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿になって戻ってもらいたい」という “桜田五輪相の” の発言は NHK のニュースでは出てきません。なぜなら、同じ趣旨の発言を菅官房長官がしており、NHK が重複を理由にカットした可能性があるからです。

画像:菅官房長官の発言

 この点は NHK が説明責任を果たす必要があると言わざるを得ないでしょう。

 

2:「池江選手は有力選手です」と水を向けたのはマスコミ

 次に、「金メダル候補で 〜」の発言に水を向けたのはマスコミです。

画像:桜田五輪相の発言2

 「 “がっかり” という言葉は適切でない」との意見が多いことでしょう。しかし、大臣の発言は「金メダル量産を期待するマスコミの気持ちを代弁したもの」です。

 現に、日本テレビは放映権を持つ2018年の AFC チャンピオンズリーグ決勝のライブ中継よりも、池江選手の密着番組を地上波で流したのです。大臣以上にメディアが「かっがり」していることは明らかと言えるでしょう。

 

3:「池江選手の活躍をどう見てきたか」との問いへの回答がすべて

 また、「盛り上がりが下火にならないか心配している」との発言についても、質問に対する回答の前後を切り取っています。

画像:桜田五輪相の発言3

 「池江選手の活躍」との質問に対し、「日本が誇るスポーツ選手、水泳が盛り上がっており、担当大臣として水泳に期待している」との述べた上で NHK が報じた発言に続くのです。その後に「治療に専念し、元気な姿を見せ、またスポーツの花形として頑張って欲しい」と言及しています。

 文字数の制約でコメントを取捨選択しなければならないなら、この質問に対する回答を選択すべきでしょう。大臣の見解がすべて含まれているからです。

 ところが、水泳に期待しているという前提部分の発言を切り捨て、(水泳チームの)牽引役が不在となることを嘆く部分だけを切り取ったのです。それによって、不必要な政治問題が引き起こされたのですから、NHK の責任は重いと言わざるを得ないでしょう。

 

 これを機に、閣僚や政治家は『囲み取材』に応じることは一切止めるべきです。「記者会見」という正々堂々と受け答えをする場が存在するのですから、失言を狙った質問が横行する温床となっている『囲み取材』で発言する意味はないのです。

 事実誤認であることを “逆ギレ” する記者のイレギュラーな取材にまで真摯に対応する必要はありません。異常な状況は速やかに是正されるべきと言えるのではないでしょうか。