野党が統計不正問題で「安倍政権時の調査方法変更が不正の原因」との印象操作による政権批判を展開する

 NHK によりますと、立憲民主党の枝野代表が「統計調査方法の変更に総理の意向が反映された」として批判を続けていく姿勢を示したとのことです。

 これは筋の悪い批判と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、厚労省の統計問題は2004年から起きていたものであり、安倍政権が起こしたものではありません。

 2015年の統計調査方法の変更に焦点を当てることで問題の本質から目を背けさせようとする方針は批判にさらされるべきと言えるでしょう。

 

 毎月勤労統計調査の調査方法の変更をめぐって立憲民主党の枝野代表は、当時の総理大臣秘書官を通じて安倍総理大臣の意向が反映されたことは明白だとして引き続き追及していく考えを示しました。

 毎月勤労統計調査の調査方法の変更をめぐっては、厚生労働省の元幹部が平成27年9月に当時の総理大臣秘書官と面会していたものの、秘書官からの指示はなかったと説明しています。

 立憲民主党の枝野代表は神奈川県小田原市で記者団に対し「総理大臣秘書官が『そんたくさせた』『圧力をかけた』ことが疑われる。もはや個人の問題ではなく、構造的な問題だ」と指摘しました。

 

「東京に従業員500人以上の事業所が全数調査ではなかったこと」が問題

 そもそも、毎月勤労統計調査で「不正」が発覚したのは『定められた手法』で調査をしていなかったことが発覚したからです。

  • 規則:
    • 東京に従業員500人以上の事業所は「全数調査」を実施
    • 対象となる事業所の数は約1400
  • 実際:
    • 約500の事業所を選んで調査

 野党やマスコミが統計不正問題に飛びついた理由は「規則どおりに調査されていれば、実際に受け取った給付金よりも多くなっていたから」です。つまり、“政府の落ち度” としてバッシングできると判断したからに過ぎません。

 ところが、この不正問題は2004年から起きていたため、民主党政権の責任も問われることになります。そのため、不正問題とは関係ない項目を強調することで、「安倍政権が起こした統計不正問題」とのレッテル貼りに勤しんでいるのです。

 

「安倍政権時の統計調査方法変更で不正が起きた」と印象操作をする野党

 野党が印象操作に乗り出しているのは安倍政権時に統計調査方法が変更されたことです。

 『毎月勤労統計調査』では従業員数が少ない事業者はサンプルを抽出して調査を行います。『調査対象の入れ替え方』が安倍政権時に変更されたのですが、野党はこれを「忖度があった」と批判しているのです。

画像:調査対象の入れ替え方式

 以前は『総入れ替え方式』だったのですが、安倍政権下で『部分入れ替え方式』に変更されました。

 時系列的な統計調査を行う上では『部分入れ替え方式』の方が適切です。これは『総入れ替え方式』だと、入れ替え時のタイミングで発生する “ブレ” (= ジャンプ幅)が大きくなってしまうからです。

 経済の実態をより正確に把握するための『入れ替え方式』を導入することはプラス効果と言えるでしょう。しかし、野党はこれを「忖度」などと批判している有様です。政権批判をするため、事実関係を無視したレッテル貼りは無意味と言わざるを得ないでしょう。

 

2004年からの統計不正問題は『全数調査』であり、「経済情勢を低く見せる」との不正に手を染める理由は政権にはない

 また、統計不正を是正した調査結果は「発表されていたよりも良い数値」となりました。選挙による審判を受ける立場にある政権が「経済情勢を悪く見せろ」とは指示しないでしょう。

 実態よりも良く見せるために不正をするのであって、自らの首を締める調査結果を求める権力者はいないはずです。

 それに、2004年から続いていた統計不正は「全数調査であるべきにも関わらず、サンプル調査が行われていた」というものです。『サンプル調査対象の入れ替え方式の変更』は不正とは何の問題もないと言えるでしょう。

 野党がやっているのは「統計不正問題」との題目を掲げ、「調査対象の入れ替え方式変更に不正があった」との印象操作をマスコミを通じて行っているのです。この点を指摘しないマスコミも同罪と言わざるを得ません。

 

 有権者が知りたいのは「全数調査と決められているにも関わらず、サンプル調査をしていた理由」でしょう。厚労省の回答が「予算不足で全数調査は不可能だった」なら、それに応じた解決策を議論・提示することが国会には求められているのです。

 “言いがかり” に基づく政権批判にうんざりしている有権者が多いから、野党の支持率が伸び悩み、メディアへの信頼も地に落ちていると言えるのではないでしょうか。