民主党政権時に『辺野古移設賛成』を鮮明にしていた現・立憲民主党の議員に「政府は沖縄県民に寄り添ってない」と批判する資格はない

 読売新聞によりますと、沖縄県の普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立てに対する賛否を問う住民投票で「反対」が多数を占めたことを受け、野党から「移設を検証し直すべき」との声が出ているとのことです。

 しかし、「これほど無責任な主張はない」と言えるでしょう。なぜなら、現在の野党第1党である立憲民主党は与党だった民主党政権時に『辺野古移設に賛成』していたからです。

 自らが掲げていた政策方針を180度転換しているのですから、理由を説明することが大前提です。その上で、『辺野古移設』に代わる『代替案』を提示する責務があるのです。

 

 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡る県民投票で、埋め立てに「反対」が7割を超えたことを受け、与党は移設を推進する政府方針を堅持すべきだとの姿勢を強調した。野党からは埋め立て工事の中止を求める声が相次いだ。

 (中略)

 立憲民主党の枝野代表は25日、国会内で記者団に「立ち止まって、もう一度検証する必要性が改めて明確になった」と、移設中止を求めた。共産党の小池書記局長も「県民の怒りが広がり、爆発した結果だ」と政府の対応を批判した。

 これほどの “茶番” は珍しいと言えるでしょう。辺野古への移設が決まった背景は「世界一危険」との枕詞で紹介される普天間飛行場(宜野湾市)周辺の危険性を除去するためのものです。

 移設に反対すると、普天間飛行場の危険は残されたままです。この点に対して「国民の安全」を守る責任がある国会議員としてどのような意見を有しているのかを明らかにする必要があると言えるでしょう。

 

「 “名護市辺野古に移設する” とした『日米合意』を実施することに変更はない」と述べた枝野幸男代表

 まず、立憲民主党の枝野代表は民主党政権で官房長官を務めていた2011年5月に記者会見で次のように述べたと日本テレビが報じているのです。

 枝野官房長官「少なくとも、現時点でアメリカ政府と日本政府それぞれの執行機関同士は、去年5月に日米合意がある。我が国政府としては、沖縄の負担を速やかに軽減するとの考えの下で合意を着実に実施する方針に変わりありません。

 (中略)

 普天間基地の辺野古への移設をめぐっては、沖縄県の理解が得られていない。また、普天間基地の代替施設の設置や工法などを決めるため、先月に予定されていた外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会も延期されるなど、実現の見通しは全く立っておらず、普天間基地の固定化が懸念されている。

 「普天間基地の固定化」を避けたいから、「辺野古に移設」するのです。

 枝野代表も官房長官時代には移設に前向きでした。ところが、野党になると「移設反対」に転向しました。しかも、立場を変えた理由は「立憲民主党は民主党とは別の政党」というものです。あまりに無責任と言わざるを得ないでしょう。

 

『代替施設の具体的な提案がない辺野古移設反対』はパフォーマンス

 「普天間基地の辺野古移設に反対」が野党のスローガンになっていますが、民主党に在籍歴を持つ政治家にはそれを口にする資格はありません。なぜなら、鳩山政権時(民主党)に辺野古移設を閣議決定しているからです。

 辺野古移設に反対した福島みずほ議員(社民党)は閣僚を罷免されているのです。枝野代表は内閣府特命担当大臣として閣議に賛成しているのですから、当時の行動・発言に対する説明をする必要があると言えるでしょう。

 辺野古への移設は『法的根拠』に基づいて行われています。これを “法的根拠のない県民投票の結果” で無効にできるほうが問題です。

 枝野氏は「立ち止まって検証すべき」と主張していますが、結論が出るまで『普天間基地の危険性』は残されたままなのです。宜野湾市民との「危険性を除去する」との約束を反故にする訳ですから、まずは枝野氏がその理由を説明して宜野湾市民から理解を得るべきでしょう。

 

“住民投票” で政策が決定するなら、議会の存在意義が薄れることになる

 政治家は「住民投票の結果」を前面に押し出すことは避けなければなりません。住民投票で重要政策が決定することになると、議会の存在意義が薄れてポピュリズムの台頭を招く原因になるからです。

 また、『国政案件』を『住民投票』という形で拒否権が持てるなら、政治が空転することは目に見えています。「消費税 10% への引き上げに反対する住民投票」で反対多数という結果になれば、「1度立ち止まって検証すべき」との意見は有効になると言っていることと同じなのです。

 辺野古移設は法的根拠に基づき進んでいる案件です。これを法的根拠のない住民投票で拒否・妨害できることの方が問題と言えるでしょう。

 法を無視して良いなら、法律や条例を制定する議会の存在意義はなくなってしまいます。そのことを認識していない政治家や政党は致命的と言わざるを得ません。

 

 現状では『辺野古移設の代案』を持っていないから、『住民投票の反対多数』を持ち出して「反対のポーズ」を取っているだけでしょう。移設反対派に鞍替えした上、「普天間基地の危険が放置させることへの真摯な説明」をする気がない野党(特に立憲民主党)の姿勢は厳しい批判にさらされるべきと言えるのではないでしょうか。